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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
チュートリアル
2/79

ダンジョンマスターのお仕事

 超絶美少女ワイズちゃん。


「死ね」

「辛辣すぎないかな!?」

「…ハルト様はこれからダンジョン経営をやってもらいます」

「りょ」


 すごい侮蔑の籠った瞳で睨まれる。ぞくぞくするね。もう背中にナイフを押し当てられているような感覚さえするよ。


「背中にチェーンソーを押し当ててます」

「当たってるんだけど!?」

「当ててるんです。言わせないでください」

「言うよ。命の危機に瀕しているんだよ!?」

「なら、真面目に聞いてください」

「りょ」

「…」

「あーっ、スイッチ入れようとしないでー!」


 ワイズちゃんが壁にチェーンソーをしまう。建物の中はメカメカしいというか、なんだろう。地下研究所みたいな感じだろうか。壁に謎の蛍光が走っているし、隠し扉みたいに危険物収納されているし、近未来的空間のダンジョンってどうなんだろうか。

 そういえば、このダンジョンコアってどれくらい頑丈なんだろうか。


「試してみますか?」

「それ、意訳すると死ねって言ってるからね。どれくらい壊れやすいものかなって」

「百聞は一見にしかずですよ」

「だから死ぬ未来しかないじゃないか!」

「それ」

「ぎゃあああ!!」


 ダンジョンコアが床に、…あれ、死なないのか?


「ほら、ヒットポイント半分くらいになったでしょう」

「おいぃぃぃぃぃ!半分持ってかれてるじゃねえか!」

「そのうち回復しますよ」

「そうなのか。いや、それでも落とす必要なくない!?」

「百聞は一見にしかずですよ」

「そうですね!でもこれは俺が保管しておくから!」

「そうですか」


 ワイズちゃんから大事なダンジョンコアを奪い取る。サッカーボールくらいあるから持ちにくいな。




「ここが最深部です」

「おぉ、いかにもな扉があるなあ、めっちゃでけえ。5mくらいあるんじゃねえか?」

「この先がいわゆる管制室です」

「おかしくない!?この先にラスボスがいてその奥の小部屋にダンジョンコアとか置くんじゃないの!?これどうみてもラスボス部屋だよ!」

「ラスボスはハルト様ですよ」


 え?俺?指差しして確認してみる。

 うん。

 うん?

 うんうん。


「かわいい。結婚しよ」

「潰しますよ。ロリコン」


 ひゅんとした。

 ところで扉って重いのかな?


「オートですが?」

「自動ドアかい!」

「ラスボスの部屋が手動とか時代遅れにもほどがありませんか?」

「確かに、勝手に開いて中へ入ってこいみたいなシチュよくRPGとかでありそうだけども」


 おお、重厚な音を鳴り響かせながら開いていく。それらしさがあるなあ。なんというか壮大だ。


「ここがラスボス部屋です」

「思いっきり管制室じゃねえか!監視カメラのモニターとかあるし、っていうか狭っ!扉に対して中の部屋狭っ!これじゃあクローゼットみたいな感覚だよ」


 俺のわくわくとしていた期待感返して。


「ハルト様は超絶クソザコキャラなのでラスボス部屋を用意する方が恥ずかしいです」

「超絶クソ雑魚キャラでごめんね!魔法とか使えないから日本人だから」

「最近召喚された勇者は日本人らしいですが、魔法も全属性の才能を持っているとか」

「理不尽!」


 日本人の勇者か。俺とは別件なのだろうか?俺はやっぱり神様転生したのだろうか。うーん、さっぱりわからんね。


「あれだろ、勇者って称号があるから超強生物になったんだろ」

「転移してきた人は何かしらの能力を覚醒するらしいですよ」

「ははは、つまり俺にも隠された能力があるということだな」

「ないです」

「…」

「ないです」

「2回も言わなくていいから!」


 何を根拠にないというのか。絶対にないって証明するのは難しいんだ、悪魔の証明だぞ。もしかしたらあるかもしれないじゃないか。今はなくてもそのうち手に入る可能性だってあるに違いない。

 そういえばこのモニターから何をすればいいんだ?


「このモニターは監視モニターです」

「ここから何か指示したり?」

「できませんよ」

「だめじゃねえか。これただのヒキコモリだからな。罠作動させたりとかもできないのか」

「まず遠隔操作するためのアイテムがありません。機械的なアイテムを必要とします」

「作れと?」

「作れることができれば」

「そういうの貰えたりしないの?」

「ダンジョンアイテムの取引をして手に入ります」

「へー、買えば手に入ると」


 アイテム購入とかそういうのだろうか。このダンジョンがある国の金貨を使うとかじゃないよね?


「使用するのはMPです」

「マジックポイント?」

「はい、マジックポイントです」

「…なんで?」

「ハルト様がダンジョンマスターですから、ダンジョンマスターといえばダンジョンを育てることがお仕事です」

「なるほどな、一理ある。…これ、隠された能力では?」

「ダンジョンマスターなので見えている能力ですよ」


 ワイズちゃんの意地悪っ!さっきの俺の言葉の意味ちゃんと理解している上で、表面上の解釈で済ませやがったな。


「ダンジョンマスターの能力って他になにがあるんだ?」

「それだけです」

「嘘やろ?」

「それだけです。シンプルに説明するなら、敵を狩って経験値を上げ、高級品を買って、ダンジョンをより強固にするのがダンジョンマスターです」

「ダンジョンマスターって何のために生きてるの?」

「人間は何のために生きているのですか?」


 一本取られたわ。

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