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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
チュートリアル
18/79

開拓の増援

 アイアンスライムのダンジョンは盛況していた。大半の王国兵は駐屯地を建造している最中ではあるが、戦闘が得意な王国兵を中心にアイアンスライムを倒し、ドロップ品である鉄鉱石を回収、一部の王国兵が最寄りの街である終焉の街に回収した鉄鉱石を卸す作業を行なっている。


「隊長と副隊長はこれでもかと働いているな」

「カイトは拗ねていますが」


 大好きなのかは知らないが、姉をどこぞの馬の骨に取られたようで拗ねているのだろうか。王子はあまり勢力的にアイアンスライムの討伐に乗り気ではない。まあ、いまのところ人のシナリオお上をまっすぐに歩いているだけだからな。つまらないものだろう。仕えている王国兵ならいざ知らず、次期国王には面白みのない状態だな。

 次のダンジョンでも考えるか。


「たのもー!!!」

「うわっ!?」


 後ろから声が響いてびっくりして駐屯所の椅子から転げ落ちた。


「な!?ロリババアがなぜここに!?」

「こそこそと鉄鉱石を卸していると思ってこやつらを問い詰めてみたものよ」

「なぜ口を割った!」


 どうどう。

 王女怖いから落ち着いて。

 しゅんと縮こまっている王国兵の顔ぶれが案外似通っていた。


「終焉の街出身の王国兵か…」

「ん?言われてみれば…」


 終焉の街の人間と王国兵の顔は微妙に違う。市長や市民を見て思ったが、少し褐色の肌にタレ目なのが特徴的だ。王女や王子は目は普通のタイプで肌も白い。日焼けはするみたいだが、隊長のような日焼けの仕方と色合いも異なる。

 王女に徴兵された人たちか。


「元終焉の街のギルドに所属していた者たちなのだよ」

「機密事項を簡単に漏らしよって!」


 いや、誰も機密事項とか言ってないし、終焉の街の市長に届けといてとしか言っていないからな。王国兵が街の中央通りを鉄鉱石が乗った荷車を運んでいればいやでも目につくだろう。


「姫様、どうせつけられたとかそんなとこでしょう」

「ダーリンは黙ってて」


 理不尽!


「あまり怒るものではないぞ、しわが増えるからのう」

「あら、このしわひとつない顔を見て何をどう判断したらそういう発想が出るのかしら?脳みそ腐っているのでは?」

「どうせ人間の女なんて20を超えれば老ける老ける。その点女ドワーフはしわとは無縁な生き物よ。見よ、この美しい顔を」

「ナイチチですわね」

「どこ見ておるのじゃ!」


 この2人は会ったら喧嘩ばかりしてるな。だが、終焉の街のギルドマスターが来てくれたのは朗報かもしれない。もうすでに終焉の街の王国兵の余裕はない状態が続いていた。ここで冒険者の加入はダンジョンの発展に大きな影響があるはずだ。


「ダンジョンの中にダンジョンとはのう。この奇妙な光景はお前さんに関係があるのじゃろう?ダンジョンマスター殿?」

「最初からわかっていたでしょう?市長と会話しているときに」

「まあの、誰が鉄の確保を容易にできるというのじゃ。少し考えれば子どもでもわかる」


 ずっと俺を訝しげに見ていたしな。


「ダーリンに気安く触れないでくれませんか?来賓の方ですよ?」

「ダンジョンマスターが人型だからと来賓扱いは成立しないだろう」

「第一王女の決定に意を唱えるのですか?」

「王女の権限などたかが知れとるわい」


 お二方とも饒舌ですね。関わったら何されるかわかったもんじゃない、戸締りしとこ。


「ところで人手が足りていないみたいだがのう?」

「…」

「だんまりか?たかだか100人程度の人数で開拓など、何千年費やすつもりか?」

「いえ、まずは初歩から始めるべきですから、いきなり大人数を動員して失敗するわけにもいきませんわね?」

「ほう?ここの利権はお主にあるようじゃが、いつまでもこの資源の数々を遊ばせていては、次を控えて待っている我々は不満を持つというもの」

「では、その待っている人材を貸していただけませんか?」

「タダでは貸せんな」


 なんか俺不要じゃね?王女が勝手にやってくれているんだが。

 そういえばギルドは今仕事がないんだっけ?やはり利用しない手はないよな。


「ちょっと聞きたいことあるんだけど、終焉の街のギルドに所属している人数でこっちに動員できるのは何人いるんだ?」

「うっ、150人…」

「王国兵たちと大して変わんねえじゃねえか!?」


 まあ、倍の人数になればやれることは増えるだろうけども。


「まったく、大して使い物にならないわ」

「王国兵など見たところ100人しかおらんじゃろうが、1.5倍だぞ!」


 五十歩百歩だよ。

 しかし問題が増えるだろうな。

 人数が増えれば食い扶持も増えるわけで、今も足りない食料の確保をどうするか。モンスターは倒すとドロップ品に変わるから食料をドロップするモンスターでもいればいいんだがな。


「そんなモンスターいませんよ」

「ですよねー、ワイズちゃん的にはこの状況を打破する案とかないの?」

「それを考えるのがダンジョンマスターのお仕事です」


 せやな。

 とはいえ、食料を確保するような生活をしてきたわけではないので、どうすればいいかもわからない。今すぐに必要ならラビリンスアースに終焉の街から食料物資を運ぶルートを開拓すればいい。これはすぐに考えて、終焉の街を出る頃にいろいろと保存のきく食料を持ってきた。それにすでにそのルートは作っているわけで、鉄鉱石を運ぶ運搬組が帰り道に食料を買って帰る手はずになっている。だが、そのルートを作っていながらに足りない。やはり自給自足をある程度しないとお話にならないというわけか。

 牧畜でもするか?

 農業?

 狩猟はコスパ悪いだろうし。


「ど素人の俺が考えても仕方なくね?こういういのは専門職がいるだろう」

「ようやく気づきましたか」

「いや、ワイズちゃんが考えろって言ったんじゃないか」

「できないことを理解するのも必要なことですよ。食料を手に入れるためなら、その専門家を集めて意見を聞けばいいのです」


 なるほどな。ど素人の俺が方針を決めるよりよほど合理的だ。

 ところで、ワイズちゃん先生みたいだな。俺より長生き説ないか?


「チュートリアル妖精ですので」


 チュートリアルはなんでもありやな。

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