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133/218

133.第二王女、シュタイン領へ向かう。

「すごい!すごーい!!木が凄い速さで通り過ぎていくよ。あ、馬車とすれ違った!!」


「窓から体を乗り出すのは危ないぞ!?ちゃんと席に座ってみるんだ。」


馬車の窓から外を見てテンションを上げているのはレベッカちゃんだ。

勢いあまって馬車の外に身を乗り出そうとしているのを止めているのはレクシアさん。

こうして見ていると2人は仲睦まじい姉妹のように見える。


レベッカちゃんはコウナードのダンジョン溢れ出しに利用された被害者で、ジークさんが保護者として預かっている子らしい。

何でもエルフの血を引いていて【弓術】と【召喚術】の二重適正(ダブル)持ちとのこと。

二重適正(ダブル)と言うのは統計的には数十万人に一人くらいの確率の存在らしい。

らしいというのは、実際にお目にかかったことがないからだ。

彼女はまだ未成年で教会の鑑定を受けていない。

もし受けていれば大騒ぎになっていただろうと思う。


ジークさんは彼女を一人立ちさせるつもりらしく、ハンターの仕事に連れ出しては魔物や動物の狩り方や素材の取り方等を教えているらしい。

レクシアさんとも戦闘訓練を続けていて、もう一介の騎士レベルでは太刀打ちできないだろうとレクシアさんは言っていた。

正直、本当だろうか?と言う思いが出てくるが、非常識なジークさんと共にいるとそうなってしまうのだろうか…。

そう言えばレベッカちゃんといつも一緒に居る鷲は魔神らしい。

…もう何でもありすぎて言葉がでない。


一方のレクシアさんは王国騎士団のエリートだ。

【舞剣】の才を持ち、ひたすら剣の道を進んできた才女。

容姿端麗ということもあり民からの人気も高く、【剣姫】と呼ばれている。

私もその実力は難度か目の当たりにしており、王族専属騎士(ロイヤルナイト)に登用出来ないか画策したこともあった。

結果としては第一王女であるオリヴィア王女に先を越されてしまったのだが…。

だが結果だけを見るならそのおかげでシファお姉さまに出会い、ジークさんを王族専属騎士(ロイヤルナイト)として迎えることが出来たとも言えるのでもう気にしてはいない。

突っかかってきたお姉さまのお陰でジークさんとレクシアさんが剣を交えることになり(ジークさんは抜剣しなかったが)、負けたレクシアさんが王族専属騎士(ロイヤルナイト)を辞してジークさんに弟子入りしたと聞いた時は驚いた。

これは嬉しい誤算だった。

まぁジークさんは弟子となることを了承していないらしいが…。さっさと弟子と認めてなんならくっついてしまえばいいと思う。

そうすればシファお姉さまは…。ふふふ。


そのレクシアさんの隣に居るのはシルバさん。

今回、ジークさんが使用人として同行を申し入れてきた人だ。

この人はかつて私を暗殺せんと襲ってきた襲撃者の一人、というかリーダーだった。

忠誠を誓った主の命とは言え私を暗殺することに葛藤があったそうだが、それでも彼らによって守護騎士が数名殉職している。

彼もそれを気に病んでいる為、未だ私達とは少し距離を置いているようだ。

元軍属という事で戦闘にも長けているそうだが、ヴァン侯爵家と闇組織の壊滅のための資料の調査等の仕事をかなりの速度でやり遂げる等事務処理能力も高い。

辺境伯家で仕えていた経験もあるので今回の領地経営には彼の力も絶対に必要になるだろう。

この非常識な馬車の中にあって全く動じることなく静かに座っていられるのはジークさんと共にいるからなのだろうか…。


私は後ろの座席を振り返る。

ランドールはなんとか平静を保っているようだが、騎士2名は城壁を飛び越えた際に気絶し、侍女2名も恐怖に慄いている。

やはり慣れの差だろうか。


因みにラマさんは鼻提灯を出してい寝ている。

…この姿からは想像できないが、彼女もジークさんの配下の魔神だ。

ハンターとしても活動しているジークさんが私の護衛にとつけてくれたのだが、正直言って戦力過剰だ。

まぁそこは足りないより良いので何も言わないが。

その気になれば王都を壊滅させれる位の戦力がすぐそばにいるという変な緊張にももう慣れた。


私も窓の外を見る。

凄い速さで木々が後方へと流れている。

普通の馬車の数倍の速度が出ているようだ。

この調子なら王都から3時間程度でにシュタイン領に入ってしまうだろう。

私は馬車の速度から到着時間を逆算する。


この前の魔族侵攻の際にジークさんたちは幻竜王バハムートに乗って1時間足らずでフレンブリード領へと達したらしい。

いや、幻竜王バハムートって…。

空を飛べるバハムートには速度で劣るが、馬車を引いて大人数を移動させられる神獣スレイプニールも規格外だ。

もう私の中の常識が崩壊しつつある。

だけどこの状況に慣れてしまうといろいろまずい気がする。

君主は常に民の目線を持たねばならない。


これは異常。

これは異常。

これは異常。


自分にしっかりと言い聞かせる。


「そろそろ休憩を入れるぞ。」


御者席からジークさんが顔をのぞかせる。


「??」


私たちを奇異の目で見たが、何も言わずに前を向いてしまった。


どうやら私もよっぽど変な顔をしてしまっていたようだ。

閑話回ですね。

レクシアさんは頭と性格はアレですが、面倒見はよく年下からは慕われる人です。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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