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Appendix2

 奇術師フォゾンは、激戦のあおりを受け、大きな損害を受けた闘技場を一人見つめていた。

 そして思い出す。

 この場所で行われた、近年最も神話ミソロジーレイヤーに近づいた、2人の魔術師の戦いを。


「ほんと、今この街が無事なことが信じられないですね」


 そして、振り向き、偉大なる上官を招き入れる。


「ご足労いただきありがとうございます、副団長様。

 しかし、残念ながら、事は全て終わっております。

 少し到着が遅かったようですね」


「何事もないのならば、それで構わん。

 それとも不幸があることを、お前は望んでいるのか?

 記録者としての仕事は多くなるからな」


「私も、仕事はそんなに好きではありませんよ。

 今回も突然、『トーナメントに出ろ』などとご命令をいただき、たいへん困惑いたした次第です」


「お前も、戦えるときはちゃんと戦っておけ。

 俺はお前を戦闘要員としてカウントしている」


「私は伝達師団に所属する『観測者』でございますよ。

 戦うことが仕事ではありません。

 この街の住人が死滅しても、知ったことではないのですよ」


 副団長と呼ばれた男は、改めて、大きく損傷した闘技場を見渡す。

 簡単な連絡はすでに受けている。

 しかし、それでは納得はできない。

 それほどに『指定闇魔術師』というのは、この世界で最も凶悪な部類の人間であるのだ。


「さて、観測者。

 お前が見たもの。

 それを全て話してもらおう」


「もちろんでございます。

 それこそが、私のお仕事でありますからね」


 そう言って、奇術師フォゾンは、この場所で起きた全てを、詳細に語り出した。


 ・・・


「エレナ・レセンティアか・・・。

 彼女はどこへ行くと?」


「クレセンティアに行くらしいですよ」


「そうか。

 ならメリィに言伝ことづてを。

 エレナ・レセンティアの情報を可能な限り収集するように、と」


うけたまわりました。

 それこそが、我が伝達師団の本業でございます。

 決して、『武闘』ではありませんよ。

 では、私はこれで」


 そう言うと、奇術師フォゾンは霧のように消えてしまった。

 彼の使う幻術のなせる技だ。


「さて、新しい戦力は、是非我がマリーベル教に引き入れなければな」


 副団長と呼ばれた男は笑みを見せた。

 闇魔術師達との戦いに向け、新しい可能性を感じ取れたからだ。


 そんな笑みは、エレナには届かない。

 そして彼とエレナは、クレセンティアの地で合間見える。

 それは、また別の話である。

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