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130/218

130.踏破者、召喚に成功する。

王都北部にある平原。

ここでは以前原因不明の大爆発が発生し、その後調査のために長期間封鎖されていた場所だ。

王国騎士団や魔術研究所による長期間の調査の結果、自然に起こったものではないということがほぼ確実にはなっているものの、誰が何の目的で引き起こしたものかは不明との結論が出ている。

この平原で誰かが爆発に巻き込まれた形跡もなく、事件前後に行方不明となった者もいないうえ、その後に同様の事象も確認されていないため現状は放置案件となっているようだ。


まぁ犯人は俺なんだけどな。


「嫌な予感しかしないんだけど、なんでこんなところに?明日には出発するんでしょ?」


適当な岩に腰掛けるシファが聞いてくる。


「当然【幻獣召喚】を行うためだ。」


「だよね。うん。わかってた。」


もはや驚きもしないシファ。

説得も諦めたようだが薄い反応も少し物足りないと思うのは欲張りなのだろう。


「それで?今回はどんなのを狙ってるの?」


「馬車を引いて高速で移動できる馬の幻獣だな。スレイプニールにしようと思っている。」


「スレイプニール…。また高位の幻獣を呼び出そうとしているのね。で?本当の狙いは?」


「本当の狙い?俺の本当の狙いは今言ったスレイプニールの召還だ。まぁもし失敗して変なのが出てきて、問答無用で攻撃してくるようなことがあったら自衛のため戦わざるを得んがな。」


「そういうことでしょうね。」


もう達観したかのようなシファ。


「心配しなくてもシファのことはしっかり守るよ。安心してくれ。」


「期待してるわ。」


ちょっとカッコつけたのに何でもないというような流し方をされてしまった。

これは恥ずかしいうえに悲しい。

え?俺たち付き合ってるんですよね?

思わず聞きたくなってしまった。


若干へこみながらも闇魔法で魔法陣を形成していく。

この作業も何回も繰り返しているため練度が上がっている気がする。

非常にスムーズに魔法陣が完成する。


さて、鬼が出るか蛇が出るか…。

俺は魔法陣に思いっきり魔力を流し込み、結びの言葉を紡ぐ。


「召喚!!」


次の瞬間、魔法陣から白い煙が吐き出される。

かなりの量の白煙が一か所に集まり、一匹の幻獣の姿を形成する。


そして現れたのは純白の体に8本の足を持つ馬型の幻獣だった。


『ほう。我を呼び出すほどの人族がまだいたとはな。我はスレイプニール。何故我を呼び出した?』


「これ…が…スレ…イプ…ニール…だと?」


俺は体が震えているのを感じていた。

これまでにない感情が全身を駆け巡る。


俺の様子がおかしいと分かったスレイプニールが首をかしげる。


『なんだ?どうしたのだ?』


「なんでお前が出てくるんだよ!!もうちょっと粘れよ!!」


『は?』「は?」


俺の言葉にスレイプニールとシファの声が重なる。

だが俺は感情を抑え込むことができない。


「空気読めよお前!!なんで召喚成功してるんだよ!?なんたらエルとか天使はどうしたんだよ!?」


『まてまてまてまて!!貴様いったい何の話をしている!?』


「うるせぇ黙れ!!シバキ回すぞ!!」


『ひっ!?』


ありったけの殺意を込めて脅すとスレイプニールは短く悲鳴を上げて一歩後ずさる。

どうやらこちらの力がこれだけで伝わったようだ。


『な、なんという殺意だ。それにこの魔力量、主神と同等…いやそれ以上…。』


「がぁぁああああああ!!!!もう口実が無くなっただろうが!!どうしてくれんだコラァ!?」


『いや、我は呼び出されたから来ただけで…。』


「言い訳すんじゃねぇ!!」


『そんな理不尽な!?』


「ね、ねぇジーク?これはこれで良かったじゃない。こんな高位の幻獣召喚が成功したのよ?この子がいれば目的は達成できるのよ?」


見かねたシファが俺とスレイプニールの会話に入ってくる。


「そうか!!」


「そうよ!!」


「こいつが俺に牙を向いてそれを返り討ちにすればまだ召喚を続けられる!?」


「一つも私の話聞いてないじゃないの!?」


シファが何か言っているが何を言っているかよくわからん。

今は早急にこいつを始末して神様狩りを始めなければならんのだ!!


「おいお前、俺に永遠の忠誠を誓い僕となれ。」


おれはありったけの殺意を込めてスレイプニールに命令する。


『は、はい!!誓いますのでどうか命だけは!!』


「はぁぁぁああ!?なに頭垂れてんだよ!?歯向かって来いよ!?誇りがねぇのかお前にはよ!!」


『そ、そんなこと言われても…。』


「いい加減にしなさい。」


そんな言葉と共に後ろから頭をはたかれる。


「はっ!?俺は一体何を!?」


俺の前には8本足の巨馬がこちらに向かって頭を下げていた。

その姿は召喚を狙っていたスレイプニールそのものだ。


どうも直近の記憶があいまいだが、どうやら召喚に成功し、契約にも成功したようだ。

きっと何度も召喚に失敗し、天使共と連戦したせいで疲れが溜まっているのだろう。

そしてついに召喚に成功したところで意識が戻ったということか。


「これからよろしく。スレイプニール。」


『う、うむ?よろしく…でいいのか?』


俺の後ろではシファが今日一の大きなため息を吐いていた。

新しい仲間が出てきました。

スレイプニール…立ち位置がシュラさん側な気がしますね。

そう言えば最近シュラさん出てきてないですね。

どこかでねじ込むか…。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] ギャグなんだろうけど、さすがにこれは酷いw 強くなって気が大きくなったから、 弱い奴をいびってるようにしか見えんぞ 今後はシファに手綱取ってもらうしかないな
[一言] 戦闘狂すぎる
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