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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
街づくり
25/79

 結局アリアによって開幕ホログラフィック落とし穴は廃止にされ、終焉の街の冒険者の年長者のパーティに、終焉の街に鉄鉱石を卸していた炭鉱のある街に向かって、ゴールデンスライムが出現するダンジョンの噂を流すようという理由で派遣した。ゴールデンスライムのドロップ品である金を持たせて還元させる。それは彼らの報酬だ。


「金の市場価値は年々増加傾向ですから、腕に自信のある冒険者ならすぐにくるでしょう」

「ついでにその噂を聞きつけた商人も増えてほしいものだ」

「金に取り憑かれた亡者のようですよ」

「人材が足りてないんだよ。あとは入り口用のポータルを作ったり、終焉の街までの道の整備案を出したり、牧場も欲しいな…。やるべきことが多すぎる…」

「一国の王への道を順調に歩んでいますね」


 違うんでなあ。はやく、果実生活とはおさらばしたいってだけ。確かに国王にでもなれば悠々自適に暮らせるかもしれないけどさ。


「目標が退廃化とは見下げた根性ですね」

「人間楽したい生き物よ」

「人間じゃないでしょうに」

「心は人間のつもり」

「はいはい、前世に引きずられすぎですよ」


 しゃあないやん。死んだと思った直後に転生してたんだから、長い眠りについていたとか記憶にないし、実感もない。


「まずはこの仮拠点を街に昇華しないとな」

「しょぼい開拓村ですからね」

「ワイズちゃん、もう少しオブラートに包んで」


 家の木造建築とかは開始しているんだから。というか王国兵は大工もできるのかってくらい万能だ。元冒険者が多いから色々なスキルを身につけている。

 拠点を眺めていたら、久しく顔を合わせていなかった隊長さんに遭遇した。相変わらず様になっている。どこぞの王子とはオーラが違うな。


「ようやく、物資も集まって来た」

「街になりそうか?」

「ああ。だが、俺の心配はハルトだ。お前が死んだら、この世界は終わりを迎える。この地の有用性は姫が一番に理解しているからこそ、開拓を王国兵たちが不満少なく行えている。お前が死ねば全てが無に返すんだぞ」

「そう言われてもなあ…」

「お前を殺そうとする酔狂な奴はあまりいないが、恨みを買われれば俺たちの命も危険にさらすということは忘れないでくれ」

「………言いたいことがなんとなくわかったよ。あれか王都へ向かうことか?」


 カイト王子にも言われていたが、クレア王女が王都へ一度帰還する際に父親の王へ謁見して欲しいと頼まれている。お父さん娘さんをください、のくだりをやれということらしい。外堀埋められまくっているなあ。それで、この隊長さんは俺が王都へ向かうのに反対の立場だということだ。


「何度か出ているから忘れているかもしれないが、以前にビッグブルーバタフライに俺たち一団は全滅しかけた。それが、ハルトの身に起きる可能性は0ではないからな」

「まあ、そうだが」

「リスクとリターンをきちんと天秤にかけてくれ」

「………了解」


 俺だけの命ではないからな。俺が死ねばダンジョンは崩壊し、その間に王国兵達も避難は完了するだろうが、後には何も残らない。それにワイズちゃんも俺と同様に命を失う。


「ついでに義父さんへの挨拶を逃れられるというわけだな。完璧じゃないか」

「父上には挨拶してもらいますよ?」

「ひえっ!?」


 背後に立たないでくれませんか。

 ホラーかよ。


「姫様…」

「隊長、これは第一王女の命令です」

「ですが…、………わかりました」


 それよりクレア王女も隊長って呼ぶんですね。隊長の名前聞くタイミング失ったままだよ。


「それではハルト様、明後日から王都へ向かいますわ」

「嫌でござる」

「わがまま言わないの」

「第一に人間の姫の嫁ぎ先がダンジョンマスターなのはおかしいだろ!?」


 人間ちゃうぞこちとら。


「盛大な金儲けできそうだからセーフでしょう」

「隊長、さっきまで俺の味方側だっただろうが!?」

「いえ、私も一王国兵ですので」

「敬語やめろし!?」


 結局、王都へ向かうことになりそうだ。俺自身は王都へ参考がてら向かってみたかったということはあるが、謁見は勘弁して欲しいなあ。


「ここにいた!緊急報告です。輸送部隊が壊滅!重傷者複数出ています」


 駐屯地を一望できる場所にいた俺たち3人を探しにきた王国兵が声を荒げる。


「へ?」

「敵はワイバーンロードです!」


 クレア王女と隊長の目が見開く。

 いや、ワイ、魔物の知識ないねん。だれかヘルプ。やばいんか?




 クレア王女と隊長の指揮でダンジョン内で作業をしていた王国兵が徴収され、ダンジョン出口付近に招集され、ワイバーンロードの迎撃体制をとる。


「アリア」

「はっ」

「私たちで重傷者を保護、アリアは囮をお願いします」

「了解いたしました」


 招集が完了する前にアリアさんがワイバーンロードに向かって出撃するのが見えた。みんな足早すぎるぞ。


「はあ、はあ、はあ…」

「ハルト様は下がっていてください」

「俺も、見なきゃならん。俺の直接ではないが、部下がやられたんだぞ」

「ハルト様…」

「って、なんじゃありゃ!?」


 山だ。

 小さい山が動いていた。


「あれがワイバーンロードです」

「でけえ…」

「ここらにいるモンスターとは格が違います。魔素に引かれたのか…、とにかくあれは普通の人間には相手取れないような危険なモンスターです」

「だろうな…、って飛ぶのかよ!?あの巨体で!?」

「今です!救出してください!」


 アリアさんがワイバーンロードの気を引いているうちに壊滅した部隊の人員を助け出す。


「さすがアリアですね」

「ワイズちゃん的にあれはどう?」

「チュートリアルモードでなければ話にならないでしょう」

「やっぱそうか。空中ジャンプをリアルで見させられると口が開いてままになってまうな」

「下手な関西弁やめてください」


 重傷者たちを回復薬で治療していく。


「やっぱりファンタジー」

「いい加減慣れてください」


 そうはいっても、死にかけみたいな状態から普通に治っていくんだからな。命さえあれば治療できるのはすごいものだ。むしろ現実感なくていつまでも慣れない気がする。


「っていうか囮って何?」

「囮は敵を引きつける役目ですよ」

「いや、辞書的な意味じゃなくて、ワイバーンロードだっけ?なんか追い込まれてない?」

「アリアなら単騎撃破は容易でしょう」

「やっぱりあの人が一番頭おかしい」

「後で伝えておきますね」

「俺死んじゃうからやめてね」

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