114.踏破者、パーティを結成される。
「ふっふっふ。ハンター登録完了したぞ。」
勝ち誇るレクシア。
そこで声に反応したシファが後方を振り返りレクシアが居ることに気付く。
「もう登録して帰ってきたのか…。凄い行動力だな。」
「信じられない…。十数分しか経ってないはずなのに…。」
「これも私の師匠への想いのなせる業だな。」
まぁハンター登録自体時間のかかるものではないのでスムーズにいけば行き帰りの時間だけ短縮できればこの時間でも往復可能なのだろう。
…それでも凄まじいスピードで往復したことになってしまうが…。
速度アップ系のスキルでも持っているのだろうか。
「ギルドでハンター登録申請したところ騒ぎになってしまったがな。ある程度有名なのも考え物だな。その代わり特例でEランクスタートになったからまぁ良しとしよう!!」
「【剣姫】って有名なのか?」
「王都ではそれなりの知名度だと思うぞ。何せこの容姿に騎士団トップクラスの実力だからな。人気が出ない方がおかしい。」
「それ、自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「事実だ。」
どうだと言わんばかりに胸を張るレクシア。
「あ、そう言えばハンター登録に合わせてパーティ申請もしておいたぞ。」
「パーティ申請?」
「ん?ギルドでは『パーティ登録の際はギルドへ申請書を提出してください』と言われたぞ?聞いてみたら師匠たちは登録がなかったみたいなので私の方でしておいた。」
「おいおい、何を勝手に…。」
「師匠とシファ殿と私の3名で登録したんだ。パーティ名を聞かれたから『師匠と剣姫のラブラブ隊』にしておいた。」
「なんだそれは!?」
なに!?
これ何のいじめを受けてるんだ!?
いや落ち着け。名前何だっけ?…『師匠と剣姫のラブラブ隊』?
「絶望しかないわ!!何だそのいい所が一つもない名前はっ!?」
「ん?師匠と私が二人三脚で戦うパーティだからいいんじゃないか?」
ダメだ。
何がダメかがわかってない所もそうだが、こいつは何から何までダメだ。
「…私もパーティに居るんだけど?」
「まぁシファ殿はおまけだな。うん。」
「…2人が良かったなら私を申請しないって方法もあったと思うけど、なんで?」
「はっ!?…ほ、本当だ。師匠と2人で登録すればよかったのか!!うぉぉぉぉおおおお気付かなかったぁ!!」
「…馬鹿ね。」
俺とレクシアは頭を抱えて悶えていた。
◇◇◇◇◇
「おーお兄さんじゃないかにゃ。今日は依頼受けていないと思ったけどこの時間から何か受けてくれるのかにゃ?」
「馬鹿の後始末だよ…。」
レクシアの話を聞いた後、俺は一人でギルドまで来ていた。
もちろんパーティの登録名を修正するためだ。
そしてギルドに入ったところでフェリスに見つかったところだ。
「パーティの登録名を変更したい。」
「あーパーティの登録名は規則で変更できないにゃ。」
「なら王都ごと記録を消し炭にしてやる。」
「発想が怖いにゃ!!冗談にゃ!!その殺気を押さえるにゃ!!耐性のない職員が気絶して行ってるにゃ!!」
「つまらんこと言ってないで手続き進めてくれ。…次はないぞ。」
「お兄さん今まで見た中で一番本気にゃ…。『師匠と剣姫のラブラブ隊』そんなに嫌だったにゃ。」
フェリスに知られていた。
と言うか本当にその名前で登録していたんだ…。
実はレクシアのジョークだったってオチを少し期待していたんだがな…。
「マジでその名前なんだな…嫌に決まってるだろ。」
「にゃはは。王国騎士団の【剣姫】がハンター登録に来たって騒ぎになったからにゃ。人気・実力ともにトップクラスの王国の顔の1人にゃ。しかもハンター登録と共にパーティ申請までするんだからにゃ。その場にいた職員もハンターもどんな人と組むのか興味津々だったにゃ。」
「あいつ本当に有名だったのか…。」
「超が付く有名人にゃ。…まぁその時はどんな人と組むかが興味の対象だったんだけどにゃ。パーティ名が『師匠と剣姫の ぷっ ラブラブ隊』だったからその場がいたたまれない空気になったにゃ。」
やっぱりそうなるよな!!
っていうか今パーティ名言う途中でちょっと吹いたよな!?
「という訳で今このギルドのもっぱらの話題は『師匠と剣姫のラブラブ隊』にゃ!!そのパーティメンバーもいろいろ詮索されてるにゃ。」
完全な悪目立ちしてやがる。
「はぁ。とりあえず名前は変えさせろ。あと、レクシアが何を言ってきてもパーティ名を変えれないようにしてくれ。」
「?それは【剣姫】に言えばいいにゃ?」
「あいつ人の話聞かないんだよ。会話が成立しないっていうか。」
「お兄さんも苦労してるんだにゃ…。」
なんか可哀相なものを見る眼で見られている。
「それで、何て名前に変えるんだにゃ?」
「ああ、『名無し』で頼む。一時期その名前を充てられていたことがあってな。」
「ふーん。若干お洒落なのが気に入らないにゃ。」
「よし、このギルドには地図上から消えてもらおう。」
「ちゃんと続きはするにゃ!!お兄さん今日はすごく怖いにゃ!!」
そう言うとフェリスは近くの職員を呼び、早急に改名するように指示を出す。
ん?フェリスがやってくれるわけじゃないのか?
「実はお兄さんにお願いしたい仕事があるにゃ。」
「ん?またどこぞの依頼か?」
「そうにゃ。ギルドからの【指定依頼】にゃ。この前話したA級昇格試験としても扱えるから達成の暁にはお兄さんも晴れてAランクになれるにゃ。」
「真面目な依頼みたいだな。」
Aランク云々はともかく、【指定依頼】はそう乱発されるものではない。
「そうにゃ。明日にでもメンバーを連れてマスター室に来てほしいにゃ。」
「わかった。…そう言えばここのマスターには会ってないな。」
「ん?うちが王都東ギルドのマスターにゃ?知らなかったのかにゃ?」
「は?」
本当に今日は驚かされる事ばかりだ。
レクシアさん暴走からのフェリスカミングアウト回でした。
フェリスさんは当初ただの職員だったのですが、変にキャラが増えてもと考え直されてのマスター兼任になりましたとさ。
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