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115.踏破者、3度目の【指定依頼】を受ける

いつもご愛読いただきありがとうございます。

また評価いただき、500ptまで到達することが出来ました。

貴重なお時間を割いてブックマーク、評価いただけている方々に感謝いたします。

このptの上昇は作者のやる気にしっかりと繋がっています。

重ねて御礼申し上げます。

それでは続きをどうぞ!!

「『名無し(ネームレス)』の皆さんよく来てくれたにゃ。」


王都東ギルド、そのマスター室。

執務机の奥、そこにある椅子にはフェリスが座っていた。


「マジでギルドマスターだったのか。」


疑っていたわけではないがそう言いたくなる。

これまでさんざん雑談して受付業務もして貰っていたのだ。


「にゃはは。うちはギルド職員上がりで戦闘力がないからそう見えないかもしれないにゃ。」


「いや、戦闘力の有無とかではなく普段の言動のせいだな。」


「フレンドリーって事にゃ。それは褒め言葉にゃ。」


嬉しそうに笑うフェリス。

その時後方から声が上がった。


「それで、なんで『師匠と剣姫のラブラブ隊』が改名されているんだ?まだその名前で活動すらしたことなかったのに…。」


声の主はレクシアだ。

今日はパーティとしての話だと言うと嬉々として王国騎士団の仕事をキャンセルして有休をゴリ押していた。

パーティ名の事は伏せていたのだが、さっきギルドの受付で名前を呼ばれてそれが発覚。

その後は頬を膨らませっぱなしなのだ。


「仕方ないにゃ、王都の滅亡を阻止する為にゃ。」


「確かにそんな冗談を言ったな。はっはっは。」


「冗談のレベルじゃなかったにゃ!!意識が戻らないギルド職員が3名病院送りになってるにゃ!!」


なに?そんなことになってたのか。

…それってあとで治療費請求されるのだろうか。


「それに私ではパーティ名を変更できないようにされていたぞ!!どういうことだ!?」


「お前いつの間にそんな試みしようとしてんだよ!?」


え?今ギルドに来て職員に連れられてマスター室に来たんだよね!?

一緒に行動してたよね!?

そんな話する暇なかったよね!?

ドッペルゲンガーとかでもいて記憶を共有でもしているのか!?


「それも仕方ないにゃ!!うちはこの東ギルドを守る必要があるにゃ!!」


「お前もお前で俺を悪者みたいに言ってんじゃねえよ!!」


「じゃあ温まってきたとこで【指定依頼】の説明をするにゃ。」


お、おう。

バッサリ切り捨てて本題に突入したな。


フェリスは執務机から俺達の前へ来ると、俺たちにソファへ座るように促しテーブルに何枚かの資料を置く。

それは賞金首の似顔絵と懸賞金が記されたいわゆる手配書だった。


「これは?」


「お兄さんたちはギルドが賞金首に懸賞をかけていることは知っているかにゃ?」


「知識としてはな。これまで関わったことはなかったが。」


犯罪者と言うのはいつの時代、どこの場所でも出てくるものだ。

普通は犯人が割れればその犯罪の起こった町の治安維持団体や、領主等の管理貴族から懸賞金を掛けられるのだが、町間の移動が容易な現代では国や町から独立し、全国へ展開されている組織としてハンターギルドがその任を請け負ったという経緯がある。

ハンターの中には賞金首の討伐を主に活動しているものもいるそうだ。


「要は賞金首の討伐依頼か?…ん?こいつら…。」


俺は賞金首の手配書を見ていて気付いた。

フェリスが見せてきた手配書には全て『済』と書かれた判が押してあるのだ。


「そうにゃ。その手配書にある賞金首は全て捕縛済みなのにゃ。」


「どういうことだ?」


「…実はそこにある賞金首は全て王都北ギルドで留置されていた奴等なのにゃ。処刑待ち、犯罪を犯した町への移送待ち、取り調べ中、処置段階はまちまちな奴らなんだけどにゃ。…逃げられたのにゃ。」


「は?」


「この間の、王都北部への進入禁止令の話は覚えてるかにゃ?あそこの調査には王都北ギルドの職員やハンターも狩りだされてたんだにゃ。それで警備が手薄になったところを突かれて脱走を許してしまったのにゃ。」


俺は再び手配書を見る。

逃げ出したのは7名か。

Aランク賞金首2名、Bランク賞金首5名。

賞金首のランクは討伐難易度で示されるらしく必ずしも戦闘力とは一致しないが、大抵の場合は戦闘力を基準に設定されるらしい。

そして、賞金首のランクとハンターランクはほぼほぼ同義らしい。


「その賞金首たちにそそのかされて脱走を手伝ったハンターかギルド職員がいるようなんだにゃ。まだ特定まではできてないんだけど、そいつも戦力に加わってくる可能性があるにゃ。」


「それは…Aランクパーティでも手を焼きそうだな。」


「ギルドとしては信用失墜の大失態にゃ。すぐに王都北ギルドからAランクパーティ『蒼天の月』が出撃したんだけどにゃ…全滅したにゃ。」


「おいおい…。」


「『蒼天の月』はAランク1名、Bランク3名のパーティにゃ。荷が重かったのに王都北ギルドが焦ったんだにゃ。恥の上塗りにゃ。」


フェリスが言う恥の上塗りは討伐に失敗したことではなく、無理筋な任務をハンターに押し付けたことだろう。

俺達に依頼を出す時にハンターの力量と依頼難度を見極めていると言っていたし、ギルド職員としての矜持のようなものがあるのは想像に難くない。


「脱走した賞金首は王都北西の森に潜伏しているらしいにゃ。このまま放っておけば近隣の町や村に被害が出ることは明白にゃ。そこでお兄さんたちにこの賞金首たちの討伐を依頼したいんだにゃ。」


「おいおい、Bランク2名にEランク1名のパーティだぞ?」


「実質Aランク3名にゃ。というか誰かさんはSランクの実力を持っていると思っているにゃ。」


「…ハンターの実力の見極めね。まぁいいだろう。受けるよ。」


「本当にゃ!?実はもうちょっと交渉が必要かと思っていたんだにゃ!!ありがとうにゃ!!」


「ふっ、そんな悪党どもをのさばらせたままなんて俺の正義の心が許しはしないぜ。」


こうして俺たちは脱走した賞金首の討伐の【指定依頼】を受けることになった。

…発端が俺が原因の王都北部爆発事件であったことから心を痛めていたことは内緒だ。

因みに病院送りになったギルド職員(欠員)のせいで過労になった他の職員が1人追加で病院送りになっているとかいないとか…。

フェリスさんはフェリスさんで自分の軽口のせいで職員が病院送りになったとも考えているのでそれを咎めたりはしません。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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