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129.踏破者、第二王女に王戦の話を聞く②

「私が貸し与えられたのはシュタイン領。王国の北端にある土地ですわ。」


ティアが紅茶を一口飲んで話し出す。


「北の領地か。どんなところなんだ?」


「一言で言うと【戦地】でしょうか。王国の北にある山脈を越えた先が魔族の領地という事はご存じだと思います。シュタイン領はその山脈に隣接しており、日常的に魔族の侵攻に晒されている土地なのです。」


「ほう。その【戦地】を繁栄させろという事か。聞いただけだと無理難題だな。」


「ええ、現実的には魔族の侵攻を止めて生活を豊かにする方向に力を入れて行かないといけないのでしょうが…。戦うために集められた傭兵や戦闘依頼を好むハンター達が多くいる場所ですので、そう言った方針を取った時にどういう事態になるか…。そもそもどうやって魔族の侵攻を止めるかもアイデアは無いんですけどね。」


「魔族を滅ぼせばいいんじゃないか?」


「そんなことをさらっと…ジークさんならやりかねなくて怖いですわ…。」


「【厄災招来(メテオライト)】を数十発放り込んでやればいいんだろ?」


「本当に滅ぼしそうですわ!?」


「まぁ魔族も全員が人と相容れないと考えている訳でもないだろうから、問答無用で滅ぼすみたいなことはしないけどな。」


「はぁ。あとは、シュタイン領で実権を握っているのは武官と言うところが特徴でしょうか。今は国防軍のトップであるネレウス将軍が全権を握っています。」


「軍人が?」


「ええ、ですのでシュタイン領はかなり軍人が生活しやすい環境になっているようです。その分一般人は不満が溜まっているようですが、軍人が居ないと魔族に攻め滅ぼされてしまうので我慢を強いられているという状況のようです。」


「…気に入らんな。」


「ネレウス将軍か…。」


そうつぶやいたのはレクシアだった。

目を向けると苦い顔をしている。


「知っているのか?」


「以前王都に来ていてその時に挨拶を交わしたことがあるのだが…。かなりしつこく俺のものになれ的なことを言われてな。あまりいい印象はない。」


「…確かにネレウス将軍にはそういう…女性関係が派手というか…何人もの女性を周りに置いているという話もあります。」


「まぁそれは本人たちが好きでそうしている可能性もあるから何とも言えんな。」


「まぁそうですわね。」


「しかし、女好きの軍人が実権を握っている領地か。碌なもんじゃなさそうな匂いはぷんぷんしているな。」


「私も同感ですわ。一応領主代行として代官の派遣もされていますが、機能はしていないようですわね。」


「そこにティアが新領主として着任すると。」


「私の最初の仕事はその国防軍を指揮下に入れる事ですわね。」


「…そこで俺たちの出番ってわけか。」


「申し訳ないとは思いますが、正直戦地も経験していない私が何を言っても彼らは耳を貸さないでしょう。言葉と思想が伝わる相手で無ければ私は無力です。」


「そこで奴らの流儀に則ってねじ伏せる方針を取るわけか?」


「もちろん説明は尽くして協力を得られるように努力はします。シュタイン領を発展させるために協力体制が得られれば良し。ですが自分たちの利権に執着するのであればその考えは改めてもらう必要があると思っています。」


「…いいだろう。なにより本当にそう言った政策を取っているトップが居るんだとしたらそいつには教育が必要だしな。付き合おうか。」


そう言って俺は口を歪めて笑う。

その顔を見たティアの表情が少しひきつる。


「やりすぎないようにお願いしますわね。」


それはどういう意味だ。




◇◇◇◇◇




「というわけでシュタイン領へと行くことになった。と言っても向こうに拠点を移すという訳ではない。最長でも5年だし、王都とは行き来しながらの生活になるだろう。」


ここは拠点の応接室。

今この拠点に居る全員がここに集まっている。


「シュタイン領ですか。たしか軍事的に重要な土地でしたな。」


そう返すのはシルバだ。

流石辺境伯家で執事長をやっていた上に元軍属。

そう言った情勢にも明るいらしい。


「ああ、それで皆にはこの拠点に残るか北まで一緒に行くかを決めてもらいたいんだ。」


「であれば私が付き添いましょう。メルとリルはこの拠点の維持管理を任せます。…あの土地は位の低い女性には生活しにくいでしょうから。」


こっちの言いたいことは何も言わずに伝わっているようだ。

もしかしたら心を読む魔法でも使用しているのだろうか。


「そう言うわけだ。ティアとレクシア、レベッカはどうする?」


「もちろん私はジークと一緒に行動する。」


「私もだ。師匠に付いていく。」


「ボクも。パズズおじちゃんもいるし大丈夫だと思う。」


こっちの女性陣は即答だった。

まぁここ最近の修行でレクシアもレベッカもかなり強くなっている。

その辺の軍人になら後れを取るようなことはないだろう。


「よし、じゃあメル、リル、この屋敷の事は頼んだぞ。他は全員でシュタイン領へ行く。出発は明後日だ。」


それぞれが頷く。

それを確認し俺も頷く。

そして集まりは解散となった。


さぁ次は移動の準備だ。

大人数で何週間も移動なんてしてられないからな。


久々にあれをやるか。

ネレウス将軍…新しいモブキャラ出てきましたね。

美女を引き連れたジークさんがネレウスさんと対峙した際にどうなるか…。

はい、だいたい予想通りでしょう。期待は裏切りません。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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