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124/218

124.踏破者、オークション会場を制圧する。

「私はこの王国第二王女の王族専属騎士(ロイヤルナイト)。これよりあなた方を拘束させていただく。」


俺がステージ上でそう宣言する。

先程まで拍手をしていた貴族共に困惑が広がる。


「なに?」

王族専属騎士(ロイヤルナイト)?」

「演出かしら?」


そこかしこでこそこそと話す声が聞こえる。

まぁあの一言だけでは状況は理解できんわな。


「静かに!! 不用意に立たないように!!逃げようとしたり攻撃を行おうとするような素振りを見せた場合には処分する!!」


俺は声を大きくしてそう説明する。

だが、いくら大人しくと言ってもそれを受け入れれない輩はいるものだ。


すっと大男が2名立ち上がる。

明らかにオークション参加者ではなく、参加貴族の護衛だと思われる。

この闇オークションは護衛の同席を良しとしているうえ人数制限もしていないので、多い貴族だと5人位の護衛を同伴して参加する者もいる。


「【影突(シャドウランス)】」


立ち上がり、こちらへ向かおうとしていた大男が影から突き出した棘に貫かれる。

少しのうめき声と共に倒れた大男を見て近くにいた貴族が悲鳴をあげる。


「もう一度説明するぞ!! 反抗する者は処分する!!」


だが今度は何人もの護衛が立ち上がる。

さっきのを見ていなかったかのかな?


「【影突(シャドウランス)】」


立ち上がった奴らに対し即座に魔法を行使する。

護衛たちは全員がその場に倒れた。


「なんだか面倒になってきたな。いっそのこと全員殺してしまうか。」


俺は多少の殺意をオークション会場全体に放つ。

力の差があればこの殺気を受けただけで身動きできなくなるだろう。

そんな雑魚に用はない。


しんと静まり返った会場を見渡す。


その時VIP席から飛び降りる人影が見えた。


「【影突(シャドウランス)】」


すぐさま魔法を放つが、その人影は影から突き出る棘を両の手に持った剣で上手くさばいて躱しきる。

そして会場をあっという間に走り抜けてステージ上へと飛びかかってきた。


「【影突(シャドウランス)】」


俺はその突撃者が繰り出す斬撃を引き抜いたシュラで受け止めながら再度魔法を発動する。

だがターゲットはこの突撃者ではない。


「ぐあっ!?」


悲鳴の主はこの突撃者の主だ。

俺にコイツをけしかけたタイミングでVIP席から逃げ出そうとしていた男の足が棘によって串刺しになったのだろう。

立っていられなくなって倒れこむ姿を視界の端で捉える。


「!?…おのれ、貴様っ!!」


突撃者が主への攻撃に気付き激昂する。

続けて繰り出される斬撃を躱し、往なしながらその力量を見定めていく。


やはりこの男、共犯者だったか。


「元王国騎士団長様まで闇組織と繋がりがあったんだな。その罪は重いぞ。」


俺が素性を言い当てたからか、戸惑いを隠せない突撃者。


この男はヴァン侯爵家の執事長で元雄王国騎士団団長だ。

少し剣を受けてみたが、今なおレクシアと同じくらいの腕は持っているようだ。

まぁ俺の相手ではないが。


今回のオークションにメインターゲットのヴァン侯爵が来ていることは参加者リストで知った。

オークション(こっち)の対応に当たるためティアに任せるつもりでいたが、わざわざ俺の所に出向いてきてくれたのは僥倖だ。


「…誰に何と言われようと主人の歩む道を共にするのみだ。」


「それが人の道を外れていてもか?全く賛同できんな。」


そう言って俺はシュラを構える。

突撃者の男も姿勢を低く構える。


勝負は一瞬だった。

低い構えから放たれた矢のような速度で突っ込んで来て斬撃を繰り出す突撃者。

俺はその斬撃を躱すことなく(・・・・・)、剛力を使用して突撃者にシュラを振りぬく。


突撃者の剣は鉄壁を使用した俺の体に食い込むことなく止まり、その直後のシュラの斬撃により使い手の体ごと真っ二つになる。


「今回もギリギリまで戦闘力を落として戦うのかと思ったわ。」


背後からシファに話しかけられる。


「失礼な。俺だって時と場合は考える。今はそんなことに注力する場面じゃないからな。それにこれくらいの使い手なんざどこにでもいるだろ。」


「…その人元王国騎士団長なんでしょ?」


俺はステージ上で絶命した侯爵家の執事長を一瞥することなく歩き出し、ステージを下りた。

そのまま歩いていく先はVIP席だ。


席の間の通路を歩くと、すぐ手の届く位置にまで来たタイミングで何人かの護衛が俺を取り押さえんと席を立とうとする。

俺はその護衛たちが椅子から腰を浮かしたタイミングで次々と粛清を実施する。

次第に俺に立ち向かおうとする者はいなくなった。


「うう…。」


VIP席には両足から血を流し床に這いつくばる男がいた。


「はじめましてヴァン侯爵。今宵はあなたの罪を断罪しに参りました。」


ヴァン侯爵は顔に脂汗を浮かべながらこちらを見上げる。


「だ、断罪だと?儂が何をしたというのだ。」


「こんな闇組織の催しに出ているだけでも犯罪なのですがね。もう感覚がマヒしてるのかな?」


俺はヴァン侯爵の後ろ首を掴み持ち上げると、そのまま侯爵を引きずってステージ上に戻る。

ステージには会場に居る参加者を片っ端から【光拘束(ホーリー・バインド)】で拘束していっているシファがいた。

会場には俺がステージを下りた隙に逃げようとしたものもいるのだろう。【雷蛇(サンダー・バイト)】を受けて気絶した者たちも転がっていた。


間もなく王国騎士団がここに到着し、生きている者をすべて連行する手はずになっている。

この闇オークションの主催者連中も死者を除いて全て拘束済みだ。


こうして大捕り物の夜は大きな波乱なく更けていった。

オークション制圧回では大立ち回りまでは行かなかったですね。

まぁ流石に戦闘力のない人たちを傷付けても…ということで。

またそろそろ大暴れさせたいですね。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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