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風の谷のナウマン象  作者: 真山砂糖
21/35

20 ジャポニカン王国にウシの悪魔が攻めてくる

人工悪魔がジャポニカン王国に攻めてきました。

 ジャポニカン王国内のいくつもの街や村で、ナウマン教団の派遣したモンスター軍団との小競り合いが発生している。

 ここ王宮には、モンスター軍団の主力部隊が攻め込んできた。

「手負いの者は下がれー!」

「救護隊早く!」

 王宮の城壁の外で、王国の兵士たちがモンスター軍団と激しい戦闘を繰り広げている。

 正門の小さな戸が開き、鉄の鎧と兜を装備した男が出てくる。男は最前線へと走っていき、モンスターを二十匹ほど簡単に斬り伏せていき、魔法を唱える。

「光魔法!」

 数本の光の矢が現れて、モンスターども目掛けて飛んでいく。光の矢は一撃でモンスターを仕留めていく。それを見て兵士たちが(ざわ)めきだす。

「おおっ、国王様だ!」

「国王様が戦うのを初めて見た」

「こんなに強いのか」

「当たり前だ。30年前のモンスター大戦の時の英雄だぞ」

 国王ノダオブナガは剣を高く掲げて兵士たちを鼓舞する。

「皆の者! 国を守るぞ!」

「うおおおおーーー!」

 兵士たちの士気が上昇した。


 少し西側では、また別の戦闘が行われている。

「モーーーウ」

「来たぞ! ウシの鳴き声の男が来たぞ!」

「取り囲め!」

 ウシのような鳴き声を上げて、大きな木の棒を持つ男が兵士たちに向かって歩いて来る。この男、顔にウシの覆面を着けているとはいえ、外見が人間なのだ。

「おりゃーっ!」兵士が斬りかかる。

「モーウ」

 ウシの男の棒の一振りで兵士がはじき飛ばされる。

「ぐわーー!」

 ビクターたちが後方から見ている。

「回復魔法!」アインとカベルが唱えた。

「何という力だ。人間の出せる力ではないな」ビクター。

「ビクター、あの男、何かに取り憑かれています」カベル。

「取り憑かれているだって?」

「ええ、おそらくナウマン教が研究している人工悪魔ではないでしょうか」カベル。

「人工の悪魔だと、それはまた厄介だな」

 ビクターは剣を抜いて前に進み出る。

「モーウ」

「とりゃー!」ビクターが斬りかかる。

「モーウ」

 その一瞬、ビクターは男の目をじっと見つめていた。覆面をしているが、ビクターには、この男が涙を流して泣いているのがはっきりとわかった。

「泣いているのか?」

「モーウ」

 男が棒を振りビクターをはじき飛ばした。

「うがっ!」

「回復魔法!」アイン。

「大丈夫ですか」カベル。

「力だけじゃなく、攻撃の速度もすごい」

「あの悪魔はどうやら、ハエの悪魔みたいにモンスターどもを召喚できないのではないですか?」アイン。

「そういえば、一度もモンスターを召喚していないな」カベル。

「言われてみれば、そうだな。みんな、まず雑魚モンスターどもを片付けるぞ!」ビクター。

「おーう!」と兵士たち。

 動きの遅いウシの男を後回しにして、皆が周りのモンスターを倒しにかかる。


 少し離れた所から、二人の男がビクターたちのやり取りを見ている。

「ナウマン教団は人工的に悪魔をつくり出すことに成功したのか」と国王。

 もう一人の男はウシの男をまじまじと見ている。国王は兵士たちに援軍を送る指示を出してから、男に言う。

「任せるぞ、大臣よ」

「はい、国王様」


 ビクターたちはウシの男の攻撃に注意しながら、周囲のモンスターをほぼ片付けた。ビクターたちはウシの男を取り囲む。一斉攻撃になるかと思われた時、土が集まってきてウシの男の足を地面に固定した。土は徐々に高くなって、腰の辺りまでをすっぽりと覆った。だがしかし、男はもがいて土を押しのけて少しずつ前へ進んでいく。

「モーウ、モーウ、モーウ」

「何だ、土が出現したのか」カベル。

「これは、魔法だ。大臣様が得意としていた土魔法では」アイン。

「ビクター、早く聖剣でとどめを」カベル。

「……ああ……」

「モーウ……」

「……泣いている……」

「ビクター?」アイン。

「泣いている」

「えっ?」カベル。

「この男は、自分の心とは裏腹に行動している。何か呪いがかけられているのかもしれない。お前たちの聖なる魔法で何とかならないか?」

「やってみましょう」アイン。

「呪い解除魔法!」二人は唱えた。

「モーウゥゥゥゥ!」苦しそうな声を上げるウシの男。

「なかなか呪いが解けない、それに、呪いだけではありませんね」カベル。

「呪いとそれ以外の何かが彼を支配しています」アイン。

「科学の力か?」

「……う、ううう……ろしてくれ……罪のない人を傷つけてしまった……殺してくれ……」悲痛な声を出す男。

「この男はナウマン教の信者ではなさそうだ」ビクター。

 そこへ、まさかの人物が現れる。

「うむ、科学的な処置が施されているようなら、わしらではどうにもできんな」

 その声を聞いてビクターたちだけでなく、兵士たちも驚いた。

「大臣様! 一体、どうして!」ビクター。

「死んだことになっておったみたいで、すまぬのう。敵を騙すにはまず味方からじゃよ」

「……ううう、殺して……くれ……」

「どれ、呪い解除魔法!」

「う、う、う……聞いてくれ……私の他にもう一人悪魔に改造された者がいて……モミアゲの国に攻めることに……なっている……」

「モミアゲの支配する土の里へか?」ビクター。

「……モミアゲが……ナウマン教と戦う……だがモミアゲは負ける……早く……モミアゲの元へ……」

「モミアゲの国にナウマン教のモンスター軍団が侵攻中なのか?」と大臣。

「……ううう……」

「この男の呪いは、ゴータマの神殿に運んでメイジに解いてもらうしかないのう」大臣。

「われわれが神殿までこの男を連れて行きましょう」ビクター。

「いや、わが国の兵士に連れて行かせよう。それよりもお主らにはやってもらわねばならないことがある」

「しかし、大臣様、一体どうして死んだふりを?」アイン。

「うむ、実はな、勇者コニタンのパーティーに入る予定だった戦士マモルが、先だって風の谷まで攻め込んだんじゃ。そしてマモルが伝書バトに託した手紙が届いた。そこにはナウマン教の内情が書かれておってな。教祖ウマシカが悪魔と契約していること、そしてわがジャポニカン王国の三種の神器の存在を知って、奪おうとしていることが書かれておったのじゃ。コニタンのパーティーの出発式の日に、その悪魔が現れてのう、何も奪わずに帰って行きおったのじゃがの、わしが死んだことにしておけば、ナウマン教も油断するかもしれないと考えたわけじゃ。それに、わしが死んでいると思われてた間に、三種の神器に聖なる祈りを捧げることができたわい」

「何と、そのような事情が」ビクター。

 国王が来る。

「ビクターよ、三種の神器を用意した。数百年の間、わが国に眠っていた宝じゃ。大臣の祈りによって、永い眠りから覚め、最高の輝きを取り戻した。さあ、そなたらに託すぞ」

「はっ、責任をもってお預かりします」

 死んだはずの大臣が生きていたという驚きの展開。三種の神器なるものが聖騎士たちに渡された。その中身は? それが明らかになるのはまだ先のこと。


三種の神器、何なのでしょうかね。

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