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恋紬のフィラメント  作者: 如月雨水
絡まる綾糸
18/42

これは何ですか? 2

誤字脱字を見つけ次第、訂正します。

「――――あのね、西城さん!」

朝のHRが終わってからずっと、何故か転校生が私に付きまとう。

その度に柏木が割り込み、矛先が私からずれるんだけれども・・・。何かがおかしい。と言うか、違和感しかない。

ちなみに壁となってくれた柏木は現在、不在である。

(うわー・・・頭が痛い)

今までは柏木にべったりだったのに、一体どういう心境の変化?

まさか、柏木が朝に言った「他のクラスメイトと関わる」云々を実行していると? 私じゃなくて藍染姫花に興味津々、仲良くなりたいオーラを発している人としてください。切実にそう願うのに、望み叶わず転校生は私にべったり。

これは・・・変なことを企んでいるんじゃないか?

なんて、疑ったけど転校生の口から出る言葉の大半は「柏木くんって」だ。よって、柏木について情報収集したいんだなーと、理解出来た。昔を思い出すやり方に、何故だがイラつく。胸やけしそうなほどに、苛立ってしまう。

・・・何でだろう?

はっ! これはきっとあれね。

トラウマが再発した、ってやつだ。うん。多分。きっと。これで解決しておこう!

あー、えっと。それにしても・・・・・・何故、腕に腕を絡めてくるのですか? 過剰なスキンシップは柏木でお腹一杯だよ。げんなりしつつ、転校生を見た。

輝かしい笑顔を向けられ、――直視できないと速攻で逸らしてしまった。眩しいよ。

何で美形の笑顔ってこうなんだろう。自分と比べて悲観してしまう。悲しきかな、普通の顔。・・・まぁ、美形は眼の保養になるからいんだけど。

それよりも、腕を放して欲しい。その思いで声をかけたんだけども・・・。

「藍染さん。悪いんだけど腕、放してくれないかな?」

「ねぇ、ねぇ、西城さん。どこ行くの? 食堂?」

「や、だから・・・」

「あ、当たりかな? ふふ、西城さんっていつも、お昼は食堂に行ってるよね。自分でお弁当作らないの? 柏木くんに愛妻弁当を食べさせなきゃ!」

「・・・聞いて」

愛妻弁当なんて、誰が作るモノか。

弁当が欲しいなら、柏木に恋した乙女から貰え。もれなく、血液やら髪の毛混じりの料理を食べさせられることになるけどね。もしくは液状の何かか、未確認物体。中学の運動会や文化祭の時、柏木に恋する女子が作りだした料理は見るからにして到底、食べれるものじゃなかった。

思い出して、げんなり。吐き気がしそうだ。

(兄さんの料理が美味しいと感じたなー、あの時は)

じゃ、なくて――。

今の時間は、楽しい昼休みのはず。

美味しいご飯を食べたくて仕方がないのに。

なのに・・・どうして私は食堂に行くことが出来ず、転校生に引きとめられなければならないんだろうか? 困惑に転校生を見下ろした。ねぇ、何がしたいの?

「将を射んと欲すればまず先に馬を射よ、て奴か?」

「そうだとしても、だ。柏木会長は冬歌一筋、射られることはない」

夏目と暦が何か言っているが、小声で聞こえない。

てか、見てるくらいなら助けて。

転校生がしつこすぎて、若干どころか多大に鬱陶しい!

「私、食堂に行ったことがないから一緒に行ってもいい? 食堂の話を聞くと、色んな食べ物があるって言ってたし、凄く楽しみだね。西城さんは何が好きなの? 私はね――――」

あの・・・一緒に行くことを許可してないのに、あなたの中では了承したことになってるんだね。あれか、断るはずがないって言う絶対の自信ですか?

ぺらぺらと自分のことを話す転校生に、拒否を言う隙がない。

ぎゅうぎゅうと私の腕を抱く転校生を冷めた眼で見上げて・・・・・・?

(スレンダーな体型とは思ったけど)

これは・・・私より、胸がない。

たぶん、Aあるかないかのぎりぎりぐらい。

それにしても、貧乳すぎないだろうか?

「あ、早く行かないと席が埋まっちゃうね。行こう、西城さん!」

「ちょっ!?」

腕を引っ張るな!

転びそうになるのを堪え、促されるままに歩き出す。ああもう、強引だなっ。これなら柏木の方がマシだよ!

「おいおいおい・・・これ、柏木に見つかったら大変じゃねーか? 俺達が」

「そうだね。私達が大変な眼にあうな」

「柏木の奴、こう言う時に限ってどうしていないんだよ」

「江藤先生もタイミングが悪い。柏木会長に用事があったことを思い出して、放送するんだからな」

教室で夏目と暦が顔色を青く、そんなことを話していたことを――私は知らない。




転校生に連れられ、食堂へ行く道すがらに悠乃と井上先輩を発見した。

とは言っても、悠乃は隠れるように行動をしていたし、井上先輩は誰かを探すような仕草をしていた。まだ続いていたのか、無謀な追いかけっこ。

いい加減、井上先輩も諦めればいいものを。

足を止め、階段の踊り場にある窓から外を眺めた。

ありさと浅都がベンチで昼食を食べている。――ピンク色のオーラ、どうにかならないだろうか。

会話は聞こえないけれど、何を言っているのか大体わかるのが悲しい。

「柏木くんと西城さんの家がお隣さんで、親同士も仲が良いって本当?」

「うん、そうかもねー」

転校生の質問攻めに、適当に相槌を返す。

何かこう、真面目に返すのが面倒になってくるほどに問いかけが多いんだけど。沈黙していい? 口、閉ざしていいかな? ・・・駄目か。

「柏木くんに苦手なモノってあるのかな?」

「知らない」

「柏木くんは西城さんのこと、愛してるんだっけ?」

「知らない」

「柏木くんって、小さい頃から西城さんのことが好きだったの?」

「知らない」

「柏木くんが西城さんのために努力して、完璧超人になったって話しは本当?」

「知らない」

「柏木くんの何処が好きなの、西城さん?」

勘弁してください。

興味津々と瞳を輝かせ、次から次へと質問攻めをする転校生に溜息しかでない。ああ、切実に誰か助けて。

転校生がしつこくて、逃げることすらできない。

がっしりと掴まれた腕を見下ろし、また息をついた。どれだけ力を込めているのか、転校生の身体を引き離そうとしているのにぴくりともしない。これ、本当に女の力? と疑問に抱くほどの力強さ。

実は格闘技系の部活に入ってました! とか言われたら納得できるけど、この転校生がそんなのに入っているとは思えないし、思いたくない。

・・・馬鹿力、で片付けよう。

「あのね、西城さん。私、どうしても聞きたいことがあるの」

あ、腕が離れた。

解放感、最高ですね。

自由になった腕を見やり、転校生に眼を向ければ何やら不穏な色を双眸に宿している。・・・嫌な予感しかしない。無意識に、後ろに下がってしまった。

おっと、危ない。

これ以上は階段を踏み外して落ちてしまう。

気をつけないと。

「西城さんって――――」

とか思ってたら、身体が斜めに傾いた。

隣に立っていた転校生が瞠目する姿が、スローモーションで見える。どうやら私は、階段から落ちているようだ。

いや、正確には誰かに身体を押されたらしい。――あ、なら落ちるのは当然か。

至極まっとう。仕方のないことだと、嫌に冷静な思考が納得をしめす。それが何だかおかしくて、現状を忘れて笑いかけた。

「西城さん?!」

まぁ、慌てるよね。

間の悪いことに私達がいたのは階段で、廊下じゃないことが残念だ。廊下だったら怪我の心配もないんだけど、階段は下手したら死ぬし、よくて骨折とかして大怪我。教師が「階段で遊ぶなよ!」と、注意するのも納得な場所。

反射的に右腕を伸ばし、手すりを掴もうとするけど残念。かすめるだけで無意味だった。

落ちる。

落ちる。

身体が重力に従って落ちて行く。

(まずいな、コレ)

嫌な予感って、このことだったのか。

内心で舌打ちをして、受け身をとろうと体勢を変えたら――転校生が右腕を伸ばしている姿が視界に飛び込んだ。

「――――っ!」

何かを叫んでいるようだけど、よく、聞こえない。

転校生の指先が私の右手に触れて、掴むことなく遠ざかった。ああ、そんな絶望したような顔をしないでよ。まるで私が死ぬようじゃないか。縁起が悪いなー、もう。

「――、―――――!!」

「――――――!」

「――――、――っ!」

何かを喚く声が聞こえる。

いや、もしかしたら悲鳴かもしれない。

この危機的状況下か、私の耳は上手く働かなくて声が届かない。スローモーションのように映る光景は、青白い顔で叫ぶ女子生徒や驚愕した男子生徒、焦る教員の姿を映し出す。

デジャブを感じたのは、間違いないだろう。

(中学時代を思い出すなー)

呑気に中学で体験したイジメを思い出すなんて、走馬灯みたいで嫌だな。失笑して、けれど3度の転落を体験したんだから、そりゃ思いだすかと納得してみたり。

危機的状況なのに、我ながら呑気だな。

(受け身をとっても、痛いモノは痛いんだよな・・・)

眼を閉じて、来る衝撃に備えようとした。

「冬歌っ!」

聞き慣れた、私を安心させる声に瞳を開けた。

瞬間、何かが私の身体を抱きとめた。背中に軽い衝撃を感じ、瞬いた。

どうして・・・。私はゆっくりと視線を動かし、声の主を確かめた。この身体を抱く人間が誰かなんて、解っているはずなのに。双眸に映ったのは、間違いなく柏木だ。

お腹に回された右手に触れれば、絡めるように指を組まれた。

柏木が安堵の息をついて、私の頭に頬ずりする。ぎゅっと、私を抱く腕に力がこもった。

「か・・・しわぎ」

何で、と音もなく呟く。

「怪我はないか・・・、冬歌」

何で・・・、私は柏木の声に安心を覚えた。

どうして、僅かに抱いていた不安が消えた。

他の声は聞こえなかったのに、柏木の声だけ耳に届いたのだろう?

もしかして私は、柏木が好きなんじゃ・・・――――。

ふいに浮かんだ感情に慌てて意識をそらした。ああ・・・違う、違うよ。これ以上は考えたらいけない。駄目だよ、私。何も考えないで。何も思わないで。

ぎゅっと眼を閉じた。

(柏木に抱くのは家族愛。異性愛なんかじゃない。だから忘れてしまえっ)

抱いた疑問に蓋をして、浮かんだ感情から眼をそらして、知らぬ存ぜぬの眼隠し状態。そうすればきっと、前となんら変わらない私に戻るはず。

「冬歌・・・?」

「へーき」

そう思うのに、好きと言う感情は消えてくれない。

(忘れるな。私は柏木祀と縁を切りたいと願う人間。好き、なんてありえない。ありえてはいけない。だから好意なんて抱かない。それに柏木に恋なんてしないって、私自身が言ったんだから。・・・お願い、忘却の海に沈んで消えてよ)

暗示のように言い聞かせてみたけど、消えないことに泣きたくなった。

好きじゃない。

柏木のことなんて、好きじゃない。

恋慕も恋情も、抱くはずがない・・・。

息を吐き出して、眼を開ける。胸中に渦巻く感情を悟らせたくなくて、顔を伏せた。

柏木が顔を覗き込もうとしたから、不自然にならないように逃げた。今・・・柏木を見たら駄目な気がする。築いたモノが瓦解するようで、怖くて仕方がない。

・・・そう思うのに、柏木は優しくない。

「本当に大丈夫か?」

ぐいっと私の顎を掴む、無理矢理視線を合わせた。・・・泣きたい。

「・・・平気だよ。私より柏木だよ。腕、捻らなかった?」

目線だけをそらして、私は返答する。

煩いほどに鳴る心臓に、やっぱりそうなのかと愕然とした。でも認めるのは癪だし、素直になるのも嫌だし、縁を切りたいのは事実だから、知らない振りをして柏木と対応する。・・・ほら、大丈夫。

私はいつものように、柏木と会話が出来てる。

よし、この調子で感情をゴミ箱に捨てて縁を切ることに集中しよう! 脳内で「馬鹿」と呆れた声が聞こえたけど、気にしないことにした。

馬鹿で結構。

私は第一目標を優先にします。

――――と言うよりも、それ以外を考えたら誰かの掌に踊らされる気がしたから絶対に嫌。

「左の手首、赤く腫れてるよ。保健室に行かないと」

「これぐらい何でも」

「なくないですよ、柏木くん」

「こ、香坂先輩・・・・・・?」

般若を背負った香坂先輩が、眼の前にいて吃驚した。

ごごご・・・なんて効果音が聞こえそうなほどに、怖い顔をしている香坂先輩を初めてみたよ。遠巻きで見ていた人間も、香坂先輩が浮かべる笑顔の威圧感に恐れをなしてから姿を消していく。なんて薄情な!

教師すら、「あ、次の授業の準備が」って言って消えやがった。

あの柏木すら今の香坂先輩が怖いのか、私を抱く腕に力を入れた。心なし、身体が震えている気がするんですけど・・・。怒った香坂先輩、苦手なんだね。初めて知ったよ。

「西城さんを助けたことは正直、よくやったと褒めてあげたいところですが怪我をした上に放置しようとしているのは頂けませんね。何のための保健室だと思ってるんですか。何のための保険医だと? 馬鹿にしてますか、柏木くん」

「いや・・・別に、馬鹿には」

「なら素直にさっさと保健室に行きなさい。それとも僕が直々に君を連行してあげましょうか?」

有無を言わせぬ、とはこのことだろうか?

常にはない迫力に、柏木がたじろいていた。

本当・・・珍しい。思わず、呆けてしまう。

「え? 西城先輩どうしたんですか。柏木この野郎に抱きしめられたままなんて、珍しいですね」

階段を下りてきた幾月が、不機嫌をあらわにそう言う。

靴音を鳴らして近づいたと思ったら、柏木が怪我をしている左手を躊躇なく掴んだ。たぶん、力いっぱい。後ろから苦悶の声が聞こえたから、間違いはないと思う。

酷いこと平然とするんだね、幾月。

唖然と見ていたら、幾月が柏木の腕から私を放した。おっと、そんな勢いよく腕を引っ張ったら・・・・・・幾月の胸に飛び込む形になったじゃないか。計画的犯行ですか?

そして柏木よ。

私の左肩を掴んで無理矢理、元の位置に戻さないで。転びそうで怖いから。

柏木の腕の中に戻った私の上空で、柏木と幾月の火花が散った。わぁお、今すぐに解放して。私を挟んで不穏な空気を蒔くな。迷惑だ。

「怪我、してるなら素直に保健室に行ってこいよ。運がいいことにすぐ傍に保健委員がいるんだから、西城先輩がいなくても行けるだろ? それとも何か? 生徒会長さんは女性の付き添いがないと保健室に行けない、下心満載の人間でしたか。それは驚きですね。新聞部にこの情報を流したら、今日の夕刊に特ダネとして載せてくれませんかね?」

「よくもまぁ、ぺらぺらとくだらないことを喋る口だ。いっそ、縫い付けてやろうか」

「真実だからってそんな、怒らないでくださいよ」

「事実を捻じ曲げて虚言を語るとは、随分と面白い頭をしているな」

香坂先輩と幾月以外に周りに誰もいないからって、柏木は刺々しい空気のまま口を動かしていく。はっきり言おう。――二人が喋るたびに、場の温度が下がって寒い。

・・・あれ?

そう言えば、転校生は?

「どうかしましたか、西城さん?」

「え、あの・・・・・・・・・藍染・・・いえ、転校生を見ませんでしたか?」

踊り場にいたはずなのに、気づいたらいない。

何でだろう? 首を傾げる私に、香坂先輩が「そう言えば」と人差し指をぴんと伸ばした。どうして伸ばした。なんて、ツッコミませんからね。

「ぶつぶつと仄暗い眼で何かを呟いている、髪の長い美少女はいました」

あ、それだ。

「姿だけは遠巻きに見たことがあるから、彼女が転校生だと言うことは知っていましたが・・・いかんせん、声をかける勇気はなかった」

何故に、勇気が必要なんですか?

「不思議そうですね、西城さん。でもね、想像してください。美少女が鬼の形相で『犯人、許すまじ』とか『血祭りの刑だ』やら『地獄をみせてやろうか』なんて言ってたら・・・関わりたくないと思うのが当然でしょう?」

彼方を見る香坂先輩に、同意しかできなかった。

「まぁ、そんな訳で転校生はどこかに消えました。――――さて、柏木くん」

「何ですか、香坂先輩」

おっと、いつの間にか口喧嘩は柏木が勝利していた。

敗者の幾月がドップラー現象で、泣きながら階段を下りて行っている。・・・もしもし、柏木。幾月に何を言ったの?

今まで何度となく言い争いをしてきたけど、幾月が泣くなんてことはなかった。ことごとく敗北したけど、泣いた幾月なんて初めてで思わず凝視してしまった。しかし・・・「柏木の馬鹿野郎、死ね、阿呆」なんて言葉、幼稚すぎじゃないかな?

「――――西城さん、どうします」

「へ?!」

「・・・僕は柏木くんを保健室に連れて行くけど、一人で教室に戻れるかな? それとも一緒に来きます? って聞いたんだけど」

すいません。

まったく、これっぽっちも耳に入ってなかった。申し訳ない。

苦笑する香坂先輩に頭を下げ、ちらりと柏木を見た。眼が、「一緒に来いよ」って訴えている。いや、寧ろ命令しているよ。泳ぐように視線が柏木からそれた。

あーでも、うーん。

さっきの今で、流石の私も一人で行動するのは・・・・・・・・・怖いんだよね。

「えっと・・・、一緒に行きます。お昼ご飯、まだ食べてないんで」

怖いから行くなんて、意地でも言わないけどね!

「そっか。西城さんが怖いなら一緒に行きましょう。僕がお昼ご飯、奢ってあげますね」

「いえ、別に怖くないですから」

「怖かったですねねー、西城さん。もう大丈夫ですからね」

「だから違うって」

笑顔で、子供をあやすように頭を撫でないでっ。

居た堪れない上に恥ずかしい。何でばれた! とか思う以前に、子供扱いはやめて欲しいと叫びたい。

「西城さんが危機の時は、必ず柏木くんが助けてくれますから」

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

いえ、そんなヒーローみたいなのは求めてないので。

別に柏木に助けて欲しいと思ってないから、それは柏木に恋する乙女に譲ります。ええ、熨斗つけて渡してやりましょう。

「だから、大丈夫ですよ」

穏やかに笑う香坂先輩に、溜息しかでなかった。


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