ギルドマスター
終焉の街に入ったはいいが、まずは解毒剤の調達とかで王国兵の屯所に向かっている。公的機関にも一応備蓄はあるらしいがそれは使えないとのこと。
「屯所と言っても大きい場所ではありませんよ」
「待たれよ」
「げっ」
「護衛もそこそこに往来を行き来するとは姫も随分と暇しているのう」
なんかロリが道を塞ぐように飛び出してきた。モノクルかけるとロリ成分って弱まるんだなあ。あと黒髪ロングじゃないからアウトだ。
「ハルト様の性癖はどうなっているのですか?」
「人には人の好みがあるからな!」
「はあ…」
ワイズちゃんはドンビシャだぞ。
脛蹴らないで。
「あらあらギルドマスター様はこんな日の高い時間に外出ですか?」
「あいにくどこかの王族のせいで仕事がほとんどなくなってしまってのう…、お陰様で我が子らが路頭に迷っているようじゃ」
「冒険者の仕事がない?実力不足でダンジョンに潜れないような小童に”冒険者”という肩書きは少し重たいのかもしれませんね」
「小娘ぇ、王族が必要過多の徴兵をしているのはどこかの王女が原因と聞いたが?実力のあるうちの子らも強制的に徴兵されていたな」
「どこの非道な王女でしょうね?おほほほっ」
「わっはっはっは、其奴はさぞ醜い顔をしておるじゃろう」
なんだこの毒の吐き合いは…?
ワイズちゃん、目を合わせちゃダメだよ、退散するよ。
「どこ行こうとしているのですか!?」
「ぐへぇ!」
ちょっと他人のフリしたら足ひっかけられた。
「何じゃそやつは?変わった格好をしておるのう?」
王女が婚約者と言わずに、冷静を装いながら言葉を探しているみたいだ。
「うん?ほう…、王女よ。このヒョロヒョロとした男は王国兵に徴兵するには不十分だろう。どうだ?冒険者未満の肩書きにはちょうど良さそうではないか?」
「お生憎、彼は王国の客人、なぜ冒険者などという平凡な職に就く必要がありますか?」
「お前の弟冒険者だろうが!?」
「彼は次期国王として修行のために冒険者を兼ねているだけですわ。公務もしっかりと行なっています」
「ぐぬぬ、…客人にしてはずいぶんと貧相で不格好をしておるではないか?」
「あ?どこが貧相か。デザインは質素ではあるが、材質の素晴らしいオーパーツ並みの衣服をみすぼらしいと?」
ポリ系の石油製品ですね。元いた世界では量産されてますよ。
「だが、客人に対し足をひっかけるなど王女がしていいものか?」
「くっ、このロリもどき痛いところを…」
どう考えても王女が悪いよな。
だけど、どこかの国のお偉いさんなら大問題だろうが、俺だしなあ。それに客人であるのはおそらく間違いないだろうし。
あと、ロリもどきって何?
なんか笑顔を作ってこっちに寄って来た。
「私、終焉の街でギルドマスターをさせていただいているエリスです♪お兄さん、よろしくお願いしますね?」
「貧相ですみません」
「あ、あれは言葉の綾というもので…、わあ、この衣服すばらしい材質です!」
お、おう。
「墓穴を掘ったなロリババア、ハルトに取り入るにはババアすぎたな」
「王女も結構勇ましい言葉使うんですね」
「あら〜?わたくし、品行方正と名高き王女でしてよ?」
お、おう。
それより解毒剤回収しに行かなくていいの?
結局言い合いが終わらない二人を背後に連れながら屯所につき、在庫に抱えていた昏睡対策の解毒剤を副隊長にもたせて見送る。
「それで、いい加減ワシにも説明したらどうじゃ?」
「何もいうことはありませんよ、1ギルドマスターが公務の守秘に首をつっこむ権利がどこにあるのでしょう?」
「そうじゃが、これでもお主の指導係だったのじゃぞ?ほれ相談してみ?」
「煩わしいババアだこと」
「なんじゃと!?」
おそらくクレア王女もこの年齢詐称ギルドマスターはある程度信頼をしているようだが、俺の一件は相談できないらしい。国が独占する方向へ持っていきたいと言っていたから、個人の事情は省くのかもしれない。俺も利権の絡み合いに巻き込まれたくないし、一番長いものに巻かれていたいから王女側だけども。
「そんなに隠蔽したいのか?」
「そうだな。あのダンジョンの利権を一番に獲得すれば、それすなわち新しい国を築けるのも同然でだから、クレア王女も慎重になるというものだ」
「やっべ、全然理解できねえ。そんなに価値あるのか」
「お前の想像の100倍以上は価値あるだろうさ」
「そこまでアホなわけないだろう」
「どうだかな?」
ワイズちゃんアリアさんがイジメるよう…。
「的確な発言ですよ」
しょぼーん。




