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10.無才の男、最下層に至る。

初評価いただきました。ありがとうございます!!

ダンジョン編はサクッと終わるのでご安心を!!

『其方は何を思う?』


刀となっている阿修羅王-シュラが話しかけてくる。

因みにシュラの刀化は鞘も同時に生成されているため、腰ひもに通して保管している。


「んー。ぶっちゃけ、楽しみって感じが強いかな。もう道中の敵や階層ボスは期待外ればかりだったし。」


今俺は99階層から100階層への階段を下りている。

ルシフェルの言う事に嘘がなければ、この先がこのダンジョンの最終階層で、そこに奴が居るはずだ。


ここまでボスを倒してはそこで得たスキルを成長限界となるまで鍛え、そしてダンジョンを1階層から攻略し直すというルーティーンを繰り返してきた。

シュラが最初は「暇だ」「そこまでする必要あるのか」「早く先へ進めばいいのに」「もうダンジョンマスターより強いのに」とか言っていたが、「いつか負けた時に最善を尽くしたと言えないと後悔する」としてルーティーンを崩すことはなかった。

シュラも最後の方は何を言っても無駄と理解したか駄々をこねるようなことはなくなっていた。


『先に言っておくが、其方が期待してもそれだけ落胆が大きくなるだけだぞ?』


「そんなことはないだろ?ダンジョンマスターだぞ。きっと死力を尽くして臨まなければいけないはずだ。」


『いや、今の其方は…。』


シュラが何かを言い淀んでいる。


『…90階層のボスの事はどう思った?』


「リッチキングね…。強い手駒が居たら感覚も違ったんだろうけど、まぁ、弱かったな。」


90階で戦ったボスのリッチキングを思い出す。

死霊王と呼ばれるだけあって死者を従える能力を有しており、このダンジョンに挑戦した過去のハンターを呼び出し攻撃してきた。

だが、生前の能力がそのまま引き継がれていなかったのか、元々弱かったのか、それらの取り巻きは全く相手にならなかった。

60階層ボスのサイクロプス討伐報酬として得た【重力魔法】の【(プレス)】を広範囲に広げて使用するだけで全て無力化できてしまったのだ。

あとは慌てふためくボス本体をシュラで切り刻むだけの作業だった。


『リッチキングは眷属が居なくても本来は一人の人間が蹂躙できるような存在ではないのだがな…。』


「そうか?確かに刀での攻撃は通りにくかったが…。【物理耐性】だっけ?あの刃が入り込んでいかない感覚はちょっと気持ち悪かったな。」


『…普通、【物理耐性】は大抵の物理攻撃を遮断するんだが…。』


「それより【眷属化】スキルだよな…。自分より強い奴には使えないって、使う意味ねーじゃん。」


眷属化スキルはリッチキング討伐報酬として習得したものだ。

使用相手が自身に恭順の意を示していたり、反発できない状況でのみ効果を発揮するスキルだ。

その効果は自身の眷属として「命令順守」を強制することができ、主に害をなす行動をとれなくなるというもの。

要は奴隷を作るスキルだ。

だが、こと戦闘面に関していえば実質自分より弱い相手しか眷属にできないので期待することはできない。


実際リッチキングが呼び出した眷属も全く戦力になってなかったしな…。

弱い眷属なんか踏みつぶされたトマトみたいになってたし…。


因みにこのスキルはLv.も最初からMAX.なので鍛える所もない。

そのため90階層クリア後はそのまま100階層を目指してダンジョンアタックを行っている。


『そうでもないと思うがな。斥候みたいな役割で使うのであれば数が多かったり空を飛べるようなものが居れば効率は上がるし、戦闘面でも使い捨ての駒として相手の出方を伺うこともできる。それ以外でも…例えば女子(おなご)に使ってここでは言えないような事をすることもできるぞ?』


「お前どこのおっさんだよ。斥候はともかく、捨て駒にする目的では使いたくないな。後味悪いし。それに女の子に関しては俺にそういう趣味ないから。」


『ふむ。まぁ後は才あるものを眷属化して無理やり強くするという事も出来るかの?戦力として、あるいは其方を満足させる敵として。な。』


「それも嫌な使い方だな。…と。」


つい話し込んでしまったが、下へと続いていた階段が終わった。

つまりここは100階層。

俺は目の前にある巨大な門に手をかけ、押し広げた。


「ん?やっと来たか。」


そこはこれまでのボス部屋のようなコロシアムを模したものではなく、最初の部屋に近い純白の部屋だった。

最初の部屋とは違い、異様に広い。

ルシフェルはその部屋の中央で、これまた純白の椅子に腰かけ、優雅に足を組んで何かの書物を読んでいた。


「いつまでも死亡報告が上がってこないから生きているとは思っていたけど…。ずいぶん時間が掛かったね。」


ルシフェルは書物を閉じると立ち上がり、何かのスキルを使用したのか書物と椅子を消してしまう。


「では、君には私に殺されてもらうよ。」


そう言ってルシフェルは妖艶に笑った。

作者の勉強の為にも評価いただけると幸いです。

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