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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
街づくり
32/79

要塞の街

 ダンジョンボスの何かを取り込んだが、その後何も変化がなく、いたずらに時間を使うこともないので、当初の目的通りにノースランドの王都へと向かう。途中また砦をいくつか経由してついにノースランドの王都へとたどり着いた。


 ノースランド王都、要塞の街。


 終焉の街やら境界の街やら名前に意味があるんだろうけど、見たまんまの街だな。要塞の街とはよくいったものだ。街全体が城と言ってもいいほどに城下町と城が融合している。この街を強固な守りにするためにあらゆる防御策を使用したって見た目だ。石石石、見渡す限り城壁に囲まれ、地面は石畳、街に入る門が鉄製なくらいで東京のコンクリート地獄みたいな見た目になっている。

 いや、城と城下町が融合しているというか、城の中に街があるといったほうが近いかもしれない。


「圧巻だな…」

「どうですか?」

「思っていたのとだいぶ違うが、なるほど納得がいく」


 終焉の街も城壁で囲まれていたが、王都は1つの街と違ってさらに厳重なつくりになっている。重要な場所だし過剰なくらいな防御力が必要というのはわかるにはわかるが、それにしても恐ろしいほどに城である。城下町も城の一部であり、もはや山である。


「窮屈そうなところですね」

「俺が口に出さなかったことをすぐ言っちゃうのね」

「第一印象です。嘘をついても仕方ないでしょう」


 聞けば街の人口、80万人を収容しているらしい。80万人が暮らす城である。すげえな。


「まだ建設中ですけど」

「あー、うん、だろうな」


 地球でも工事の終わらない建物とかあったな。だが、これは外敵対策のために工事が終わらないという意味だろう。


「中は意外と窮屈じゃないんだな」

「道幅はそれなりにとってありますし、火による煙もきちんと流動して外に逃げ出すように設計されています」


 無駄に高性能。ある意味でこの世界の街の一種の完成形なのかもしれないな。って、いらん注目集めているなあ。


「姫様はやっぱり目立つだろ…」

「そうね。城下町に出ることはあまりありませんから」


 門を過ぎたあたりから仰々しいお供の一個隊が加わっているから余計に悪めだちをする。


「観光は時間もありますし、先に用件を片付けてしまいましょう」

「胃が痛くなってきたんだが」

「諦めてください」

「心の準備がー」

「さあ、こちらですよ」

「ちょっとは耳を傾けてくれ」


 要塞の街の中にある大きな城。

 城の中にある城かな。

 また門があり、要塞の街の入口よりもさらに厳重な守りになっている。衛兵の数もえらい違いだ。


「でけえ…」

「さあ、行きますよ」


 中に入ろうとすると門の先に見知った顔がいた。


「カイト」

「姉さん、おかえりなさい。ハルトもよくきたね」


 セリフはかっこいいのになんでモブ顔なんだろうな。いたい。


「余計なことは考えるな」


 それ暗に自分も同じ意見って言ってますからね。アリアさんに脇腹を抓られながら中に入る。


「ちょっと聞きたいんですけど」

「どうした?」

「謁見の間って何階?」

「80階だが?」


 帰っていいっすか?


「大丈夫だ。すぐに着く」

「すぐに?」

「ああ、80階を歩いて移動するわけないだろ」


 なんかあるんかな?


「エレベーターでもあるのでは?」

「ソンナバカーナ」


 この中世ヨーロッパ的世界にエレベーターなんてあるわけないじゃないですか、ワイズちゃんもたまにとんちんかんなところあるよね?

 80階に着きました。


「何か言うことはありますか?」

「ご褒美ありがとうございます!」


 頭を足でグリグリされるが、ワイズちゃんなのでセーフ。ゴスロリ衣装の中が覗けるかも知れんが、やったらチェーンソーされる未来が見えるので決して上は向かないぞ。引き際を心得てこそのロリコンだ!


「死ねばいいのに」

「いつも通り辛辣!?」


 無重力の床による移動なんて知らないがな。原理はエレベーターとちゃうぞ。ははは、俺の勝ちだぜワイズちゃん。


「チェーンソーしたいんですか?」

「すいましぇん」


 それにしても無重力の床ねえ…。摩訶不思議奇想天外な物質もあったもんだ。


「あれはコスモ・エクステリアで入手したものだ」

「なんだっけ?最難関ダンジョン?」

「ああ」


 宇宙空間がダンジョンというクリアさせる気がさらさらないダンジョンか。アリアさんでさえ最深部に到達できない鬼畜ダンジョンのものか。ある意味納得だな。とんでも性能なアイテムが手に入るのはとんでもないダンジョンなのだろう。


「ハルト、ちょっといいか?」

「なんでしょう?」


 カイト王子から話しかけられるとは珍しい。あの一件から少し気まずかったからなあ。


「父上…、王が少々お前のことを訝しんでいてな」

「その辺はクレア王女が何かするのでは?俺はあくまでダンマスとしてちょっと宣伝に来ただけですし」

「え?そうなの?」


 クレア王女にわざわざ確認しなくていいでしょうに、ほら、ちょっとお怒りだし。


「私たちの婚姻に関してですよ」

「話が通じていなんだけど?」


 カイト王子が困ってるでしょ。俺は婚姻なんてしません!


「絶対に婚姻を結ばせますからね!」

「俺はワイズちゃんと結婚するんや!」

「親子で結婚はできません!」

「親子ちゃうし!」


 それっぽいだけで実際に親子ではないからな。


「ちょっとよろしいか?」

「「よろしくない!!」」


 ヒートアップした俺たちの間にカイトっぽい人影が割り込んで来た。よく見るとカイトに瓜二つの超モブ顔のおっさんだった。カイトに瓜二つ?


「お、お父様!?」

「え?……王様ー!?」

 

 謁見の間で待っててくださいよ…。

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