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143/218

143.踏破者、元将軍に遠征計画を話す。

「【海洋巨蛇(シーサーペント)】でありますか?」


「そうだ。ハンターランクで言うAランクの魔物だが、それがマグカル湖に大量に生息しているらしい。」


「それで、ジーク様がそれを討伐しに行かれると言うのですか?」


「そう言う事だ。軍備拡大の為にも必要な一手だと考えているんでな。その間のこの都市の守りをお前に任せたい。頼めるかネレウス。」


「無論であります!!ジーク様の命とあらばこの命惜しくはありませぬ!!必ずやこの都市を守り抜いて見せます!!」


領主邸での有識者会議を終え、俺は国防軍の拠点へと来ていた。

先の会議ではいくつかの資源が着目されてその活用法を話し合ったのだが、結局マグカル湖の資源活用可否を確認することが第一手という結論に至った。


間もなくハンターギルドが設置されるため、この都市にハンターと言う戦力が増えてからマグカル湖傍にある町へ視察に出る予定だ。

メンバーはティア、俺、シファ、ラマシュトゥと侍女1人、そして商業関係や学者関係の有識者数人という構成だ。

本来ならば領主が移動をする際には多くの護衛を連れて行く必要があるが、スレイプニールに馬車を引かせればものの30分ほどで着く上に襲撃を受ける心配もない。


予定ではマグカル湖の調査に数日を費やす予定なので、その間のこの都市の防衛体制についてネレウスに方針を伝えていたところだ。


「まぁレクシアはモールドに置いていくし、本当にヤバい時は10分もあれば俺も駆けつけられるだろ。」


「10分でありますか!?やはりジーク様は凄い!!我々の常識など何の役にも立ちませんな!!」


「声がでかいぞ。」


「は!!失礼しました!!」


元将軍のネレウスはあの一件以来人が変わってしまった。

部下にする以上敵愾心を持たれるより良いのだが、信仰の様なものをされるのも居心地が悪い。


とは言え、ネレウスはこの都市の防衛には欠かせない人物だ。

やはり将軍まで登り詰めただけあって戦闘能力が高く、俺の指導のものとメキメキと実力をつけている。

まだまだレクシアのレベルには到達しないが、一般兵の中では頭一つ飛びぬけてるだろう。

最近は指南役のレクシアとも実戦稽古も行っているようだ。


「しかし、レクシア様もおられるのであれば国防軍の指揮は私ではなくレクシア様が執るべきではないでしょうか?」


「実力的にはまだそうだろうが、将来的にはレクシアも俺もこの都市を離れる時が来るからな。そうなった時の事を考えて今のうちから統制や管理と言った要素も任せて行こうと思ってな。」


まぁレクシアに任せるのが不安だという事もある。

あいつ戦闘能力は抜群なのに頭がな…。

本当に脳筋なんだよな。

王族専属騎士(ロイヤルナイト)に選ばれるほどの実力があり、【剣姫】と呼ばれるほど人気も博していたのに王国騎士団の要職に着いていない当たり、騎士団の連中も管理者としては不安だったんだろうなと思う。

なにせ分隊長にすらなってないんだぜ?


「そうでありましたか。…しかし、私で良かったのでしょうか?私は一度失敗した身です。」


ネレウスが若干不安そうな表情でこちらを見てくる。

いや、2mを越える巨体でそんな顔をされても…。


「確かにお前は一度失敗している。だが、国防軍の中では実力も飛びぬけているし管理能力もある。人選としてはお前が最も適しているという判断だ。」


「おお!!有難きお言葉!!このネレウス!!全身全霊で任に当たります!!」


「声がでかいわ。」


そんな話をしているタイミングで執務室のドアがノックされる。


お、来たかな?


「入って良いぞ。」


「は!!失礼します。」


執務室に入ってきたのは兵士の一人とランドールさんだった。


「よく来てくれました、ランドールさん。」


「ええ、お邪魔します。」


俺はランドールさんに挨拶し、ネレウスに説明する。


「ネレウス。こちらはランドールさん。ティア王女の護衛騎士隊長で、今は憲兵団の監督をしている。」


「お初にお目にかかります。国防軍第一分隊の隊長を務めますネレウスと言います。」


「ランドールです。以後よろしくお願いします。」


ここで俺は先の会議で憲兵団の戦力強化のために国防軍の訓練に混ざることを検討しているという話が出ていたことをネレウスに説明する。


「今日はその下見という訳だ。悪いがランドールさんを案内してくれるか?」


「承知しました!!ではランドールさん、こちらへどうぞ。」


ネレウスに続いてランドールさんが執務室から出て行く。


少し騒がしかった執務室が静かになる。


さて執務机に向かって書類仕事を行おうかと思ったが、このタイミングを待っていたかのように声を掛けられる。


「やっと静かになったわ。…あの男は声が大きいのよね。」


声の主は、実は部屋の隅でずっと読書をしていたシファだ。

レクシアは兵士の指南役として訓練室に常駐しているが、シファは大怪我する人が居なければ特に役目はないので俺と一緒に居ることが多い。


「ねぇ、この奥の部屋って防音になってるのよ。知ってた?」


奥の部屋と言うのはネレウスがお楽しみに使っていた部屋だ。


「どう?少し休憩しない?」


「俺をネレウス化させるつもりか!?」


いかん、誘惑に負けるな俺!!

シファさん!!胸をチラ見セするんじゃありません!!


「じゃあお楽しみは夜にね。」


そう言ってシファはまた読書に戻る。


はぁ、いつか誘惑に負けそうだから奥の部屋は撤去することにしよう。


俺はため息をついて書類の山へ向かうのだった。

もうシファさんとジークさんはラブラブですね。

ですがご安心を!!

波乱はもうすぐそこです!!

この後のそっちの展開にもご期待ください。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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