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ダンジョンの国の王様  作者: てるいち
チュートリアル
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アイアンスライムのダンジョン

 鉄鉱石のダンジョンを作ることだが、既に判明していることがある。スライムを買った時とカッパースライムに変化させた時に判明していたのだが、いわゆるスポットを購入して設置することができるのだ。


「それでこれがアイアンスライムのスポットですか」

「こいつを倒せば鉄鉱石が手に入るしな。これをいくつかダンジョンに設置していく」

「でもこんな深部に設置するのはなぜでしょう」

「簡単にいえば牧地だな」


 アイアンスライムを出現させておく階を3階層分、ダンジョン自体は7階層分の10階層に設定しておく。


「手作業ではありませんが、ほとんど手作業ですね」

「まあな、出現スポットを破壊されたら敵わないかならな、こうやって念には念を入れて隠しておく」

「私たちの国では危険度の低いモンスターのスポットは破壊を禁止にしていますね」

「念入れだってば、それでしばらくしたらポップするはずだ」

「おー、出てきましたね」


 これを3階、6階、9階に設置していく。この3階層は普通には侵入できないようにし、アイアンスライムをダンジョンに満遍なく配置させるためのものだ。


「普通のダンジョンであればスポットは奥にあって、冒険者たちは軒並み時間をかけて攻略し、荷物を運び出すのが大変になりますね。鉄は鉄鉱山で採取する方が楽ですが、この場合と終焉の街までの距離を考えれば、この方法でも問題はありませんね」

「俺のMPじゃ鉄を1日に購入できる量が少ないからな」


 それにしてもモンスタースポットは高いアイアンスライムの購入代金が30MPに対してポップ場であるモンスタースポットは300MPも持っていかれる。俺がレベル4になっていなければ買えなかった。レベルが上がった理由は入り口のダンジョンに外からモンスターが入り込んで戦闘したためだ。アリアさんが在住しているってのもあるけど。


「…本当にレベル上げて良いのでしょうか?」

「………ああ」

「上げたらワイズは消えてしまうのでしょう?」

「何もしないままでもどうせいつかレベルが上がる。モンスターが入り込んでこのダンジョンを荒らされたら俺は餓死する可能性もあるからな」

「…でも、あなたはあまり悲観していません」


 そらな。

 ワイズちゃんもセーフティーゾーンのように俺のダンジョンに関する偏見が生み出した存在ならば、ワイズちゃんはどちらかといえば意思を持っていようとシステム側だろう。それならこの購入カタログで買えるに違いない。

 そしてワイズちゃんはチートキャラということは俺はそれ相応にレベルを上げないとワイズちゃんを取り戻せないというわけだ。


「何もしないでいずれ別れるなら、再び会える可能性を信じたい。それだけさ」

「ふふ、そのときは私の旦那様ですね」

「…どうだろうな」

「あら?否定しないのですか?」


 なんかワイズちゃんに俺の思考から産み落とされた存在と聞いて、どちらかというと娘みたいな感覚に変わっているからな。まあ、これは言わないでおこう。




 名称が複雑化しているので、王女と話し合って、このダンジョン全体はラビリンスアースの名前のまま、世界として扱うことにした。ダンジョンマスターをやめてワールドマスターになった方がいいかも知れん。


「ワールドマスターって何ですか?」

「あれ?ワイズちゃんもう拠点づくりは終わったのか?」

「ある程度ですよ。それより随分と親しくなったみたいですね」

「うん?ああ、王女と、か?」

「逆にそれ以外に親しくなった人とかいるんですか?」


 王女だけですね、はい。

 コミュ障はそう簡単に友達が増えたりはしないんです。


「凡人はコミュ障を発症したりはしませんよ」

「俺は凡人以下だったのかよ」

「それでハルト様はこれからどうするのですか?」

「どうするって?」

「拠点を作って、鉄鉱石を供給してダンジョンマスターらしくお仕事に身が入っているじゃないですか」

「ようやくだけどな」

「次の一手は打たないのですか?」

「まずは地盤を固めないと。このダンジョン、いや、この世界、ラビリンスアースに人を呼び込まないと成長もできん。だからこの入り口のダンジョン近くの拠点を大きくして、いずれは街と呼べるものにしないとな。最終目標は国だな」

「遠い道のりですね。それだと、果物生活はまだ続くみたいですね」

「果物ってなあ、果物ならまだしも、なんでどんぐり食わなあかんねん」

「どんぐりは果物ではなくても、果実に分類されますね」

「果物と果実の違いがわからん」

「似たようなものですよ」


 最近ワイズちゃんの毒気が抜けたな。普段ならここで学力低いとか、脳みそ足りてないとか罵られるんだけどな。


「罵られたいのですか?」

「いえ、なんでもないです」

「よろしい」


 胸を張るな。可愛いだろ。


「…」


 ジト目も最高です。


「いてっ」


 後ろから後頭部を軽く叩かれた。


「浮気はダメですよ」

「声に出してないだろうが」

「ダーリンはすぐワイズと見つめ合うじゃないですか」

「ワイズちゃんは俺の嫁」

「浮気ですかぶっとばしますわよ?」

「いえ、なんでもないです」


 嫉妬してないだろうに、なんでこんな嫉妬深さのあるような行動をとるのか、所詮俺はキープくんだろ。


「ハルト様、今日はどうされますか?」

「もう帰って寝るけど?」

「なら帰りましょうか」


 ワイズちゃんに手を引かれる。


「あら、ダーリン私は?」

「拠点に結構高い羽毛布団用意しただろ」

「2日も使えばもう萎れていますわ。ダーリンの本拠地のベッドがいいわ」

「ダメ、あそこは一度だけ、そのうちまた招待するけど、今はダメ」

「けち」

「ひでぶっ!?」


 軽いビンタが結構な重さだったんですが!?

 あの細い腕のどこにこんな力が?

 これがレベル差か!?


「コントしていないで帰りますよ」

「コントじゃないです」

「帰りますよ」

「うーい」


 王女と別れ、ダンジョンコアのワープを使って本拠地に戻る。管制室で遠い視点で、拠点やダンジョンの出来栄えを観察する。


「ラビリンスアースの外側もいろいろと整備した方が良さそうだな。ビッグブルーバタフライとかが邪魔になったら嫌だし」


 今後の展望をいろいろと考えていると背後から視線を感じた。


「ワイズちゃん?」

「ハルト様」

「おわっ」


 ちょっと、どぎまぎしてしまうんだけど。

 あれだな、娘みたいに見えるって嘘だわ。全然そういう風に思えん。お腹に頭ぐりぐりしないでくれ、萌え死んでしまう。


「死んだらどうです?」

「冗談だから!」

「はいはい」


 頭ぐりぐりされて最高のひと時でした。まる。


「…」

「…ツッコミ待ちなんですけど」

「ハルト様」

「はいっ!」


 真面目な話だったっぽい。


「私を連れ戻してくださいね」

「当たり前だろ!そのときは結婚しような」

「嫌です」

「なんでー!?」

「なんででしょうね」


 ワイズちゃんの笑顔は眩しすぎる。

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