Chapter11 治癒術 (5)
「午後から、ランクD2にエントリーしない?」
約1月の休息期間を経て完全復活。
実戦の感覚を取り戻すため、闘技場の次ランクD3へ出場した私。
午前中にランクD3を余裕で撃破し賞金の25000$を受け取ったところで、受付のお姉さんからそのような提案を受ける。
1日で10連戦になるのですが。
露出された肩や、その肩にかかる程度の長さの紫色の髪は美しいが、そこはかとなくニヤニヤとした表情が、どうも不信感を醸し出す。
しかし、そんな不信感を、『休息期間で遅れた分、早く次のステップに行きたい』という気持ちが上書きする。
ランクD2、5戦目、本日10戦目。
入場してきた相手モンスターは、出っ張った口、硬そうな肌、鋭い爪、威圧感のある目を持ち合わせている。
見覚えがある。
確か、イモルタの実戦を観戦したとき。
イモルタを半殺しにした、凶悪なデーモン系モンスターだ。
色違いだけど。
イモルタの戦いを見ておいてよかった。
初めて対戦する魔物に対し、およその対策が構築できている。
試合開始のアナウンスとともに、相手のデーモン系モンスターが炎術の収束を開始する。
遠距離からは魔術攻撃、近距離では鋭い爪による物理攻撃。
ならば。
私は。
相手の炎術攻撃を軽々とかわしながら、間合いを詰めながら。
先日の、ノムとの一戦を思い出す。
魔術の威力、威圧感。
魔術収束の速度。
狙いを外さない放出と制御の技能。
属性を悟らせないオーラセーブの技能。
どの評価項目をとっても、ノムには遠く及ばない。
ああ。
弱すぎる。
武器の槍に雷の魔力を込める。
そして、槍の長いリーチを利用し、相手の物理攻撃の間合いの完全に外側から、雷の矢を放った。
「サンダーランス!」
本来は、先日ノムに喰らわせる予定であった雷と槍の武具収束術技。
雷撃が相手を貫く。
・・・。
立て続けての追撃の発動準備に入ったところで、アナウンスが流れる。
試合終了のアナウンス。
戦闘体制から沈静状態へ戻る過程でため息が漏れる。
さすがに10連戦は疲れますね。
見上げた空は青く澄み渡っている。
その青さが、青髪少女の顔を思い起こさせる。
まだまだ、こんなものじゃ彼女には届かない。
新たな決意を心に留め、私は闘技場を後にした。
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