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記憶の騎士はニヒルに笑う  作者: 嘘つき妖精
プロローグ:忘れたくない記憶を胸に
2/7

シスコン兄の短い半生

前置きやたら長いです。

ご注意ください。

うわまぶしっ。

視界が閃光に包まれる中、死んだはずの黒崎優は眩しさに目を細めた

ん〜何これ?どうなってんの?僕は確か死んだ気が……。

ま、まさかこれが例による走馬灯っ!

それにしても眩しい。

眩しいばっかで何も見えないしなぁ。

本当に走馬灯?

っは!

ファンタジーっぽい空気に飲まれてはダメだ。

まずは現状確認。

体は?


動かない。

もうコンクリートに埋まってるかもって想像するくらい、微動だにしないのだ

これは不味い。

おトイレどうすんの?食事は?

あぁ死んでたらそんなのいらないじゃんあはは。


……。


はぁ、冷静思考。

勤めて冷静だ、落ち着け僕

まず、現状把握している条件は何だ?


一つ、死んだ


二つ、体動かん


三つ、眩しい

あ、二と三逆だった


四つ、走馬灯かも


以上、黒崎優の現状



アホくさ

何だよ現状確認って結局ここどこなの?

天に召されたとか?

もういいやってアレ〜?

さっきからブツクサ一人でヒートアップしていたお陰か、周囲の変化に気付いていなかった

なんか暗くなってる!?

そしてよく見ると映画館?っぽいところに座ってるのかこれ。

周囲が暗くなり、見えるようになると、

映画館のような所にいるのが分かる

眼前の巨大なスクリーン、何列にも連なるフカフカシート

その中央に、優はいるようだった


なんか始まるのかな?

これは期待、と思い辛抱強く待つ

周囲が真っ暗になったその時、

スクリーンに光が当てられた


『ねぇゆうくん。』

メガネを掛けた、どちらかと言うと可愛い系の、

淡い黄色にオーバーオールというこれまた可愛い格好をした少年がこっちを向いて声を掛けてきた

『なに?しゅうくん。』

そういえば秀の小さい頃はこんな感じだったな。

秀というのは、優の幼馴染で親友というか腐れ縁というか……

そんな感じの付き合いのある男だった

『あのねゆうくん。

なんでゆうくんはそんなにかわいいの?』

穴があったら入りたいわアホォ!!

真顔でズレた質問をする幼馴染みに対して、

『なにばかなこといってるの?

しおりのほうがかわいいよ?』

僕の馬鹿ァ!!!

『ねぇゆうくん。

これってしすこん?ていうんだって。』

『しおりはてんしさんだからかわいいの。

てんしさんがかわいいのがしすこん?ていうんだったらぼくはしすこんさんでいいよ?』

ヤメてぇもう僕のライフはゼロなんだぁ!!!

ハァ、ハァ、ハァ。

なんか画面変わったな。

この画面の高さだと中学くらいか?

画面が変わり、視点がグンと高くなっている様子

視界が左右にブレる

ん?なんか探しているのか?

って制服か、そりゃ休日じゃない限り学校あるよなぁ。

でもなんだろ。

どうやらぼくの目がおかしいようだ。

手に取った制服は“女物”

やっぱり女物だよな?セーラー服にブリッツスカートとか男物のわけないよな?

ってことは詩織の仕業かな?

あいつ事あるごとに女物着せてくるんだよなぁ……。

画面の僕は女物の制服をビニール袋に入れると、クローゼットから学ラン一式を取り出したようだ

うちの中学は学ランなのだ。

しかも超かっこいい。

世の中にダサくない学ランなんてあったんだ、と思った。

いそいそと学ランに着替える姿を主視点で見ていると、

等身大の姿見へと移動する

こうして身だしなみを整えるのは癖と言っていいのだが……。

そこに映し出されるは学ランを纏った美少女、

もとい学ランを纏った僕なのであるが、

そう、美少女なのだ。

僕のコンプレックス

これを見た十人が女だと言い、

これを見た十人が“()”少女だと言う。


少し大きめの黒瞳、

顎のあたりで切ってある黒髪、

小さめの鼻に小さめの口、

と言うか顔も小さめ。

線の細い体つき、と言うかもう華奢と言っていいくらいの体つきのせいで少しブカブカ目の学ラン。


その大きめながら少し切れ目のある眼を不機嫌に瞬かせ、

鏡から離れた視点の主が向かうはドアの先のリビング

リビングにはスーツ姿の母さんとさっきの女物の制服と同じものを着た妹、

詩織が席についてハムエッグとコーヒーを朝食にしていた

『あっお兄ちゃん制服どうだった〜?』

やはり、目覚め直行制服ドッキリを仕掛けて来たのは、

我が妹であり、最愛の妹、もとい天使ちゃんこと黒崎詩織である

母さん譲りの茶髪を後ろでお団子にした詩織……。

可愛ゲフンゲフン。

もとい可愛い。

父さん譲りの切れ目に小ぶりな顔、

お団子茶髪を揺らしながら上機嫌に可愛らしい唇を歪ませる姿……。

これが最高の美少女妹なのだ!!

あ違った修正修正……。


これが最高にして最愛の天使ちゃんなのダァー!!!


バコーン


ボフーンボフーン


と、心の中で小爆発が起きている最中も画面の僕は動いている

『うん?

それならビニール袋に入れて完全に密封して今ここに。』

と言って制服入りのビニール袋を我が妹へと突き返す

僕は変態ではない、紳士なのだ。

……変態紳士でもないから。

『え〜つまんな〜い。

お兄ちゃんなら匂いを嗅いで詩織の名前を連呼してイイコトしてそうなのに。』

『イイコトってどんなコト?』

『え、え〜とそんなコト?』

普段からこう言う悪戯ををするくせにこう言う時に限って赤面するのだ可愛い奴め。

『早く食べないと遅刻するよ?優。』

そう言う母は、この時点では中学三年生と中学一年生を子供に持つのに、

まだまだ枯れる事はないようだ。

と言うか高校二年生になる僕が死ぬ直前まで普通に二十代みたいだった。

……強盗に切られたであろう傷も綺麗に治ってほしいな。

長い茶髪を後ろでポニテにし、

兄妹共に似ていないふんわりとした黒瞳を瞬かせているスーツ姿の母

黒崎琴葉は朝食を終えたようで、

『二人とも、母さん出勤するから洗い物よろしくね?』

『はいは〜い。』

『詩織じゃ全部割っちゃうから僕がやるので黙っててね?』

『ひっど!』

『じゃあ行ってきます。』

 『『行ってらっしゃい!』』


いつもの光景、いつもの会話

もう僕が味わう事のない喧騒だけれど、最後に見れてよかったな。

できるなら秀の様子も見たかったけれどタイムアップのようだ。

明るかったスクリーンと暗かった周囲

それが反転して周囲が明るくなって来ている

さよなら人生、あまり好きではなかった自分自身だけど、

詩織が妹でよかった。

母さんの子供でよかった。

父さんの子供でよかった。

僕が僕でよかった。


「いや逝かせねぇよ?」

「は?

って声出るなんで!?

と言うかだれ!?ここには僕以外いなかったはずなんだけど!?」

「はっはっは〜、私が誰だって?

私はねぇ……。



か%&$だ!!!」

「えっと〜、

なんて言いました?」

「神です。」

「なんて言いました?」

「神だ。」

「なんて言いまし「神だって…。」。

ハイ。」

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