マッド3
おかしい。
この値動きなら、5&6が動くと踏んだのだが、まだその兆候がない。
通信を繋ごうとして、やめた。この時間。ボスとマッド2が食事に出ているはずだ。
「どうしたの?」
隣でアルナが動く気配。
いま、十五戦連続勝負が終了したところだ。アルナは目に暖かいタオルを乗っけて休んでいる。ずっと勝ったり負けたりだったが、さっきマッド3が連勝した。アルナが休養中に仕事を済ませようとしていたところだったが、まだ始まっていない。
「いや、値動きが」
「ああ、この前のドラッグ関連企業の株」
「このタイミングで売ってくると思ったんだが」
「たぶん、あと数時間ぐらいは動かないわよ、それ」
「なぜわかる」
「だってこれ、5&6はまだ最大値になりきってない株を売るの迷ってるわけでしょ」
「そうだ」
「迷ったり、なにか聞きたいことがあったら、あなたは最初にどうするの」
「潜入先を変えてみるとか」
「いや、そうじゃなくて」
アルナの目からタオルが少しだけ動いた。目。こちらを見つめている。
「えっと、あなたこの値動きを見て、疑問感じたでしょ。おかしいって」
「ああ。気になった」
「そのときあなたが最初にしようとした行動、なに?」
「通信」
「そうそれ。最初に通信繋ぐのよ。でもいま通信に出るのは」
「マッド4シールド」
「シールドは手堅いから」
「売るなというアドバイスをする」
「そ。そういうこと。あなたは賢いから、マッド2が出ないのに気付いて通信しなかったけど」
「じゃあ、少なくともボス達が帰ってくるまで動きは無いな」
「と、いうわけで」
続きをやろうってか。