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14.踏破者、金欠に悩む

「さて、今後の事について話そう。」


俺は部屋の中でくつろいでいるルシフェルと壁に立て掛けてあるシュラに対して話し始める。


ここは宿場町【スリアド】。

俺の実家であるフレンブリード辺境伯家が治めるフレンブリード領のやや西寄りにある町である。

冥級ダンジョン【アビス】から出た俺たちは、【アビス】に施されていた封印を無理やり破壊し脱出に成功していた。

しかし、このことはすぐに管理を任されているフレンブリード辺境伯家の知る所となるはず。

そのため、俺たちは捜索の手が伸びる前にできるだけ【アビス】から離れる必要があり、その準備を行うために町へ行くことにした。

距離的には元居た街の方が近いのだが、万一フレンブリード家の者に見つかれば騒動は避けられない。

そのため、【アビス】から王都側で最も近いこの町へと来ているのである。


だが、今大きな問題が発生している。


「俺たちは早急に金策に走らないといけない。」


そう、金がないのだ。

とりあえず武器屋で何となく持っていたオーガの刀を売り払って得た金で宿をとることはできた。

だが、二人用一部屋、朝夕食事付だと3日しか泊まれない。


「うむ。早急に金を得て別部屋を借りれるようにしなければな!!」


余談だが、宿でのやり取りの際にルシフェルが女性であることをカミングアウトし二部屋借りることを主張したが、二部屋だと2日しか泊まれない事を説明し渋々了承させるような悶着があった。

天使だとか言ってるくせに性別とか貞操がとか面倒でしかない。


『何か当てがあるのか?』


「そうだな、やっぱりハンターとなって依頼を受けるのが手っ取り早いと思う。」


「何なのだそのハンターとやらは?」


俺はルシフェルにハンターについて説明する。

意外と興味があるのか大人しくウンウン頷いている。


「いいだろう。主と私の能力があれば人族程度の高難度依頼も難なく処理できよう。」


『我を忘れるでないわ。まぁ我が居れば百人力なのは間違いないがな!!』


こいつらはなんでこんなに自信満々なんだ。

戦闘であればまぁそこそこ出来るとは思うが、依頼は戦闘以外のものもある。

調査系とかこのメンバーじゃ無理そうだな…。


「じゃあ早速明日ハンターギルドへ行ってみよう。俺も今は17歳だから登録も問題ないはず。」


この町に来て武器屋の主人や宿屋のおかみさんと話す中で情報収集したのだが、どうやら今は俺が【アビス】に放り込まれてから1年後のようだ。

ルシフェルはダンジョン内は時間の流れが違うみたいなことを言っていた。

俺がダンジョン内で過ごした膨大な時間はこの世界では1年に換算されるらしい。


「私はどうすればいいんだ?」


「一緒に来て登録してもらう。あぁ、名前は変えてもらうぞ。…シファにしようか。今後はそう呼ぶ。」


「ふっ。有名神は辛いな。よかろう。今後は偽名で過ごさせてもらう。」


ルシフェル改めシファは有名故名前を変える必要があると考えているようだ。

単に名前が長くて戦闘中なんかに呼びかけにくいから短くしたかったと言いにくくなった。

まぁ納得してるならいいか。


「じゃあ明日はギルドでハンター登録。その後適当な依頼を受ける。ある程度資金が出来たら町を出て王都へ向かう。いいな?」


「うむ。」

『わかった。』


「よし、じゃあ今日はもう休もう。」


そう言って俺はベッドに寝転がる。


「私があまりに美しいからと言って夜這いをかけないでよ!!」


こいつマジうぜぇ…。



◇◇◇◇◇



翌朝、朝食をとった俺たちはハンターギルドへ来ていた。

外観は少し大きめの建屋というだけでこれといった特徴はない。

中に入ると、そこには区分けされているようにいろんなスペースがあった。

受付スペース、掲示板スペース、打ち合わせスペース、食堂スペースと言ったところだろうか。

建屋内はハンターの数も多い。

大半は掲示板の前で依頼の選別をしているか、食堂スペースで食事をとっているかだ。

気骨たくましい大男からいかにも魔法使い然とした女性、どう見ても子供にしか見えない獣人とバラエティも豊かだ。

これなら俺たちが変に目立つこともないだろう。

因みにシファは【アビス】を出てから羽を隠し、全身黒のローブ姿になってもらっている。

何でも自身の姿位は変幻自在らしい。

人目を惹かないよう顔を平凡なものに変えることも提案したが、これは断固拒否された。

まぁこれについては俺も不細工に顔を作り替えろと言われれば拒否するし気持ちはわかるので諦めている。

問題が出たらその時に考えよう。


俺たちはハンター登録の為、窓口に並んだ。


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