第三章 登場人物
ネタバレ注意
斉
斉の桓公
春秋五覇の一人に数えられる名君。当初こそ傲慢さを見せていたが、管仲の補佐の元、覇者としてその実力を天下に示す。
管仲
斉の名宰相。斉の軍制、内政改革。外交と万能の才を発揮し、斉の桓公を補佐する。斉を強国へと押し上げる。
鮑叔
斉の大夫。管仲の親友で、彼を宰相に押し上げた人物。裏側で斉の政治を支える。
高傒
斉の卿。斉の桓公を支える名臣。
隰朋
斉の名臣。管仲と共に斉の桓公を支える。
東郭牙
斉の桓公に見出された人物。
仲孫湫
斉の大夫。魯の様子を見て、乱が起こると予言した。
公子・無虧
斉の桓公と長衛姫との子。衛が滅亡に瀕した際、父から援助を命じられる。
長衛姫
斉の桓公の夫人。
魯
魯の荘公
魯の名君。斉との対立しながらも無名の曹沫を用いて、斉と戦う。斉と講和すると内政に務めるが、晩年は礼に外れた行いも多かった。
曹沫
魯の大夫。元々、無名の農民に過ぎなかったが、魯の荘公に謁見し、斉との戦いで勝利をもたらせる。また、その後斉に取られそうになった土地を奇策で取り戻している。
慶父
魯の公族。魯の荘公の庶兄。軍の責任者だが、猪突猛進の将であり、管仲の策を前に破れて魯に危機をもたらす。荘公の死後、己が国君となるが、臧孫辰と弟の季友との政争に負け、自害する。子孫は孟孫氏と言われる。
公子・偃
魯の大夫。慶父と性格が似ており、斉との戦いで虎の皮を馬に着せ、突っ込むという奇策で斉を破ってみせたが、その後の戦では管仲の策の前に敗れる。
臧孫達
魯の卿。魯を支える名臣として活躍する。主に外交を担う。宋の桓公を国君に相応しいと称える。
臧孫辰
魯の卿。臧孫達の孫。祖父と同じく、魯で重責を担う名臣であり、祖父と同じように魯の外交を担う。慶父との政争では季友を援護する。
文姜
魯の荘公の母。兄である斉の襄公と関係を持ち、斉と魯を対立させた人物。兄の死後、魯の外交に協力する。
慶
魯の建築家。荘公の行いを諌める。
夏父展
魯の大夫。荘公の行いを諌める。
季友
魯の荘公の末弟。荘公の死後、兄・慶父と政争を行い、魯の僖公を擁立する。そして、魯の政権を握る。彼の子孫は季孫氏と言う。
孟任
荘公が惚れた女性。
子般
荘公と孟任との子。太子に選ばれるが慶父の手により殺される。
梁氏
魯の大夫。
犖
魯の圉人、子般の怒りを買ったため鞭で打たれる。それを恨み、慶父に協力し、子般を殺した。
哀姜
魯の荘公の正室。子はできなかった。慶父と関係を持ち、彼を国君になりたいと思うようになり、彼に協力する。その後、邾に亡命するが、斉に連れ戻され、処刑される。
叔姜
哀姜の妹。魯の荘公との間に魯の閔公を産んだ。
魯の閔公
慶父に擁立される。国君としては良君の器をもっていたが彼に殺される。
叔牙
魯の荘公の弟。慶父を立てるべきと言ったため、季友に毒を進められる。その毒を飲み死んだ。彼の子孫は叔孫氏と言う。
成風
魯の荘公の妾、季友が亡命する際は子の公子・申と共に彼について行く。その後彼の妾として、慶父との政争を支える。
魯の僖公
魯の荘公と成風との子。季友に擁立され、即位した。
卜齮
魯の閔公の傅に土地を奪われたことを恨み、閔公を殺した。
公子・魚
魯の大夫。慶父と仲が良かったが私情を挟まず、彼に死ぬことを進めた。
宋
南宮万
宋の大夫。猛将で魯との戦いでその武威を表すが肩に矢が刺さり、魯に囚われる。その後開放されるが宋の閔公にそのことをからかわれ、乱を起こすが䔥叔大心に敗れ、母を連れ、陳に逃れるが捉えられ、宋に送られると処刑される。
宋の閔公
宋の国君。南宮万をからかったことで己の寿命を縮めるてしまった。
宋の桓公
魯への返答が見事だったため臧孫辰に国君に相応しいと讃えられる。南宮万の乱では、公族と協力し、戦う。その後、国君となった。衛に滅亡に瀕した際、難民を保護する。
南宮牛
南宮万の息子。父に従い、乱を起こす。䔥叔大心との戦いで戦死する。
猛獲
南宮万の部下。乱を起こす。戦いで敗れると衛に逃れるが引き渡され、処刑される。
仇牧
宋の大夫。宋の閔公の仇を討とうとして、南宮万と戦うが返り討ちにあう。
華父督
宋の大宰。南宮万の乱に巻き込まれ、殺される。
公子・游
宋の公族、南宮万によって擁立されるが彼が敗れると処刑される。
䔥叔大心
宋の公族。宋の桓公を匿い、公族たちをまとめあげ、南宮万と戦い勝利させた。
周
周の荘王
周の国君。
周の僖王
周の国君。周の制度を勝手に変え、批難された。
単伯
周の大夫。
蔿国
周の大夫。晋の武公と手を結び、権力を持つ。子頽の師に任命されていたため、子頽を擁立したいと考える。そのため恵王と対立し、乱を起こす。五大夫の一人。国都を占領すると五大夫たちと宴ばかりやり、呆れられる。
夷詭諸
夷を治める大夫。晋の武公、蔿国と対立し殺される。
周公・忌父
周の卿。
周の恵王
周の僖王の息子。子頽や五大夫らと対立。鄭と虢の手を借り、五大夫らと戦いに勝利するが、鄭と虢の扱いに差をもたらしたため、鄭を周から離れさせてしまった。
原の荘公
周の卿。五大夫との戦いで恵王を守り奮闘する。
恵后
周の恵王の后。
子頽
僖王の弟。王になりたいという野心によって、五大夫に担がれる。
辺伯
周の大夫。乱を起こす。五大夫の一人。
子禽祝跪
周の大夫。乱を起こす。五大夫の一人。
詹父
周の大夫。乱を起こす。五大夫の一人。
石速
周の大夫。乱を起こす。五大夫の一人。
蘇子
周の大夫。周王朝に不満があったため、五大夫と共に乱を起こし、鄭との戦いで戦死する。
樊皮
周の大夫。反乱を起こす。
過
周の内史。虢に災いが起きることを伝える。
辛廖
周の大夫。畢万に晋に仕えることは吉と予言した。
衛
衛の恵公
衛の国君。周の内乱では五大夫側を援助する。だが、鄭との戦では勝手に退却している。
石祁子
衛の大夫。石碏の曾孫で衛を支える。猛獲が亡命した際、衛の恵公に宋に引き渡すよう進言した。衛が滅亡に瀕した際、国民をまとめ守る。
衛の懿公
衛の恵公の息子。父の死後、即死する。鶴を愛しすぎたため、民の反感を買い、狄との戦いに敗れ、戦死した。肉体は肝臓以外を食われたと言う。
甯速
衛の大夫。衛の滅亡に瀕した際、民をまとめる。
渠孔
衛の大夫。狄との戦いにより戦死。
子伯
衛の大夫。狄との戦いにより戦死。
黄夷
衛の大夫。狄との戦いにより戦死。
孔嬰斉
衛の大夫。狄との戦いにより戦死。
弘演
衛の大夫。衛の懿公に最後まで従い、奮闘するものの狄との戦いにより戦死する。だが、彼の活躍は斉の桓公に讃えられる。
華龍滑
衛の大夫。
礼孔
衛の大夫。
衛の戴公
衛の滅亡に瀕した際に即位し、国民をまとめる。元々身体が弱かったため、即位まもなく亡くなる。
衛の文公
兄の戴公の死後、即位する。衛の滅亡に瀕した際、斉に救援を求める。衛が再建されてからは内政を整え、国力を回復させた名君。
蔡
蔡の恵侯
蔡の国君。当時、息侯の妻であった息嬀に無礼を働いたため、息侯の怒りを買い、楚に攻め込まれ、捕虜となる。彼は楚の文王に息嬀の美しさを伝え、開放される。その後、再び楚に攻め込まれることになる。
息
息侯
息の国君。息嬀に無礼を働いた蔡の恵侯を懲らしめるため策を用いて、楚に蔡を攻めさせる。だが、息嬀の美しさを知った文王に攻められ国は滅亡し、殺される。
楚
楚の文王
楚の名君。楚を拡大させるため、周囲に戦を仕掛ける。その報いで周囲の国に逆に攻め込まれてしまい。楚滅亡の危機を招くが敗北した後、軍を動かし、勝利することで何とか危機を乗り切る。その後、亡くなる。
息嬀
最初は息侯の夫人であったが、息を攻め滅ぼした後、文王の夫人となる。彼との間に子を二人儲ける。また、息侯の死のきっかけを作った蔡の恵侯を許さず、文王に攻めさせる。子元が迫ってくると彼を嫌悪し、策を用いて彼を除いた。
闘緡
楚の大夫。武王の時、乱を起こし、討伐される。
闘敖
楚の大夫。闘緡と共に乱を起こした民の監視を行うよう命じられたが、巴の侵攻を受け、逃走する。その罪を問われ、楚の文王に殺させる。
鬻拳
楚の大夫。強く、楚の文王を諌めることができる忠臣。楚の文王が死ぬと殉死。
熊囏
楚の文王の息子。文王の死後、後を継ぐが弟の成王を殺そうとし、返り討ちにあって死ぬ。
莧嘻
楚の大夫。楚の文王に名臣であると評価される。
申侯・伯
楚の大夫。楚の文王に佞臣であると評価され、鄭に出奔する。
楚の成王
楚の名君。兄に殺されそうになったため、兄を殺し、即位する。祖父・武王、父・文王とは違うやり方で楚の領土を拡大。中原諸侯と戦うほどになった。
子元
楚の令尹。楚の文王の弟だが、兄嫁である息嬀を欲しがる。そのため戦で良いところを見せようとしたが、戦に敗れている。その後、彼を除くことを考えていた楚の成王に殺される。
闘御彊
楚の大夫。
闘梧
楚の大夫。
耿之不比
楚の大夫。
闘班
楚の大夫。申の地位を与えられている。子元を捕らえた人物。
王孫游
楚の大夫。
王孫喜
楚の大夫。
闘廉
楚の大夫。子元のあり方を批難したため彼に捕らえられた。
子文
楚の名宰相。闘伯比の息子。虎に育てられたという逸話がある。
陳
陳の宣公
陳の国君。偏愛により、陳に乱をもたらせた。
御寇
陳の太子であったが、父に殺される。
款
陳の宣公が妾との間に産まれた子。
顓孫
陳の大夫。御寇に近かったため、陳の宣公に殺されそうになったため斉に出奔し、その後魯に逃れた。
陳完
陳と斉の大夫。御寇に近かったために陳の宣公に殺されそうになる。義父である懿仲に協力により、斉に出奔する。斉では斉の桓公の寵愛を受ける。
懿仲
陳完の義父。占いを信じて、娘を彼に嫁がせる。
女叔
陳の卿。外交を担う。
原仲
陳の大夫。季友とは葬儀の時、来てくれるほど仲が良かった。
鄭
鄭の厲公
鄭の国君。宋の支援を受け、復位する。その後、国内を粛清すると周と内乱に介入、覇者になることを目指すがそれを果たす前に世を去る。
傅瑕
鄭の大夫。鄭の厲公に捕らえられると脅されたため、子儀と彼の息子たちを殺し、厲公を招く。だが、厲公は傅瑕は逆臣として処刑される。
子義
鄭の国君。傅瑕に殺される。
原繁
鄭の大夫。鄭の荘公の代からいる功臣。だが、鄭の厲公の粛清の対象にされ、自害する。
公孫閼
鄭の大夫。鄭の厲公の粛清によって殺される。
強鉏
鄭の大夫。鄭の厲公の粛清によって両足を切られる。
公父定叔
鄭の大夫。段の孫。鄭の厲公の粛清を恐れ、衛に亡命する。三年後許され、帰国する。
叔詹
鄭の厲公の息子。斉との戦いで捕虜となる。だが、自力で脱出し帰国する。
鄭の文公
鄭の厲公の息子。父の死後、即位する。周の恵王の鄭の扱いを見て、斉に従うようになる。
高克
鄭の大夫。鄭の文公に嫌われ、陳に出奔する。
晋
晋の武公
晋の国君。晋の統一を目指し、周の大夫・蔿国と手を結び、周との関係を良くさせ、晋侯・緡を殺し、統一の悲願を達成させた名君。
晋侯・緡
晋の武公との戦いに敗れ、殺させる。
晋の献公
晋の武公の息子。周辺諸国と戦い晋の領土を拡大させ、人材も広く求め、晋の国力を高める。しかし、驪姫を得てからは彼女に溺れるようになると名君らしさを失っていく。
史蘇
晋の大夫。晋に乱が起こることを予言した。
斉姜
元、晋の武公の妾で、晋の献公が即位すると彼の妾となる。
驪姫
晋の献公に国を滅ぼされた後、彼の妾となる。彼との間に息子の奚斉が産まれると息子を国君にしたいと思い。申生らを除こうとする。
里克
晋の大夫。晋のその後を心配する。
郭偃
晋の大夫。史蘇と同じく。晋の乱を予言する。重耳に天命を見る。
士蔿
晋の献公に見出された謀臣。謀の才を発揮し、晋の公族を粛清する。その功績により大司空に任命される。
重耳
晋の献公の次男。凡庸ではあるが、人に慕われる人物。
富子
晋の公族の中で大きな勢力をもっていた人物。士蔿に謀殺される。
游氏
晋の公族。士蔿に謀殺される。
奚斉
驪姫の子。
卓子
驪姫の妹の子。
申生
晋の太子。非の打ち所の無い人物だが、驪姫の謀略により、父に恨まれるがそれも天命として、国に留まり続ける。
夷吾
晋の献公の三男。才気活発。
優施
驪姫の愛人。彼女に様々な謀を授ける。国を乱していることに快楽を見出している。
梁五
晋の佞臣。
東関嬖五
晋の佞臣。
丕鄭
晋の大夫。言葉は過激。
荀息
晋の大夫。如何なる状況であろうとも国君に従うべきと考えている。
狐突
晋の大夫。晋の献公と申生を敬愛しており、申生が害されそうになっていることに心を痛め、申生を他国に出奔させようとするが、羊舌突に阻まれる。重耳に天命を見ており、自分の息子をつけさせている。
狐毛
狐突の長男。重耳に仕える。才気のありすぎる弟の狐偃の抑え役。
狐偃
狐突の次男。重耳に仕える。才気溢れ過ぎている部分がある。
郤豹
晋の大夫。士蔿とは仲が良い。勇将として、翟柤戦で活躍する。
趙夙
晋の大夫。戦で活躍した。
畢万
晋の大夫。戦で活躍した。郭偃に子孫が繁栄すると予言される。
先友
晋の大夫。申生を思いやる。
罕夷
晋の大夫。晋の献公の意思を申生に悟らせようとする。
梁余子養
晋の大夫。申生派。
先丹木
晋の大夫。申生派。
羊舌突
晋の大夫。如何なることも君に従うことを忠としている。だが、申生に戦で死ねと言っているだけ、申生には同情心はあるもよう。
虢
虢公・虢叔
虢の国君。晋の統一戦では援軍として出向く。恵王の時は彼の后を晋の献公、鄭の厲公と考える。周の内乱の際は鄭の厲公と共に周の恵王側で戦う。晋とは対立し、しばしば、兵を交える。
祝応
虢の大夫。
宗区
虢の大夫。
史嚚
虢の大夫。虢の災いを予見する。そのため怒りを虢公の買う。
舟之僑
虢の大夫。虢に見切りをつけ、晋に出奔した。
燕
燕君・仲父
周の内乱に衛と共に参加。鄭との戦いで囚われる。
燕の荘公
山戎に攻められ、斉に救援を求める。斉の桓公の度量の大きさに感服する。
秦
秦の宣公
秦の国君。密畤を作る。
秦の穆公
秦の国君。後に、天下に名を轟かす名君。
曹
曹の昭公
曹の国君。