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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
街づくり
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拠点作りと開発進捗

 二つ目の拠点で街づくりを開始し始めたが、必要経費がどんどんと加算できている。MPもお金も両方足りない。レベル上げるための王国兵たちはいないし、冒険者達だけでは入って来る経験値量が著しく低い。そして俺が留守にするわけにもいかない状態なのは非常に辛い。王都へ出かけた2週間はむしろ王国兵の駐屯があったため備蓄が増えていた。


「家計というか火の車状態だな」

「どこからか融資でも受けられれば違いますが、信用に値する繋がりもありませんし」

「終焉の街の市長なら可能かもしれないが、俺がここを出るわけにもいかんしな」


 ドワーフ達の仕事ぶりを観察しながら、今後の展望を考えつつ、この第二拠点近くのダンジョン政策を行う。脳みそ1つじゃ足りねえんだけど。


「ワイズちゃん…、ってジト目で見なくていいから。…でもチュートリアル妖精としてダンジョン経営に関わるのはやっぱり嫌なん?」

「感覚としては禁忌に手を出す感じですね。嫌気がします」


 俺に対して言ってるわけじゃないのだろうけど、なんかグサッとささる。


「そうですね。提案くらいするとすれば、エリスに相談してみるのはどうでしょう?」

「エリスか…、でも立場上王家側だしなあ、一応」

「その天秤をどうしますか?」

「ただでさえペガサスを運用しようと企んでいるのに、これ以上姫様の意向に反することをするわけにもいくまいて」

「でもハルト様の立場はダンジョンマスターですよ」


 そうなんですけどね。後ろ盾のない状況で対立煽りをすれば危険すぎるわけで。俺にとって一番重要な人物が姫様であって、それは利が一致していて互いに弱みを知っているからだ。俺はフィジカルが弱く強い味方が必要で、姫様は婚約破棄を希望しその要因になりうるのが俺だ。

 あちらを立たせばこちらが立たない状況を続けるわけにもいかないし。


「おーいハルト!酒はまだか?」

「酒くれ!」

「酔わないとやってられん」

「まだ昼にもなってねえぞクソオヤジども!」


 頭が痛くなるな、おい。

 アル中オヤジどもの要望を無視し、物流計画の方を進める。

 2つの街の間が徒歩で4時間ほどの距離、その間には広大な田畑を作れる大地が広がっている。物流を循環させるための馬車要員であるペガサスを2頭召喚し、手懐かせてみることにした。


「おお、結構でかいな」

「馬ですからね」

「羽が邪魔で乗りにくそう」

「ちゃんと懐けば乗せてくれますよ」

「なんで瞬間的に手懐けられるんですかね…?」


 ワイズちゃんだけずるいぞ。俺のなでなで技術で華麗にペガサスを手懐けてやろう。ほーれほれほれ。


「あべしっ?!」

「下心見え見えなのでは?」


 なんでや?

 というか冒険者の年長組の1人がやらせてくれと言ってくる始末。やらせてみるか。


「おおっ!?高え!乗せてくれてありがとな!」


 なぜ乗れる?


「純真さが足りないのでは?」

「俺は真っ当にだらけきった生活を送りたいだけだ!」

「ダメですね、これは」


 ええやん。そのために今汗水垂らして働いてるんだから。





 夕刻になってドワーフ達の仕事ぶりを見に行く。今日は仮テントを設置を支持していた。少人数とはいえ、あまりやる気もなさげだったし、終わっているかどうか…。ペガサスにようやく乗せてもらって視察にきたわけだが。


「おお、ペガサスに乗ってるのか。ここの取締役、いや領主様か?どっちでもいいか、ガハハハ!」

「いや、ペガサスの件は置いておいて、これなんだよ?」

「仮拠点だ」

「誰が屋敷を作れと言ったし!?仮拠点っていうか本拠地だろ!?」


 どうやって1日でこんな立派な4階建の屋敷が立つんだよ!?第一拠点だってようやく家が立ち並んできたところだぞ。


「なんだ?ダメだったか?」

「いやいいけどさ、びっくりして」

「そらドワーフなめたらあかんで、最初の要望があまりにも少ねえもんだから。暇で勝手にやっちまったぞ」

「あ、はい」

「まあ、頑張ったんだ。報酬はわかっているな?」

「マジかよ…」


 こんなでけえ屋敷の報酬ってどれだけ出せばいいんだよ!


「ハルト様」

「うん?」

「地球さんのお安い酒でも問題ないと思いますよ?」

「んなアホな」

「私は提案するくらいはしますよ」


 なんか理由があるのか?

 とりあえず酒の種類に希望はあるか聞いてみるが、なんでもいいからくれとのこと。親父が飲んでた日本酒でも渡してみるか。250MPしかかからないけど。


「うめえ!」

「なんだこの酒は!?」

「超うまいなあ!兄ちゃんやっぱりただの人間じゃねえな!」


 お、おう。

 そもそも人間じゃねえけど。


「境界の街は鉱山街ですからね。あまりいいお酒がなかったのでしょう。それに地球は科学文明が発達しています。大量生産でおいしいものを安く作るのに長けていますから」

「ああ、なるほどな。…だとしたらMPを増やすのって重要だな」

「そうでしょう?ダンジョンマスターなのですからレベルを上げてMPを増やしてダンジョンをより豪勢にしていくのです」

「地球産のものを交易に使ったりしてみるのもありだな」

「あ、私の報酬も忘れないでくださいね」

「ドワーフ達の酒代を節約できたと思ったのに出費が増えるのか…?」

「最初に渡そうとしていた40年もののウイスキーと今渡したお安い日本酒の250MPを差し引いてと」

「その計算方法だと俺が得しないじゃねえか」

「何言っているのですか、私が得しますよ?」

「えぇ………」


 ワイズちゃんの舌が肥えてて辛いです。

 それにしてもドワーフの力量をなめてたな。たった5人で1日でいや、半日かからずにこんなでけえ屋敷が立つのか。


「ドワーフたちのスキルでしょうね」

「スキルとはいえすごくないか?」

「いえ、おそらくは1人がすでに作った屋敷を持っていたのでは?」

「うん?」

「おそらくはアイテムボックスのスキルでしょう。基礎がはまるように整備してそこに屋敷を置いただけだと思われます」

「………ん?どういうこと?」

「わかりやすく言ったつもりですけど?置いただけですよ」

「ええ…、俺の関心返して…」

「私に言われても」


 オヤジどもは酔っ払って酒開けてるし、でも屋敷が手に入ったのは事実だしなあ。


「それでも1日で計算して基礎をきっちりとはめ込んでいるのは確かなので腕はありますよ」

「そっか、…でも1ヶ月で街ができたりはしないんだよな」

「それは無理でしょう」

「ドワーフは建築チート種族かと思ったのに、ちくせう」

「地道にやっていくしかないでしょうね。次は何をなさるので?」

「上下水道が最優先よ」


 ドワーフ達の協力もあり、開拓は順調に進んで行った。街と街を繋ぐ道も馬車を通す前提でかなり大きく作り、その近辺の土地も農業ができるように耕し、手持ち無沙汰になったもので一部の者が農業に取り組み始めたりもした。ペガサスを用いた馬車も使われ、次第に2つの拠点が本格的な街になってきた。そしてアイアンスライム同様にカッパースライムのダンジョンを第2拠点に制作。さらに第一拠点に3つ目のダンジョンも制作した。

 毎日移民が入ってくる状況が続き、境界の街からドワーフ達第一移民が引っ越して来てから一月近くの時間が経過したが、クレア王女からの連絡はなかった。

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