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131/218

131.踏破者、第一王女の新王族専属騎士と会う。

朝、準備を終えて王城へ行くと何台もの馬車とその馬車に荷物を運びこむ使用人の姿が視界に入ってきた。

ティアには引越しに関して手段(・・)を連絡しているのであれはティアたちではないだろう。


「あら?あなたたちは…。」


そんなことを考えながら馬車群の横を通り抜けようとしたが、声を掛けられてしまった。

声の主を見ると、絢爛豪華な衣服に身を包んだ女性が居た。

この国の第一王女、オリヴィアだ。


「げ。」「あら。」


いや、レクシア。

合わせる顔がないからと言って出会ったら「げ。」はマズいだろ。

相手は王族、不敬罪になるぞ?


「レクシア…。私の王族専属騎士(ロイヤルナイト)を辞してどこへ行ったのかと思えば、自分を負かした男の元ですか。思っていたより()だったようですね。」


目を細めながらそんなことを言うオリヴィア王女。


というかそんな言い回しとか知ってるんだな。

世間知らずという訳ではないらしい。


「その通りであります。ご理解いただき感謝申し上げます。」


コイツは世間知らずか!?

馬鹿にされてることに気付いてねぇ!!


「ふん。まぁ良いですわ。代わりの王族専属騎士(ロイヤルナイト)も見つかりましたし。」


そう言って隣に立つ少女に視線を移すオリヴィア王女。

随分と目立つ赤いローブに身を包んだその少女は蔑むような眼をこちらへ向けていた。


「お初にお目にかかります。此度オリヴィア王女殿下の王族専属騎士(ロイヤルナイト)となりましたハーヴェリアです。【重力魔法】の才能を持つ魔術士です。以後お見知りおきを。」


その視線とは裏腹に丁寧な挨拶と礼をしてくる。


名乗られたからには返すのが礼儀だろう。


俺は一歩前へと進み少女に向き合う。


「ティア王女殿下の王族専属騎士(ロイヤルナイト)を務めるジークです。【無才】ですがどうぞよろしく。」


そう言って礼をし、顔を上げると大きく目を見開いた少女の顔があった。


「む、【無才】…。ぷっ。ぷっははは!!」


と思ったら吹き出して笑い始めた。

この反応を見るのも久しぶりだな。

俺はと言えばこういった反応は見飽きており特に何の感情も沸いては来ない。


だが、この反応に免疫のない者も居た。


レクシアが俺の前に出て激昂する。


「貴様、才能の有無ごときで我が師匠を馬鹿にするか!?謝罪しろ!!」


レクシアに詰め寄られた少女はその笑いを引っ込め、一転不快だと言わんばかりの顔をレクシアに向ける。


「前任の王族専属騎士(ロイヤルナイト)がどんなものかと思えば…【無才】に負ける程度の強さとはね。それに一王国騎士が王族専属騎士(ロイヤルナイト)になんて口の利き方をするんだ。まずは頭を下げなよ。」


「無礼者に下げる頭など持ってはいない!!。」


いや、お前の場合は脳みそが入っている頭があるかが疑問なんだが。

シリアスっぽい雰囲気なのであえて言わないが。


ハーヴェリアだったか?を見ると額に青筋が入っている。

切れやすいタイプのようだ。


「頭を下げる気がないなら、無理やりにでも下げさせてあげよう。【(プレス)】!!」


と思ったら攻撃してきやがった!?

流石にやりすぎだ!!と思ったのだが…。


「何をしたいんだ?」


レクシアが疑問を口にする。

対する少女は驚愕していた。


「な、重力の2倍の負荷をかけているんだぞ!?なんで平気でいられるんだ!?」


2倍?

なんだ、焦って損した。

ちゃんと手加減してくれていたんだな。


ホッとする俺。


「何をしたいのかわからんが、きちんと師匠には謝ってもらおう!!」


「ええい!!こうなったら全力だ!!3倍負荷!!地面に這いつくばれ!!」


ハーヴェリアが掲げる杖に魔力を込める。

っていうか今全力って言ったか??

今やレクシアは早朝訓練で5倍負荷をかけているんだぞ??


案の定ハーヴェリアの全力の魔法を受けてもレクシアは微動だにしない。


「…この程度が何だというんだ?師匠も重力魔法を使うが、出力に天と地ほどの差があるな。」


今度はレクシアが馬鹿にしたようにハーヴェリアを見る。


「【無才】が重力魔法だって!?それも【重力魔法】の才を持つボクより上だって!?魔法に耐えるので精いっぱいで頭がおかしくなったか!?」


レクシアが今度は憐れむような目でハーヴェリアを見つめる。

かと思えば振り返って俺に言う。


「師匠、この少女に10倍くらいの【(プレス)】をかけてくれませんか?」


その言葉にハーヴェリアが大笑いする。


「ちょっと魔法に耐えれるからって調子に乗るな!!やれるもんならやって見なよ!!」


これは本人の了解も得たし良いのかな?

思っていたのより大したことない魔法で拍子抜けだが、それでもいきなり魔法で攻撃してきた子供にはしっかりとした躾けをしてやらんといかんしな。


俺は片手を少女に伸ばし魔法を発する。


「【(プレス)】」


「触媒もなしになに…ぷぎゃ!!」


何かを言いかけた少女が圧に一瞬で屈し地面に磔になる。

少女の周囲の地面が陥没し、ベキボキと嫌な音が響く。


「あ。」


そこで俺は気づく。

10倍って最初レクシアが耐え切れずに潰れた負荷だ。

剣士であるレクシアが耐えられない負荷をこの少女が耐えれるわけがない。


俺は慌てて【(プレス)】を解除する。

そこには口から血を吐きながら白目を向いた全身骨折の少女が地面にめり込んでいた。


「シファさ-ん!!」


俺はあの時と同じように回復魔法が使えるシファに助けを求めるのだった。

ハーヴェリアさんはまた後で出てきます。

彼女はティア陣に入ることはありませんのでご安心を。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] これ以上ハーレム増やすのやめてくれw オリヴィアも、新しいロイヤルナイト雇う度に辞められたら泣くぞ
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