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Chapter13 幻魔召喚魔術 (1)

 闘技場のトーナメントはCランク、Bランク、Aランクがあり、私が出場したCランクは、最も低いランクである。

 優勝はできたものの、まだまだ先は長そうだ。


「Bランク、Aランクって、やっぱり相手は手ごわいの?」


「エレナはもうBランクのレベルには十分達してる」


「ほんとかな?」


 戦いと簡素な祝勝会を終え、宿へ戻るとすぐに眠気が襲い。

 陽光まぶしく眼を覚まし。

 何をするでもなく宿でまったりし。

 読書中のノムと雑談したり。

 いつもの日常に戻っていく。


「Aランクはまだ全然無理だけどね」


「ノムみたいのがで出てきたりするの?」


「それはない。

 Cランクは1週間に1回、Bランクは1ヶ月に1回くらい開催されるけど。

 Aランクは半年に1回程度しか開催されない。

 その分報酬が豪華で、それを求めて世界各地から冒険者たちが集まってくる。

 そして、その強者達の戦いを見るために、さらに観客が押し寄せる。

 だから、その日の前後は、町の人口が増加するの」


 なるほど。

 言われてみたら、街の雰囲気が変わる期間があったように思う。


「報酬ってお金?」


「賞金に加えて、武器、装飾品、宝石などの希少品が賞品として用意される。

 優勝者の能力をさらに高めるマジックアイテム、古代、紀元前の宝珠、歴史的な価値のあるものなど」


「書籍、ってこともある?」


「ん?

 あるかもだけど。

 魔力の宿った書籍、グリモワールとかだったりしたこともあったらしい。

 でもなんで?

 書籍が気になるの?」


「エルノアが探してるらしいんだよね。

 たぶん、闇魔術か死霊術の本だと思うんだけど」


「ふーん。

 可能性はあるかも。

 ただし、闇の魔導書だと素人目には判別できないものである必要があるけど。

 この街のマリーベル教会の監視の目をくぐり抜けれる程の代物であるならば」


「そのときは、相手にエルノアが出てくるのか・・・」


 出場者名簿に、その名前があった時点で即棄権。

 待った無し。


「うーん。

 連れの男のほうが出場するとは思うけど」


「あー、そういえばアリウスがそう言ってたかも。

 で。

 ちなみに、ノムは出ないの?」


「エレナが出場するのなら、同じトーナメントに私も出場してもいい」


「やめてください」


 キツ目の冗談でニヤニヤしたりヒヤヒヤしたりしていると、ほのかな違和感を感じる。

 ・・・。

 なんだろ。


「なんか・・・。

 忘れてるよね」


「トーナメントの報酬をもらっていない」


「それっ!

 もらってない!」


 もしかして、貰い忘れた!?

 時効なの?

 気づいてたんなら早く言ってよ!


「報酬は当日じゃなくても、後日でももらえる」


「よし!

 さっそく、もらいに行こう!」






*****






「こちらが賞品になります」


 闘技場スタッフの男性が、優勝賞品を渡してくれる。

 さてさてさてさて。

 期待がワクワク。

 如何なる宝珠か、魔道具か~。


「・・・。

 書籍?

 グリモワール、じゃないよね」


「違うと思う。

 魔力は感じない」


「うん、確かに」


 赤い装丁のビンテージ感のある書籍。

 ざっと300ページくらいはあろうか、それなりの重厚さ。

 その見た目から、降魔書籍グリモワールであることを一瞬だけ期待したが、手で触れてみても魔力は微塵も感じない。

 表紙には『九尾の狐伝説』と書かれている。

 著者名は確認できない。


 その表紙をノムに向け、彼女の記憶の片隅に関連情報が落ちていないかを確認する。


「知ってる?」


「東大陸の東の果ての島国、和泉(いずみ)の国というところの伝説、だったはず。

 それ以上のことは知らない」


「神話みたいなものかな?」


「うーん、どうだろう。

 伝説だったか、実話だったかハッキリしない」


 その真実は、この書籍の中に記されているに違いない。

 まずは中に目を通してみよう。

 パラパラ~っと。


「『炎の尾を持つ妖狐は、美しき女の姿に変化した』、

 だって・・・。

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 普通の本じゃんか!!」


「残念」


 残念とかつぶやきながら、そこはかとなく嬉しそうなノム。

 そして、イラダチすごいエレナ。


「闘技場の人っ!

 これって普通の本ですよね!

 普通ですよね!

 古本屋とかにあるやつですよね!

 ですよね!」


 一言ごとにズイズイと近寄りながら、眼鏡をかけた男性スタッフを問い詰める。

 この人には何の非もない。

 そんなことは知らん。


「見る人が見れば高価なものらしいです。

 歴史を研究する方とか。

 そういう方にお売りになれば、高値が付くと思います。

 ただ、そのような方は、この町にはいないかもしれませんが」


「だめじゃん」


 これ以上責めると、私がいちゃもんオヤジのレッテルを貼られてしまう。

 スタッフさんのいい人オーラが、その気持ちに拍車をかける。


 ノムはまだ若干ニヤニヤしている。

 まあ、かわいいからいいけど。

 そんな彼女を見て少し落ち着いたようだ。


 ・・・。

 まあとりあえず、帰って読むか。






*****

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