兄が行方不明の島
シナリオについて
友人に連れられてきた島が舞台です。
注意点として戦闘が起こりうる、事実上のキャラロストに繋がるトラップがある、HAPPYENDへの難易度が高い等です。
舞台と概要
舞台は現代日本。季節は夏。とある島を訪れた冒険者達は失踪した友人を追いかけ島に伝わる民間伝承を調べるうちに<盲様>を隠れ蓑とした大きな悪意と直面する。
導入
冒険者は今日、人と会う約束を取り付けています。それは海堂という人物です。(冒険者の設定に合わせ適宜変更)双子と馴染みである冒険者はまた何か取材の手伝いを頼まれるのだろうと思うのでしょう。
海堂 はたて あやせ 双子の詳細はNPCへ
・パターン1
冒険者の知己に海堂兄妹がいる。彼、彼女は双子でオカルト好き。持ち前の行動力で冒険者は昔から騒動に巻き込まれてきた。そんな双子の片割れである、はたてから改まって頼み事をしたいと言われいつもの場所に集まる。
到着すると彼女は既に席についており、冒険者を呼びます。彼女はそわそわと落ちつき無く、いつも元気な彼女にめずらしく沈んでいる。幾分かの時間を過ごす、もしくは冒険者がうながしようやく話しだします。
『兄のあやせと連絡が取れなくなった。一人で取材に行くときは連絡を欠かさない兄がよ!1週間連絡が取れないぐらいでと思うかもしれないけど、今回の取材に行く時すごく思い詰めていたのを知っているの。それに兄は出て行くときに「連絡が取れなくなったら俺の事じゃなく自分の事を考えろ」なんてことを言い残していったのよ。おかしくない!? 頼みたい事なんだけど兄を捜すのを手伝ってくれない? 私だけだと不安だし、お願い』と言って頭を下げます。
『多分兄が向かったのは伊豆諸島近海にある<牡丹島> 牡丹島について調べ回っていたからきっとそこに向かったに違いないわ』
・パターン2
海堂あやせと冒険者は既知である。きっかけは冒険者が有名なオカルトスポットに立ち入ったとき時だ。彼の豊富なオカルト知識やライターとして知り得た様々な黒い噂。それらはあなたを惹きつけるものだった。
ある日彼からメールが届く。それは<牡丹島>という場所に調査をしに行くという旨であった。しかし彼からの連絡はそこから途絶える。心配になったあなたは様子を見に行くことにする。
牡丹島
人口300名程の街がある小さな島。伊豆諸島近海に浮かぶ島で、交通は船を使う。海産資源が豊富な為漁業関係者であれば知っている人もいるだろう。名産品はハマトビウオのくさや。またこの島の名前はいつからか野生のダリアが群生している事から名付けられた。
港を半円状に囲むように町が広がり、その周囲を更に木々が覆っている。港から森へはなだらかな坂となっており、奥の方は小さな山となっている。
港
村の規模を考えれば十分な港。この島にやってくるのであればこの港に停めるしか無い為必然的に全ての人間がここを通る。
ここで聞き込みをすれば、青年がやってきた事を教えてくれる。この島に伝わる<盲様>について調べていたと言われる。
町
昔ながらの町並みが残る町。人々はそれなりに友好的であり親切にしてくれる。観光客用の民宿が1つ存在する。
森の近くには関係者以外立ち入りを禁ず、という立て札が立っており島民も冒険者達には立ち入らないようにと注意します。もし立ち入ってしまうと天罰が下る等伝えてきます。
冒険者達は早朝に出発する船にのり、9時から11時に島に着く感じです。
ここでも、あやせが<盲様>について調べていた事をきけるし、盲様についてどこに行けば調べられるか教えてくれます。また民宿であやせが泊まっていた事を聞けば、居たと答えてくれる。4日前に荷物をまとめて出て行ったと証言します。
立派な診療所
小さな島には似つかわしくない立派な診療所が建っています。その診療所の看板には結社コアトルのシンボルと名前が刻まれている。
<知識>で判定可能。
結社コアトルについてはTIP Sへ
小さな図書館
この島に見合う程度のちいさな図書館です。書物はこの島でとれる魚や山菜等を記した図鑑、地図。そして盲様の伝承を描いた絵本です。
<図書館>
図書館には老人が一人で管理しています。<盲様>の話を振ると本を探してくれますし、また10年前に神隠しがあった事を教えてくれます。神隠しについて詳しい話を聞きたい場合は龍ノ宮に話を聞けと教えてくれます。
・地図を使用すればナビゲートに補正。また研究所近くの<平凡な見せかけ>を看破する事に役立ちます
町と森の間にある神社
少々寂れた神社です。この島に伝わる<盲様>を祀っています。毎年7月8日に奉納の儀を行います。ここでは神主から盲様について話を聞く事ができます。また神隠しが起きた事と詳しい事は龍ノ宮に聞けと言います。
冒険者がバラバラの導入で来ているならば、状況に合わせ「最近、同じ事を聞いてくる人が多い」等台詞を挟むのも良いと思います。
盲様(伝承)についてはTIP Sへ。神隠しについては『龍ノ宮』と『森』の項で。
龍ノ宮
町から少し外れたところ、海辺近くに家が一軒建っています。家自体は少し古くなっていますが丁寧に管理されている為印象は良い家です。
多少探索すれば冒険者達が同時刻にたどり着くと思いますので合流させましょう。
龍ノ宮優についてはNPCへ
扉を叩く、呼び鈴を鳴らす等すれば出てきます。盲様について話を聞きにきたと伝えると快く家の中に上げてくれます。
あやせについて質問しても同様に「立ち話もなんですから」と家の中に上げます。
・神隠しについて(虚)
龍ノ宮は神隠しにあった顛末を話す。
この島は森に立ち入ってはいけないのは何故か知っていますか? それは盲様がこの森でお休みになられているからです。盲様を万が一にも起こさない為にも入る事は誰であろうと禁止されています。 ここまで言えば、何故神隠しが起きたか解りますよね。
私が8歳の時です。友人達と盲様に会いに行こうと森の奥まで入り込んでしまったのです。そして出会ってしまったのです、盲様と。
盲様は初めただの光でしたが、徐々に人の形を取ました。
盲様は着物を着て、眼を閉じた女性です。盲様がゆっくりと眼を開け、私が盲様の眼を見たとき視力を失いました。痛みも無くただ突然世界が暗くなりました。
気がつけば私は町の診療所で寝ていました。大人達は何があったか私に聞き、そこで私以外の子どもが行方不明になっている事を知りました。
捜索はされたようですが見つからず、盲様の怒りを鎮める贄として島民全員が受け止めました。
これが神隠しの顛末です。私は盲様に出会った人間として神隠しの事実を伝えるのが役目だと思っています
と言った事を話します。場合によってはいくらか削ってもかまいません。しかし、必ず『盲様が眼を開け、その眼を見たときに視力を失う』のフレーズは忘れないで下さい。
尚、神隠し(虚)は龍ノ宮が周囲に語る為に作った話なので、心理学を使えば何か隠している事があると気づけます。
神隠し(虚)を聞き終わり冒険者がそのまま出て行こうとする、もしくはPLが行動に詰まった場合、龍ノ宮がはたてに尋ねます。また、初めにあやせについて質問した場合もこちらの処理を行います。
・自己紹介を行っていればはたてを名指しで、していなければそちらの女性と呼びかけます。
『あなたは、数日前に話を聞きにこられた方と雰囲気が瓜二つだ。海堂あやせという方のご家族ですか?』もしくは『もしや海堂あやせという方のご家族ですか?』と話を振ってきます。
その後、海堂あやせが神隠しと盲様、特に出会った場所について話を聞きにきたと答える。しかし出会った場所については答えていない。ここで神隠し(虚)を話していない場合『彼に話した内容と同じ物を話しましょうか?』と提案してきます。
あやせが行方不明で、彼を捜しにきたという事を伝えると龍ノ宮は少し考えた後で『彼は必死になって盲様について調べていました。そして今は連絡がつかない……。これはまずいかもしれません。森に入ってしまったかもしれない』
・冒険者達が森に向かおうとすると、龍ノ宮が同行すると言います。
『彼が森に向かったのは自分が盲様について教えた事もあるでしょうし、何よりも私自身があの場所を訪れたかった』
森
鬱蒼と木々が生い茂り、森の所々にダリアの花が群生しているのが見られる以外普通の森。港から森の奥向かって緩い傾斜となっており、森の奥は丘になっています。丘を登りきると反対は本来ゆったりとした下りとなります
・何の準備もなしにこの森を探索する場合、<幸運>ロールを2回成功させた後に<アイデア1/2>のロールに成功する事で研究所にたどり着きます。
幸運2回は当ても無く彷徨って、たまたま<平凡な見せかけ>を張った場所まで辿り着くロール。<アイデア1/2>は<平凡な見せかけ>見破るロール。
龍ノ宮を連れて歩く場合ロールは必要ありません。
龍ノ宮とともに、あやせを捜しにこの森に来るときに『なぜもう一度訪れたかったのか』を聞くと神隠し(真)について話をしながら森を進みます。
『あまり話す事も無いのですが、先程話した神隠しについて黙っていた事があります。これは誰にも話していません。私と友達で森を訪れたのは本当の事です。しかしその後が違うのです。
私は歩くのが遅く友達と少し離れていたのです。そして先を歩いていた友達が突如、尋常ではない叫び声をあげへたり込んでしまったのです。そして他の友達も次々と狂ったかのように叫び声をあげました。
私は何が起きたか解らずただ友達のもとに向かおうとしたのですが、突然目の前に女性が現れました。ここからは先程話した通りです。眼を開けた女性を見て視力を失い、気づけば町にいました。
ただ意識を失う前に私は聞いた事も無い羽音のような声が聞こえたのを覚えています。私は友達がなぜあんな声をあげたのか、羽音のような声は何だったのか気にはなっていましたが、踏ん切りがつかず確かめる事ができなかったのです』
歩き始めて数十分で森の奥、神隠しに遭遇した地点まで来る事ができます。
少し開けた場所で、島の淵まで来ているのか目の前は崖になっています。また、開けた地面にはダリアの花が大量に生い茂り幻想的な雰囲気となっています。
ここで冒険者とはたてしかいない場合、<アイデア1/2>ロール
龍ノ宮を連れた状態ならば、冒険者及びはたては<アイデア>のロール。
もし、この島の地図を持ち出しているPCがいるならば使用する事で<アイデア>の判定も無く崖が有る訳が無いと看破できます。
成功した冒険者とNPCは目の前にある崖に違和感を覚え、手を伸ばすと沈み込む感覚とともに風景に手が飲まれます。そしてガラスが割れるような音とともに崖が消え白い建物が姿を現します。
空間が歪み、建物を隠していたという奇怪な事実を目の当たりにした者は SANチェック0/1となります。
研究施設
研究施設は一階建てですが地下に3つの階層が存在し、最下層には整備された港に繋がります。これら全ては<平凡な見せかけ>により大規模に秘匿されてきました。
研究施設は人気が無く、静かです。
1F
入り口右手には食堂があり、左手には警備室があります。奥には仮眠室があり、出入り口正面には地下に向かう階段があります。
人気が感じられず、また全体的に荒れています。<目星>等すれば争った形跡と銃痕が見受けられます。
・食堂
多数の白衣を纏った人間の死体が散らばり、むせ返るような血の臭いが漂い凄惨な光景を生み出しています。 SANチェック0/1D3
・仮眠室
荒れ果て、ここでも銃痕が見受けられます。死体は見受けられません。
・警備室
あらゆる機器と備品が破壊されています。探せば使えるライトが見つかるかもしれません。
B1F
基本的には1Fと同じ構造となります。降りてきた階段から右手に所長室と会議室があり、反対側には武器庫とゾンビ兵の詰め所があります。
この階層は比較的綺麗です。具体的には争った形跡がありません。
・神上ミロクとの遭遇
冒険者達がB1Fに到着したら<聞き耳>でロールを。成功で会議室から声が聞こえてきます。
「やめてくれ、助けてくれ」
そのあと、スーツ姿の男性が扉を開けて出てきます。彼は冒険者達に目もくれず、通り過ぎようとします。
彼に声をかければ立ち止まりますが、落ちついた様子で「急いでいるんだ、通してくれないか」といいます。
<アイデア>ロールに成功すれば彼が結社コアトルの会長だと解ります。
何も無ければ彼は1Fに歩いて行ってしまいます。
冒険者が何をしていたと尋ねれば「何でも良いだろう、気になるなら見てくれば良い」等答えます。
冒険者が問答無用に戦闘を行う場合、全力で叩き潰してかまいません。
死亡者がでるもしくはKPの裁量で戦闘中にPLによっぽどでなければ勝つ事はできないというような描写を挟んで下さい。
冒険者が逃走する場合は追いかけないので自動成功。この場合B3Fまで逃げます。
万が一、神上が負ける場合とどめの直前に<消滅>の呪文で逃走します。
・所長室
所長室は開いていて、中は本棚で埋め尽くされ、机に書類が置かれています。書類の束の上に文庫本サイズの本が一冊置いてあります。
文庫本以外、全て見た事も無い文字で書かれており解読する事はできない。しかし、その全てに『結社コアトル』のシンボルマークが描かれています。
文庫本には、ラテン語で<邪眼><眼の保護の呪文><肉に魔力を付与する><肉の移植>について書かれています。それぞれ、2時間の解読と1時間の理解する時間が必要です。
本を預かりますよ?
文庫本を探索で見つけた場合、はたてが自分の鞄に仕舞っておこうか? と提案する。
・武器庫
たくさんのロッカーが置かれ、中身を持ち出された形跡が有ります。PLが望むのならば<幸運>でナイフや杖、拳銃ならあるかもしれません。
・詰め所
周囲には不快な腐った肉の臭いが漂っています。何も無くがらんとしています。
・会議室
血が飛び散り、机や椅子がぼろぼろになっています。
鎖付き手錠で身動きの取れないように縛り上げられた研究者がいます。何故か鎖の端が壁に埋め込まれ、その鎖には<爆弾>が巻き付けられています。
研究者は助けてくれと言います。<機械修理>もしくは<鍵開け>を成功すれば鎖付き手錠の解除。
<爆弾>は<電気修理>で安全に取り外す事ができます。
助ける事ができないと、彼は生きる事を諦め冒険者達に逃げるように言います。
助けられたら彼は急いで1Fに向かいます。
・彼に質問すると何でも話します。
あやせについて
「あの男なら下の独房に転がされてるよ。でも助けたとろでなぁ」
更に追求すると
「盲様っているだろ? あれの力を宿らせるって無茶な事させられてたからな。まだ生きてはいるがどうなるかね」
治す方法は?
「さあ? 盲様に頼めば良いんじゃないか? もともとはあいつのもんだし」
研究所とさっきの男について
「しらねぇよ、突然あいつと傭兵のゾンビどもが殺しにきやがったんだ。ミ=ゴだろうが研究者だろうが関係なしよ」
「あいつは本社の人間だ。結社コアトルの会長様よ」
等。あとは彼が知ってそうなことをKP判断で。PLがあまり長居するようであれば切り上げさせたり、NPCを使って急かさせましょう。
B2F
下りた階段から、左手にはガラス張りの実験室が見えます。反対側には冷凍室があり、その隣に独房があります。銃痕と血が飛び散っています。
・実験室
荒れ果てて、何が置いてあったかわかりません。血と見た事も無い液体が飛び散り、様々な臭いが混ざる異様な空間と成り果てている。
<目星>で不明な液体の中に見た事も無い肉が浮かんでおり溶けて消えて行く様子が見られます。 SANチェック1/1D3
・冷凍室
カプセルの中に様々な肉や内蔵、脳が冷凍保存されています。いくつかは銃撃により破壊され中身が飛び出ています。
・独房
3つ程鉄格子で仕切られた牢があります。ここの1つにあやせがいます。彼は床に寝転がされており、格子も開いています。
あやせは外傷も無く、そこそこ綺麗な状態です。
はたてはあやせの姿を確認すれば『兄さん!』といって駆け寄るでしょう。
あやせを目覚めさせると彼はうめき声を上げ、頭を抑えます。そして『眼が熱い』と言います。包帯を取って眼を確認すれば医者でなくともその異常性に気づきます。本来黒目の部分が様々な色に刻一刻と変化して行きます。
その異常性に恐怖を覚える冒険者達は SANチェック0/1D3
何をされたか聞けば、あやせは頭を抑えながら見た事も無いピンク色の化け物と人間の科学者に盲様の力をむりやり植え付けられた事を伝えます。また、盲様は1番下の階層に封印されている事も言います。
ここでエンディングが分岐します。
・ここで、脱出を優先すればBADもしくはBETTERエンディングに
・ただの願望ではあるが盲様の元に向かう場合、HAPPYの道があります。
・BADorBETTER ルートの処理
条件は独房であやせを発見した後、そのまま一階から地上に出る。
はたてが死亡もしくは、はたてが『所長室の文庫本』を所持していない
⇒BADエンド
はたてが生存かつ、はたてが『所長室の文庫本』を所持している
⇒BETTERエンド
・一先ず、大事をとり脱出を選ぶ一行。あやせを担ぎ地上を目指す。
B1Fに到着し所長室を通り過ぎる時『全員が文庫本を所持していない場合』はたてが「少し待って」と言って所長室に飛び込む。30秒かからずはたては部屋から出てくる。この時、はたては『所長室の文庫本』を鞄に仕舞い込んでいる。
はたて曰く、勘で文庫本を持ち出した。
誰かが既に持っている場合この処理は必要ない。
1F
・ゾンビ兵との遭遇
階段を上りきると、玄関近くに二人の軍人のような装備を身につけた人と遭遇します。よく見れば彼らの眼には生気はなく、土色の肌をしています。それらはまさしく歩くゾンビ。 SANチェック1D3/1D6
もし研究者を助けていれば既に殺されたか、まさに殺されそうになっている等描写を入れたければ挟みましょう。
彼らは冒険者に気がつくと、ナイフを片手に迫ってきます。
戦闘となります。ゾンビ兵については敵性NPCへ
倒す、もしくは逃げ切る事で戦闘終了となります。しかし、10ラウンドすぎると研究所もろとも爆発に巻き込まれ、土砂にのまれます。
全員が研究所を出て、丘を少し下りだしたところで研究所から爆音とともに大きな地鳴りが聞こえます。ここで戻ると研究所のあった部分は全て崩れ、土砂に完全に埋まるかそのまま海に沈んでしまっている事が解ります。
町では騒ぎになっているだろうと龍ノ宮が自身の家に着く道を選び先導します。しかし徐々に龍ノ宮の動きが悪くなり最後には倒れます。
助け起こすと、龍ノ宮は呆然とした声で『何も感じなくなった』と呟きます。これまで健常者より周囲を把握しそつなくこなしてきたのにも関わらず、龍ノ宮は歩く事もままならなくなった。まるで何か力を失ったかのようだと言います。
龍ノ宮の家に着けば、ここまでで大丈夫だといい冒険者達に気をつけて帰るように言って家に入って行きます。
冒険者達は帰る為に支度をし、船に乗るでしょう。当初の目的であるあやせの捜索を終え、無事にそれぞれの日常に帰ることになります。
この時、はたてが『文庫本』を持っている人に対して私にそれを預けてくれないかと言います。理由は兄の眼を治す手がかりがあるかもしれないから、と言います。
BADエンディング
・海堂兄妹と知己である冒険者は、いつもの日常を送っていたある日たまたま海堂家の前を通り過ぎる。すると、どうしただろうかたくさんの野次馬が集まり、パトカーや救急車も見える。
どうやら、あやせが家族を皆殺しにした上で自殺したらしい。事件前、彼は何やら奇妙なことを口走り、見えない何かにおびえていたそうだ。
・冒険者は龍ノ宮のことが気になり、もう一度牡丹島を訪れた。しかし、龍ノ宮の家があった場所には燃え尽きた家の残骸が残っているのみだった。
島民に聞いてみると、龍ノ宮はある日突然自分の家に火をつけ焼身自殺を図ったらしい。彼は自殺の前『裏切ったのは私』『盲様が見ていてくれたのに裏切ったのは私』と呟いていたそうだ。
BETTERエンディング
・海堂兄妹と知己である冒険者は、いつもの日常を送っていた。はたては兄の眼を治す為に色々と走り回っているようだ。
ある日、冒険者は海堂兄妹に出会う。二人は手をつなぎ仲睦まじく歩いている。冒険者に気づくとはたてが手を挙げ二人共近づいてくる。
どうやらあやせの眼も治ったようだと一安心し、彼らに挨拶をするだろう。しかし、そこで気づいてしまう。二人の異様な雰囲気に。よく見ればあやせの右目とはたての左目は絶えず色を変化させ、まるで万華鏡のような美しさを魅せる。
はたてに事情を聞けば、彼女はこう答える
「兄さんの眼を治すなんてそんなのできる訳が無いじゃない。だからといって視えないモノに怯えて、壊れていく兄さんなんて視てられなかった。
だから交換する事にしたのよ。私のと兄さんのを。
これで私も兄さんが視ている世界を視る事ができる。二人ならどんなものが視えても怖くないわ。私達は双子だもの」
二人は笑う。
・龍ノ宮はBADエンディングと同じ結末。
・HAPPYルート 処理
冒険者達は、思いつきではあるが盲様に一縷の望みをかけ、更に地下に向かう。
B4F
階段を下りて右手に外に通じる扉が見えます。左手に両開きの扉があり、そこには大きな眼の模様が描かれている。
・盲様の封印場所
扉を開けると、中は広間になっていて奥の壁には棺が立てかけられています。その周囲には半円状に3本の線が引かれています。
近づけば、棺は3種類の線にそって3種類の透明な半円に保護されています。
半円は叩けばコツコツと硬質な音を立てます。力を加え続ければ壊れるかもしれません。
<ナーク=ティトの障壁の創造>が使われています。
耐久力はそれぞれ 2D6 3D6 5D6 となります。
ここで<聞き耳>ロールを。
成功で扉の外から、カサカサと奇妙な物音が聞こえます。そして、扉を開けて入ってくる甲殻類のような胴体をもち、背中に羽の生え、非常に短い触手に覆われた楕円体の頭部のようなピンク色の化け物が現れる。
数は2匹。 SAN値チェック0/1d6
・戦闘となります。
ミ=ゴは、初めは2匹ですが毎ラウンド0~2匹増え、常に2~3匹と戦闘する事になります。
数は最大12匹。 ミ=ゴについては敵性NPCへ
勝利条件
・障壁を破壊し、盲様を解放する
敗北条件
・12匹のミ=ゴの撃破
・10ラウンド以上の経過後、KPの判断
・PCの全滅
敗北条件を満たすと、研究所と周囲の崖に仕掛けられた爆弾により建物が土砂に巻き込まれ全てを破壊しつつ埋め尽くします。場合によってはそのまま海にまで流れ、ともに海の藻くずとなるでしょう。
12匹のミ=ゴや10ラウンド以上の経過が敗北条件なのは、時間がかかって逃げ損ねたという演出ですので、KP判断により『時間の経過が少ない』と思えばPLに行動の余地を随時与えて下さい。
しかし、制限時間の名言をしていないからと言って悠長に事を運ぶPLならば、何らかの演出でプレッシャーを与えて下さい。
・勝利条件を満たす
障壁を破壊すると、棺が四散し光が溢れます。
もし、ミ=ゴと戦闘中で光に背を向けているPCがいれば、振り向くか聞いて下さい。ミ=ゴも動きを止めていますと付け加えながら。
光は徐々に人の形を取り、最後は実態を持った着物姿で眼の瞑った女性が現れます。ここで<アイデア>に成功すると、その顔立ちはどこか龍ノ宮の面影があります。
そして女性はゆっくりと眼を開きます(この部分だけ少々ゆっくり描写しましょう)
この時、KPはPLの様子を伺って下さい。覚えのいいPLなら『眼をつむる、背ける、背を向ける』等宣言するでしょう。
一向に、アクションを取らない場合KP判断で<アイデア÷2>でロールさせ気づかせても良いでしょう。
女性が眼を開くとその瞬間、宣言を行わず眼を合わせたPC及び全てのミ=ゴは視力を失います。データ的には<視覚を奪う>呪文が瞬間的にそれも不特定多数に発動します。
眼を開いた彼女は全てのミ=ゴに対して同時に<萎縮>の呪文を使用し一瞬で焼き尽くす。
そして、彼女はゆっくりと龍ノ宮の元に向かい、眼に手を当てる。
もし、龍ノ宮が死んでいてこの部屋に死体があれば、近づいて<復活>を使用する。その後に眼に手を当てる。
龍ノ宮がいない、もしくは死体がない場合これらの処理は行わない。
彼女は、全てが終わると短く何かを呟く。次の瞬間PC及びNPCは龍ノ宮の家の前に移動している。彼女は<消滅>呪文をつかいました。
全員が龍ノ宮の家に立っているが、彼女の姿だけは無い。また龍ノ宮は眼が見えるようになったが、その代わり保護を失った。また、あやせも眼が回復し普通の状態である。
そして遠くから凄まじい爆音とともに、地鳴りが響く。
HAPPYエンディング
・海堂兄妹と知己である冒険者は、いつもの日常を送っていた。はたてはあの後、兄を病院に連れて行き検査をさせまくったそうだが、少々の衰弱が視られる程度で健康だそうだ。むしろ、視力が良くなっていたらしい。その報告を受けて一安心したが、はたては泣き続けて大変だったとあやせから聞いた。
・今でも、彼ら兄妹とは連絡を取り続けている。おかげで定期的に厄介事を持ち込まれる。
・冒険者は、龍ノ宮と定期的に連絡を取り続けている。どうやら眼が見えるようになった代わりに、これまで感じていた視覚以外の超感覚は無くなったらしい。だが、龍ノ宮は眼が見えるのはすばらしいと毎日を謳歌しているようだ。
・龍ノ宮は定期的にこっそり、あの研究所跡まで通っているらしい。盲様に供え物をしているそうだ。だが、もう盲様の力はどこにも感じないそうだ。でもどこかで自分の事を見てくれている気がします。
・ SAN値報酬 BAD:1D6 BETTER:1D8 HAPPY: 1D10
研究者の救出 1D4
NPCの全員生存 1D4
追加神話技能 5P
進行上の注意
基本的にはほぼ一本道で、遅くとも龍ノ宮の家で集まれるようにしているので合流は難しくないと思います。また、基本的に話を聞き回って流れに任せて研究所へ行き、決断する程度なので判定が少ない、戦闘が少ないと思えば適度に増やして下さい。大筋が壊れることはほぼ無いと思います。
会話中心で進むので、KPが大事な情報を渡し損ねるとPCが無駄に死にます。特に盲様の<眼を開ける>くだりです。
TIP S
・ダリア
和名:天竺牡丹。開花時期は7月から10月。
花言葉は 気まぐれ 他数種類
キク科の植物で赤、紅、桃、橙、黄、紫、白の花をつける。
・結社コアトル
ここ10年程で急激に業績を上げ始めた製薬会社。
シンボルマークは 横を向いて立った人間が背中から翼を生やし、ヘビの杖を持っている。
全国的に展開しており、ここ数年では治療困難と言われた病気の治療薬の開発をいくつも成功させて有名なった。
また、紛争地域等戦闘行為が行われる地域に優先して支社を置き、病院も併設する等ボランティアにも力を入れている。
一方で黒い噂が絶えない会社でもある。
戦闘地域に行くのは、非合法な実験を行っているからだとか、新薬の人体実験を行っているからだと言われている。
またお抱えの傭兵部隊を持ち、その武力で攻撃を加える組織を専守防衛と称し殲滅している事も事実である。
その傭兵部隊には、殺しても死なない兵士や殺された兵士が次の日には傭兵隊の一員に連ねていた等眉唾な噂が流れている。
場合によっては海堂兄妹やPCはこの情報を知っていてもかまわない。
・盲様の伝承
ある時この島を大きな、それは大きな龍が襲った。男達はこぞって島を守る為に戦った。
この島に住む若い女の亭主も必死に戦った。そして男達の力によってついぞ龍は打ち倒された。しかし、大きな龍だ。島の男達も唯では済まなかった。たくさんの男達が死んだ。若い女の亭主もまた死んだ。
そればかりか、若い女の子どもも龍の力で眼が見えんようになった。
若い女は泣いた。毎日天に向かって、せめて我が子の眼だけは治してくれ、あまりにも不憫だ、と。
そんな女の願いを天は聞き届けたのか、1人の眼をつむった男が光とともに現れ、女の子どもの眼に手をかざし消えた。
たったそれだけの事であったが、女の子どもは眼が見えるようになったという。
女はそれから毎日、丘の上に貢ぎ物を用意しては祈りを捧げたそうだ。
・シナリオの裏事情
盲様と龍ノ宮
盲様の伝承は実際に有った話で、亭主と視力を失った女の前にたまたまこの島に降り立ったのが『下級の異形の神の一柱』である。非常に気まぐれな神であり、なんとなく眼を治してやった。
神は眠る場所を求めてこの島まで降りてきた。そして気まぐれにこの島を選び眠りについた。
ただ、神も驚いたのは女が何も言わずとも毎日祈りと貢ぎ物を捧げ、しまいにはこの島で祀り上げられてしまったことである。
そしてこの女の子孫だけは、毎日丘の上の社まで捧げにやってくる。他の物は町に作った神社に捧げるというのに。
流石の神もこの女の子孫を寝ながらではあるが、『視』続ける事にした。
この女の子孫が、龍ノ宮優である。
結社コアトルと神隠しとか
結社コアトルは15年程前から、外部の魔術師に作らせたゾンビ兵の稼働実験とミ=ゴとの共同実験を行う日本の支部が欲しかった。
そして、選ばれたのが今回の牡丹島である。
ちょうどいい具合に森はいつからか、島民は出入りしなくなっていた為町とは真反対側に研究所を作る事にした。
ただ誤算であり同時にチャンスであったのは、盲様が実在した事である。
神上はこの神を生け捕る事を計画し、神を餌にミ=ゴに共同実験を持ちかけ、外部の魔術師を複数用意し封印した。
このとき現代から12年前であり、丁度龍ノ宮達がこの現場を目撃する。そして、盲様とミ=ゴ、魔術師の戦闘を見た子ども達は発狂する。
しかし、少し遅れていた龍ノ宮は盲様によって視界を奪われ、同時に盲様の保護を得る。
盲様は、気まぐれに龍ノ宮を救う代わりに封印を受け入れる。
龍ノ宮は発狂を免れ、何も見ていない上に視界を奪われた龍ノ宮を利用し『盲様の神隠し』を神上はでっち上げる。
海堂あやせ
双子のはたてと共にオカルト事件を追う内に薄々と常識外の出来事に気がつき始める。そして、結社コアトルの動きを追っているうちに牡丹島に辿り着き、潜入するが捕まる。普通ならその場で殺されるが、ミ=ゴの独断であやせに盲様の力を宿す実験体とされた。
あやせは、島の地図とカンで二日かけて研究所を探し出す。
研究所の荒れた状況
ミ=ゴの暴走、ゾンビ兵の作成を依頼していた魔術師の死亡、海堂あやせの侵入等重なり、神上はゾンビ兵と爆弾を使いこの研究所を放棄する事を決定。
冒険者達がこの研究所にくる少し前に大体の掃除が終わり、神上が爆弾を設置し回り、ゾンビ兵は外に逃げたミ=ゴを殺し回っていた。
神上は最後に1Fに爆弾を設置しゾンビ兵を連れ逃げる予定だったが、途中で冒険者達と遭遇する。
NPC
・海堂 はたてorあやせ 美男美女な双子の自称オカルトライター
STR12 CON17 POW11 DEX16 APP18 SIZ16 INT15 EDU19
SAN55 幸運55 アイデア75 知識95+DB4 耐久17 MP11
写真術80 オカルト75 図書館70 目星70 聞き耳70 言いくるめ65 説得60 隠れる50 杖70 こぶし70 回避37
持ち物:肩掛け鞄 カメラ ボイスレコーダー メモ帳等
・冒険者とは知己であり、たまに厄介事を運んでくる腐れ縁。
二人とも、その恵まれた容姿と分け隔てなく接する態度と無駄にある行動力から地元では知らない人間はいない。兄妹は互いに『兄さん』『姉さん』と呼び合い、どちらが上とは頓着していない。
あやせが馬鹿をした為冒険者ははたての頼みという事で今回のシナリオに巻き込まれることとなる。
オカルトライターというのは使いやすいと思います。
・龍ノ宮 優 20歳 指定なし 視力なし モデルは座頭市
STR15 CON14 POW8 DEX8(13)APP16 SIZ13 INT15 EDU16
SAN40幸運40アイデア75知識80+DB4耐久14MP8
聞き耳99 日本刀85 居合い81 応急手当80 回避62 目星0
芸術(家事)80 心理学75
持ち物 仕込み刀 1D6+DB 耐久15
・盲様に気まぐれで助けられ、視力を失う代わりにそれ以外の感覚が異常に鋭敏となり、眼が見えない以上に周囲を把握できる加護を得る。
故に目星はないが、感覚が鋭いとして聞き耳がカンストしている。厳密には何か行動を起こす際には聞き耳を降り続ける必要が有るが、戦闘時のみに限定して構わない。
外出する時は、刀を仕込んだ杖を常備します。
戦闘中は 聞き耳⇒該当の技能⇒命中判定⇒ダメージ計算となる。
HAPPYエンド以外死ぬ不憫な人。性別は好きなようにして下さい。
・下級の異形の神々 盲様 視覚に関する力を持つ
STR40 CON75 POW100 DEX8 SIZ13(60) INT50
耐久68 +DB8D6
呪文 邪眼 眼の保護 視界を奪う 視界を回復させる 萎縮 復活
・凄い気まぐれに色々やった。ただ龍ノ宮は最初の信者ということで少し甘くその子孫をずっと見続けていた。
・登場する際は基本的に、若い女(龍ノ宮の先祖の姿)をとる。
・こいつは封印されている為、爆発に巻き込まれると依り代が破壊されてしまう。依り代が破壊されると唯でさえ弱っているので、死ぬ事は無いがこの世界に干渉できなくなる。結果、龍ノ宮は視界を失ったまま加護も失う事になり、盲様が視ていてくれていたから生きてこられたという事に気づく。
・本来の姿は、大量の鉱物のような球体が常に組み替え続け形を変えている。
敵性NPC
・ミ=ゴ
STR10 CON10 POW13 DEX14 SIZ10 INT15
耐久11 正気度喪失 1D6
ハサミ 30% 1D6 からの組み付き派生
・色々やらかして、神上とゾンビ兵に殺される。HAPPYエンドルートのミ=ゴは港に隠れていたのを神上があえて見逃した。どうせ爆発に巻き込まれるだろう、と。
・神上ミロク 男 28歳(127歳) 結社コアトル会長
STR20 CON17 POW16 DEX15APP14 SIZ17 INT14 EDU18
SAN-幸運80アイデア70知識90+DB6耐久30MP90
全ての技能を70%で使用 ブロック90%
体質:魔力付与(肉)により手足は火、電気、鈍器、貫通を無効
呪文:コルーブラの手、ナーク=ティトの障壁の創造、消滅、肉移植、魔力付与(肉)、ヨグソトースの拳、イグの召還と従属及び接触、イグと誓約
・通りすがりの全ての元凶。
・戦闘中は、受け流しも回避も行わないが常に両手足を使いブロックを行う。この両手足はほとんどの攻撃を無効化するか最低値のダメージしか通らない。刀身を清めた刃物なら斬れる。
・攻撃は、<コルーブラの手>か武道で攻撃。遠い位置に居る敵には<ヨグソトースのこぶし>(出目の STRの半分をダメージとする)を使用する。
・数が多い、厄介な行動を行うPCには<ナーク=ティトの障壁の創造>を使い閉じ込める。
・9割人間の、1割ヘビ人間。イグと直接契約を結び、いずれイグを顕現させる為にヘビ人間の王国を作ろうとしている。
・何でもできる器用な人間だが、必ず二番にしかならない。
・ゾンビ兵A
STR15 CON15 SIZ13 DEX7 POW1 耐久14 +DB1D4
・ゾンビ兵B
STR16 CON14 SIZ14 DEX8 POW1 耐久14 +DB1D4
・ゾンビ兵C
STR17 CON17 SIZ17 DEX4 POW1 耐久17 +DB1D6
共通技能
こぶし50% 1D3+DB 噛み付く40% 1D4+DB 聞き耳50%
アーミーナイフ50% 1D4+DB
装甲 武器半減(切り上げ) 銃及び貫通無効
・ミ=ゴお掃除隊。