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103/218

103.踏破者、侯爵家潜入の打ち合わせをする。

朝、レクシアがうちに居座るようになってからは2人で早朝の鍛錬を行っている。

とはいっても俺は普段通りの鍛練をしているだけだが。


「では師匠、よろしくお願いします。」


「ああ、3倍でいいんだよな?」


「はい!!」


「【(プレス)】」


俺が魔法を行使すると、レクシアの周囲に重力場が形成される。


「くっ…。」


若干辛そうではある。

だが、レクシアはそれに耐えて素振りを敢行する。

まだ一振りごとに体勢を崩しているし、振り下ろし以外の振りは線も乱れている。

この環境下での鍛錬は当分続きそうだな。


だが、俺が居なければこの負荷の鍛練は出来ない。

俺もハンターだし、先日のように何日も拠点を離れることもあるだろう。

…エレオノールとジルオールにでも相談して魔法をストックできる魔道具か俺の魔法を再現できる魔道具かを作ってもらえないか聞いてみるか。


ちょうど今日は彼女らに会う予定なのだから。




朝の鍛練を終えて汗を流した後は食堂へ。

この時間にはシファもレベッカも起床してきており、シルバ、メル、リルも含め全員が食堂に揃う。


「じゃあ今日のスケジュールの確認だ。今日は明後日のヴァン侯爵家潜入の前打ち合わせをアルカディア魔道具研究所で行う。これには俺とシファで当たる。レクシアは王城騎士団勤め、レベッカはまた悪いが待機だ。」


「うう、仕方ないですよね。」


残念そうな声の主はレベッカだ。


ヴァン侯爵の件が落ち着くまではレベッカにはあまり外を出歩かないようにお願いしている。

彼らに購入されたことのある彼女は顔が割れてしまっている危険性があるのだ。

奴隷時代とは身だしなみや衣類が大きく違うため、すれ違ったくらいで気付かれる可能性はほぼないのだが、念のための処置である。


彼女が自由に王都を歩けるようにするためにも、早くこの件終わらせないとな。


朝食を食べ終えた俺は席を立つ。


「よし。シファ、行こうか。」


「うん。」


同意して席を立つシファ。


「ん?師匠とシファ、何かあった?」


そう言ったのはレクシアだった。


俺とシファの動きがピタリと止まる。


今のやり取りに何か感じる所があったのだろうか。

だとしても鋭すぎやしないか?


俺とシファの目が合う。


「別になにもないぞ。」「別に何もないよ。」


「怪しすぎる!!」


動揺していたからかシファと返事がハモってしまった。

これは俺から見ても相当に怪しい。

とはいえ、こんなところで問答する気はない。

レベッカもいるし、何よりさっきからメルとリルの視線が凄い。

ミカエルと相対した時より圧を感じるんだが、やるな双子。


「おっともう行く時間だ。シルバ、後は任せたぞ。」


「かしこまりました。行ってらっしゃいませ。」


「ちょっと!!」


俺達は追いすがるレクシアを振り切って拠点を後にした。




◇◇◇◇◇



「あら、いらっしゃ~い。」


打ち合わせ室に入ると所長のエレオノールさんが出迎えてくれた。

これまでとは違い、関係者用のパスをもらっているので関係者入り口から研究所に入り会議室まで直行というルートで来ているため、今回は彼女の案内はない。

ここはジルオールさんの事務室のある棟とは違う建屋で、食堂などの複数の研究者や関係者が使用する施設だ。

そのため建屋に入るのに厳重なセキュリティはないとのことだったが、会議室自体には防音や盗聴防止等の魔道具がふんだんに使われているところは流石だ。


「その緩い話し方は演技じゃなかったのか?」


前回、この施設への潜入を問われた時にはしっかりとした口調で話していた。

それ以前の一研究員のふりをしていた時の緩い口調は油断を誘うためだの言っていたような…。


「演技でも続けていると~、素になるもんですよ~。」


そう言って彼女が笑っていると、副所長のジルオールさんが会議室に入ってきた。

相変わらずの長髪でその表情は窺い知れない。


「ああ、もう揃っていますね。早速始めましょう。」


会議室のドアをロックして資料を配るジルオールさん。


「明後日の製品の定期納入ですが、照明の魔道具や水浄化の魔道具といった日用品のみです。普段は屋敷の裏手にある納品場所にものを納めるだけなのですが、今回は研究所側からオーダー品の仕様について相談があると連絡を入れて侯爵に時間を取っていただいています。」


「そこで侯爵との会談中に調査をすればいいんだな?」


「ええ、ですが比較的楽に入ることが出来る納品場所には常に私兵が2人居て、目を光らせてます。打ち合わせには護衛を連れて屋敷に入ることはできませんので、表面上、ジークさんたちには納品場所で待機してもらう事になります。」


「ほう、となるとその私兵2人の目を盗んで侵入せねばならんのか。」


「はい。しかも納品場所には魔法探知が張られていて、魔法の行使が禁じられています。もし魔法を行使したら発報されて大騒ぎになってしまいますね。」


「ふむ。結構な足枷があるな。一旦外に出るのは?」


「私を置いていくことになるので不自然ではないでしょうか。」


「では、身体強化系のスキルの行使は?」


「それはおそらく大丈夫です。」


「ならやりようはありそうだな。」


「本当ですか~?私聞いてても突破口が思いつきません~。」


「ああ、任せておけ。」


その後、より詳細な内容の詰めを行い、アルカディア研究所を後にした。

いよいよ、ヴァン侯爵家への潜入開始だ。

因みにエレオノールさんは34歳

ジルオールさんは32歳の設定です。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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