Chapter18 武具収束奥義 (1)
Bランクトーナメント。
出場登録を済ませるため、闘技場受付前へとやってきた。
今日は、Bランクトーナメントの前日。
予選が明日、そして本選が明後日。
かなり遅いタイミングで来てしまったようで、他の参加者は見当たらない。
受付カウンターも無人の状態だ。
誰かいないのかしら。
「すみません!
Bランクのトーナメントに出場したいんですけど」
「はーい!
ちょっと待ってくださいね★」
軽い調子の明るい声がロビーに響く。
そして受付の奥の部屋から、紫色の髪の女性が現れた。
「あれっ、エレナじゃない。
ついに、Bランクのトーナメントに出るんだ。
明日のだよね」
「ミーティアさん、どうもです。
ミーティアさんが言う通り。
Bランクトーナメントにエントリーしたいんですけど」
するとミーティアは、一枚の用紙をカウンターに配置する。
様々な異なる筆跡で名前が羅列されている。
『Bランクトーナメントエントリー』とタイトルをつけられた用紙。
参加登録は、この用紙への署名で成立する。
Cランクのときと同じだ。
迷うことなく、一覧表の最下に、私の名前を記入する。
「Bランクトーナメントエントリー、エレナ・レセンティア」
記載内容が復唱され。
これでトーナメントの登録は完了。
そう思った、次の瞬間。
「Bランクトーナメントエントリー、ミーティア・ユークレス」
お姉さんが、彼女の名前を、私の名前の下に追加した。
「は!?」
どゆこと?
理解に苦しむ展開に、混乱するエレナ。
そしてニヤニヤするミーティア。
そんな彼女は、
「エレナと戦ってみたいと思ってたんだよねー」
とか言い出した。
この1年ほどで私も成長し、戦わずにして相手の実力がわかるようになっていた。
相手から漏出する魔力を感知することで、相手の魔力的な実力がわかるのだ。
だからこそわかる。
このお姉さんは『玄』だ。
『あの、今回どうしても優勝したいので、出場取り消してもらえないですか?』
と念のため聞こうとしたが、
「エントリー用紙に記入した後は、訂正できません」
と、先に釘を刺されてしまった。
「エレナ?」
「ん?
あっ、アリウス」
いろいろややこしいことになり、慌ただしくアワアワしている後ろから声をかけられた。
なぜ彼がここにいるのか?
その理由は聞きたくはない。
「もしかして明日のトーナメントに出るのか」
「いや、その・・・。
どうしようかなーみたいな」
「そうか。
・・・。
実は、俺も出るんだ」
「嘘でしょ!」
ほんの一瞬だけ考え込む仕草を見せたアリウス。
その直後、まっすぐな視線を私に送ってくる。
「本当だ。
エントリーしていいか?」
ミーティアに依頼をし、用紙を受け取り。
流れるような動作で署名を行った。
「Bランクトーナメントエントリー、アリウス・ゼスト。
登録、受理されました★」
なんだこれ。
実は楽勝で勝ち抜けられるつもりで楽観視していた、先ほどまでの自分を殴りたい。
一瞬で、難易度が中から∞へ上がった。
呆気にとられすぎてよだれが出そうだ。
うぇえぇ~。
「エントリー用紙、見せてもらってもいいか?」
「どーぞ~★
ほんとはよくないけど」
私たちが記名をした用紙に加えて、それより連番が若い数枚の用紙も合わせてアリウスに渡る。
アリウスは、順に、名前を確認していく。
最後に記された自分の名前まで確認すると、考察を述べる。
「セリス。
こいつは強いな」
「セリスちゃんですね。
私もこの娘には勝てるかどうかわかんないですね」
この2人より強い人もいるのかよ!
優勝どころか、予選突破も危うくなって来た。
「かといって、登録しちゃいましたし」
「そうだな」
「私、出場やめたいけど」
「明日が楽しみね★」
「エレナ、手加減はしないからな」
そう言うと各自解散していく2人。
「何故、こんなことに」
取り残された私は、一人呟いた。
*****
「エレナ、登録してきた?」
「うーん・・・」
「むー。
なんか出かける前はやる気全開で張り切っていたのに、帰って来たらやつれている。
その間で何があったのか。
説明を求める」
「アリウスとミーティアが出るらしい」
「なるほど。
おもろい」
お気楽なノムちゃん。
見ているだけでいいのなら、そりゃあ私も楽しいのですがね。
「プレゼントするの、難しいかも」
「大丈夫、勝てる勝てる」
「しかも、2人より強い人もエントリーしてるそうな」
「なんていう名前?」
「セリスさん、って人」
「むー、知らない」
「怖いなー、怖いなー、怖いなー」
「今から、私が特訓してあげようか」
「余計自信なくなりそうだから、いいっす。
・・・。
って思ったけど、お願いします。
このまま宿にいても、なんかネガティブになっちゃいそうなんで」
「特訓・・・。
ちょっと、面白そう」
「試合前に選手を叩きのめしたらダメだからね」
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