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101/218

101.踏破者、湿地帯依頼の報告をする。

湿地帯から戻った俺とシファは、依頼の品を収めにギルドへと入った。

他のハンター達も依頼達成したものが報告に来ているのか受付には少し列ができていた。


「仕方ないな。並んでくるからちょっと待っててくれ。」


「ん。じゃあまた適当に座ってるわ。」


そう言って打ち合わせスペースに向かうシファ。

その、俺が一人になったタイミングを見計らったかのようにバックヤードからフェリスが出てきた。


俺と視線が合うとにっこりと営業スマイルを作り出して近づいてくる。


「やっぱりさすがだにゃ。あっさりと依頼達成してしまうにゃんて。」


「うるさい。碌に情報も与えず新人ハンター放り込んでいいとこじゃないだろあそこは。」


「Bランクハンターは新人なんて扱いされないにゃ。それにちゃんと斡旋する仕事の難易度とハンターの実力はちゃんと天秤にかけてるにゃ。」


「意外とやり手なんだな。油断したよ。」


「容姿がこんなだからにゃ。有効活用してるだけにゃ。みんなコロッと騙されてくれるにゃ。」


「騙す気だったんじゃねぇか。」


「にゃはは。お詫びに依頼達成処理すぐしてあげるにゃ。」


そう言ってフェリスは依頼品の入った麻袋とタグを受け取りバックヤードへと戻っていった。

少し待つと今度は小袋を持って出てきた。


「依頼達成を確認したにゃ。はい報酬にゃ。」


俺はタグと報酬の入った小袋を受け取る。


「それと、今回の依頼達成で必要条件を満たしたのでAランク昇格試験を受けれるようになったにゃ。」


「ん?昇格試験?」


「そうにゃ。Aランク昇格試験は『3つ以上のギルドマスターの推薦』『1つ以上の貴族の推薦』『2つ以上の【指定依頼】の完遂』『Aランク以上の魔物の討伐経験』『1つ以上の特殊環境依頼の完遂』の5項目を全て満たす必要があるにゃ。」


「情報が多いな。」


「お兄さんの場合、『3つ以上のギルドマスターの推薦』についてはスリアド、ライラック、コウナードの3つのギルドからすでに推薦が出ているにゃ。『1つ以上の貴族の推薦』については…これは驚きだけど第二王女殿下から推薦が出ているにゃ。お兄さん何者にゃ?『2つ以上の【指定依頼】の完遂』はコウナードとライラックで完遂済み。『Aランク以上の魔物の討伐経験』については…Sランクの討伐経験が記録されてるにゃ。お兄さんやばいにゃ。そして今回の湿地帯での依頼達成で『1つ以上の特殊環境依頼の完遂』がクリアされたにゃ。」


「一気に喋りすぎだ。」


それとティアが俺たちに推薦出してるなんて話初めて聞いたぞ?


「まぁ手続き上の話のことはいいにゃ。要は受験資格を得られたというだけの話にゃ。仲間のお姉さんとも相談して受験する気になったらその旨職員に伝えればいいにゃ。」


それだけ言うとフェリスは再びバックヤードへと戻っていく。


ん?何か用事があって出てきたんじゃなかったのか?

まさか俺たちがギルドへ戻ってきたのを察知して出てきたわけじゃないよな?


なかなか謎の多いギルド職員だ。


さて、だいぶ早く終わってしまったがギルドでの用事は済んだ。

シファに話して拠点へ戻ろう。


Aランク昇格試験のこともあるし、今後のシファとの付き合い方のこともある。

先延ばしにはできないし、長い夜になりそうだ。




拠点へ戻ると屋敷前の庭でレベッカとレクシアが訓練をしていた。

レベッカがゴム製の矢じりの矢を射て、それをレクシアが回避するというものだ。

もちろんパズズの補助はない。


「23本目行きますよ~、ふっ!!」


レベッカはすっと右ひざを地に付き、定点射撃の態勢に入る。

かと思えば一気に矢を連射し始めた。

その速度は2秒に3射くらいだろうか?なかなかの速度だ。


「ふっ!!集中っ!!」


対するレクシアは木剣でその矢を次々と叩き落としていく。

レベッカが1射ごとに狙いを変えて打ち込んでいるのを瞬時に見極め、適切な振りを選択しているようだ。


「流石やりますね!!ではこれならどうですか!!」


レベッカはこのままではすべて回避されてしまうと読んだのか次の手を打つ。

今度は1射ごとに速度差をつけ、『どこを狙うか』に加えて『緩急』を加えたのだ。


「ぐっ!?小癪な!!」


タイミングがとりにくくなったことでレクシアの剣筋がブレはじめる。

そして右肩を狙われた緩い矢を弾き上げた後の左足脛を狙った早い矢に防御が間に合わず、直撃を許してしまった。


「くっ!!」


「やった!!これで9勝14敗ですよ!!まだまだこれからです!!」


これは思ったよりハイレベルな攻防が繰り広げられているようだ。

そこで一本終えたレベッカが俺たちに気付く。


「あ、おかえりなさい!!」


「ああ、ただいま。また上達してるな。また今度一緒に依頼の処理に行ってみるか。」


「うん!!しっかりトレーニングしとくから楽しみにしておいて!!」


続けてレクシアも声をかけてくる。


「おかえりジーク殿。今のは不覚を取ったがこれは50本勝負だ。最後には私が勝つぞ!!」


「レベッカ相手にムキになるなよ…。」


っていうか50本勝負ってなんだよ。

引き分けあるやつじゃんか。


「あ、俺とシファは湿地帯帰りで結構汚れてるんだ、先に風呂入らせてもらうぞ。間違って入ってくるんじゃねえぞ。」


「わかった!!」「承知した。」


レクシアだけが心配だが、レベッカが一緒なら無茶はすまい。

俺は2人の返事を聞いて拠点へと入る。


「私は一緒でもいいのかな?」


無言で俺について拠点へと入ったシファがそう尋ねてくる。

普段なら断るとこだが、まぁゆっくり話せる場所でもあるしいいかとも思う。

というか断わっても勝手に入ってくるだろうしな。


「良いけど、ちゃんと隠してくれよ。まともに話ができなくなるからな。」


理解しているかはわからないが、シファはしっかりと頷いてくれた。

Aランクハンターはかなりの上位ハンターで、漏れなく二つ名が付きます。

2人の二つ名をどうするか悩むところですね~。

しかし、Aランク昇格試験はまた後程、次話のジークさんとシファさんの話の後はヴァン侯爵家ルート再開です。

あ、次話には艶めかしい描写はありませんのでご安心?ください。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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