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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
街づくり
37/79

ドワーフの移民達

 境界の街の経済悪化は日に日に増している。

 商人のロイドや冒険者の年長組の活躍により、境界の街から移住してくる住民がついに現れた。


「ヒゲモジャの小さなおっさんってことは、あれドワーフか?」

「ですよ」


 小説を読みながら目線すら寄越さないワイズちゃんだが、特徴だけ話せば種族の特徴はわかるのだろうな。それにしても男は俺の知ってるドワーフなんだな。女はロリなんだが。

 最初に来た住民はドワーフが主な種族で27人ほど。どうやら冒険者一行が手を打ったみたいだな。終焉の街のギルドマスターのエリスが女ドワーフというのは有名らしいし、その伝手による影響が大きそうだ。


「失礼するぞ」

「エリスさん、あっちはいいので?」

「エリスちゃんでいいのに」

「鳥肌立つのでやめてもらえませんか?」

「失礼な。…まあ抵抗はあるじゃろうな。いくら安全が担保されているとはいえ、ここはダンジョンじゃからの」

「何も言わなくてもダンジョンだとわかるもんなんですかね?」

「いや、わからなんかもな。ここはダンジョンというよりはある意味別世界じゃし」

「でもダンジョンって気づく人もいるのでしょう?」

「レベルの高いやつらは気づくじゃろうよ。高難易度ダンジョンはどこもかしこも別世界のようなダンジョンで、常識では考えられないものばかりじゃからの。別世界のようなダンジョンがあっても不思議に思わんよ」

「なるほど」


 それにしても困惑は大きいからな。いきなり新規開拓地に送るのはやめておくか。


「冒険者の中で新規開拓地にいけるのを見繕えないか?」

「新規開拓地?あの少し遠い位置に作ろうとしている街か。じゃが、この入り口の駐屯地ですら開拓はまだまだ進んでおらぬ。急いで作ろうにも下地がまともになっておらんじゃろう」

「下地なら一応ありますよ」

「それは王国兵がいればじゃろうが」

「いえ、ただダンジョンマスターの能力を十全に使わないといけないので遠征できなくなりますが」

「ほぉ…、そういえばただの別世界じゃなかったのう」


 街同士のパイプをつなぎ、それぞれで利を作り、経済を一気に回す。人は本当に少ないがやれないこともない。


「そのノートでなにやら計算でもしたのか?」

「俺じゃないですけどね」

「あ、そう」


 ワイズちゃんに一目送り、ちょっと落胆したように息を吐く。失礼な。俺は別になんでもできるわけじゃないぞ。ただMPを2000ほどつぎ込んでワイズちゃんの協力を仰いだだけだ。ある意味で経済を回すことも遠回しにできなくもないということだ。わははは。


「よく胸を張れるのう…」




 入り口の駐屯地の区画整備やらを来たばかりの住人に任せることにし、新しく来た新規の面々に挨拶を終えた俺は、新規開拓地に必要な人材の確保のために、人事の指示を飛ばしていた。もともといた人数に余裕が生まれることも話し、新規開拓に冒険者の年長組と終焉の街の王女直属ではない王国兵の一部に声をかけていた。


「なあ、兄ちゃん。兄ちゃんがここの取締役なんだろ?」

「そうですよ」

「俺たちドワーフの仕事量ならこの街の区画整備に20人もいらねえぞ」

「そうですか?ですが、ここはかなりの住人が住む街、いえ、ある意味でノースランドのもう一つの王都になるような場所ですが」

「も、もう1つの王都?!」

「ええ、ですので街づくりというより国づくりになります」

「第一王女はいったい何を考えているんだ…」

「さあ?」


 半分以上は俺の意向だけどな。姫様が何考えているかは正確にはわからんし。


「そんな計画があったのか」

「いきなり話すには重たいかと思いまして、クレア王女の指示による街づくりと話させていただきました」

「なるほどな。だが、国づくりなら王国兵が少ねえぞ?ノースランドに余ってる働き手なんてそうはいねえしなあ」

「今は込み入った事情がありまして」

「ふーん、…あ、勇者か」

「ええ」

「まあ、何にせよすぐには国はできんじゃろう?」

「体裁を整えればすぐにでも国家として回せますが、あまり意味はないでしょう」

「ならここの開拓ものんびりしたものになると」

「ええ、そうですね」

「なら、やっぱりドワーフの手は余るぜ」


 なるほど。それなら何人か意向に乗れば新規開拓地に付いて来てもらうとするか。付いて来てくれそうな人を見繕うため、ドワーフを眺めるが全員ヒゲモジャのちっちゃなおっさんでまったく見分けがつかねえ。とりあえず一番最初に話しかけて来てくれたリーダーらしきドワーフのゴルドさんに人事の細分を任せた。ドワーフ曰く酒があればいいとのこと。秘蔵の日本酒を開ける時が来たな。MPだけども。20人のドワーフを10と5と5のグループに分け、10人をダンジョン入り口周りの駐屯地に、5人を新規開拓地に、もう5人は街路整備に仕事を配分する。


「報酬の払い方ですが、率直にいうと金銭になります」

「酒はねえのか?」

「いえ、俺が新規開拓地の方で店を開くので…、酒を充実させるのには時間がかかるだろうけど。安酒ばかりだったらすみませんね」

「若えのに味がわかるのかい」

「味はわかりませんが、値段ならわかりますよ」

「なんだ?商人の入れ知恵か何かか?」


 カタログの必要MPで高いか安いかわかるだけだけども。


「そんじゃ俺らはもう一つの街づくりやってくるからよ。そっちも頑張れよ」

「商人のロイドが来るまではこっちにきてお酒売りますので」


 ドワーフ達のリーダー的な存在のゴルドさんが新規開拓地に向かうということで酒を1人占めするのではと他のドワーフ達から抗議の声が上がる。


「ふざけんなー」

「独り占めする気だろ!」

「安い酒しか飲むなよ!高い酒こっちに回せ!」

「うるせー!」


 えぇ…。

 見た目おっさんなのに酒が関わると子どもっぽいなあ…。


「未成年がお酒売るのですか?」

「ここ日本じゃねえしセーフ」

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