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149.踏破者、新商業について話す。

昨日1000pt達成しました。

これもブックマーク登録や評価をつけていただいた皆様のお陰です。

まだまだ毎日投稿頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!

その後学者先生の指示により、【海洋巨蛇(シーサーペント)】を湖畔の空き家へと移動させることになった。

ここは町長から使用許可をもらっている建物で、現在は使われていないので自由にしていいとのことだ。


「しかし、【海洋巨蛇(シーサーペント)】が陸上でも生きていられるとはな。」


俺は【海洋巨蛇(シーサーペント)】を作業台の上に横たえながらつぶやく。

その情報をもたらしたのは学者先生だった。


「魔物生物学では基本なのですが、魔物もその生態は動物と基本は同じというものがあります。で、動物のウミヘビは肺呼吸なんですよ。」


学者先生が【海洋巨蛇(シーサーペント)】を作業台に固定しながら説明してくれる。


とはいってもな…。

だいたい魔物生物学ってなんだよ?

そんな学問聞いたことないぞ?


因みに【海洋巨蛇(シーサーペント)】は陸上に引き上げたから安心と言う事はないため俺の【採魂(ドレイン)】でギリギリまで体力を削って、かつシファの【光拘束(ホーリー・バインド)】で身動きできないようにしてある。

下手に頭部付近に近づかなければ大丈夫だろう。


「では私はこの【海洋巨蛇(シーサーペント)】の調査に取り掛かります。湖の中の個体を一網打尽に出来る方法か、無力化させる方法かが見つかればいいのですが…。あ、出来れば回復魔法が使える方は念のため声の届く範囲内に待機していただきたいです。」


「わかった。この家のそばで待機しておこう。」


そう言って俺は部屋を後にする。

回復魔法を使えるのはシファだが、基本的に彼女は俺のそばを離れたがらないので俺がこの近辺に居れば問題ないだろう。


と、部屋を出た所でティアが廊下の角からこちらの様子を窺っているのに気が付いた。

爬虫類が苦手ということで、見た目が蛇である【海洋巨蛇(シーサーペント)】は完全にアウトらしい。

さっきそれを可愛い所があると言ったら素でそう言う事を言わないで下さいと怒られた。

だが、何がダメなポイントだったかはわからず仕舞いだ。


「そんなに身を隠さなくても弱らせてあるから暴れたりしないぞ?」


俺のその言葉に恐る恐ると言った風に出てくるティア。

というか【海洋巨蛇(シーサーペント)】は部屋の中だからドアを開けない限り廊下からじゃ見えないんだが?


「その、部屋の中にあれが居るかと思おうと、体が部屋に近づくことを拒否しているんです。」


「かなりの重症だな。」


流石に恐怖症は【聖癒のシファ】にも癒せないだろうしな。

しかし【聖癒】か…。

俺は【才越】だっけ?

暗に【無才】ってことを暗示してるし、それが周知されたら余計なトラブルにも発展しそうな気がするな…。

あの場では手放しに褒めるしかなかったからもう変えてくれとも言いにくいし…。


「そんなに悩んでいただかなくても私は大丈夫ですわよ?苦手なのも近づかなければいいだけですし。」


二つ名で悩んでたとは言えない空気だ…。


「まぁそうだな。後の事は学者先生に任せて俺達はいったん休憩しよう。」


俺はお茶を濁すことにした。




◇◇◇◇◇




俺達は居間でティアの侍女が淹れてくれた紅茶を飲みながら今後について話をしていた。

学者先生を除いたメンバーがここには集まっている。


「という事は、漁に出る安全さえ確保できれば、商流に問題はないという事ですわね?」


「はい、町長に漁師会の代表と大筋合意に至っております。王女殿下のご要望通り、この町が十分に発展できるように配分を決めています。」


今報告を上げているのは商業関係の有識者だ。

俺達が【海洋巨蛇(シーサーペント)】を捕獲している間に、大掛かりな漁が出来るようになった場合の商業化についてこの地の有権者と話を行ってもらっていたのだ。


「ありがとうございます。では残りの懸念は【海洋巨蛇(シーサーペント)】の脅威の排除だけですわね。」


「あ、いや、実はまだもう一つ問題があります。」


「何でしょう?」


「それが、商品の移送に関する事なのです。」


「移送…ですか?」


「はい。漁で得た魚介類をこの地で加工して出荷と言うのももちろん行うのですが、今回はシュタイン領の主要都市で生魚を扱えることを目玉にしたいと考えているんです。」


なるほど。

確かに干物等の管理が容易な加工物にすれば流通させやすくなるだろうが、それだけでは他の領地にも流通している物なので真新しさはない。

その点、生魚を取り扱うとなればこれは港町以外ではないものだ。

港町から遠い場所から観光目的の人流も生まれるだろうし、もしかしたら他国からも人が来るかもしれない。

領地の繁栄を狙うティアの目的にもマッチしてる。


「…それはいいアイデアですね。」


ティアも神妙に頷く。


「ええ、ですが、例えばここからモールドまでですと馬車で普通は(・・・)半日かかります。しかし、舗装のしっかりされていない道を水と魚を積んだ馬車で進むとなるとその3~4倍はかかるでしょう。移送だけでそれだけかかると消費者が食べるころには生きのいい状態ではなくなってしまうと思います。」


「確かにそうですわね。街道の整備にしても時間と人手、お金がかかりますから、すぐに解決できる問題ではなさそうですね。」


「ならほかの手段を考えてみればいいだろう?」


頭を抱え始めたティアたちに助け舟を出す。

ティアが顔を上げこちらを見てくる。


「他の手ですか?」


「ああ、ティアは最近手に入れた手札を持っているだろ?」


「あ。」


ティアはその両目を大きく見開く。

俺は頷く。


「アルカディア魔道具研究所。そこにこの問題を解決できる魔道具を作ってもらおう。」

生魚という表現が出てきましたが、この世界では港町には活造りなどの生食文化があるという設定になっています。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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