胃薬と友達、ごめんです
お気に入り、ありがとうございます。
誤字脱字を見つけ次第、直します。
恥ずかしくて死ねる――――。
柏木が私を「本気で落とす」と宣言してから、3日経って今までの行為が優しいモノだったのだと嫌でも自覚させられた。
・・・いや、私的には前までの過剰なスキンシップも相当だったけれど。それ以上に、この3日で味わった柏木の行動が精神的にダメージを喰らう。
人前で堂々と告白から始まり、愛の囁きを日常的に行い、登下校は肩を抱き、あるいは恋人繋ぎで、食事の時は「あーん」をしようとしてくる。それだけでも、私には疲労だと言うのに、ちょっと気を抜くと場所を問わずキスをしようとするんだから――羞恥で死ねる。
ついでに胃が痛い。
鞄に常備されてしまった胃薬の存在を思い出して、泣きたくなった。
(ああ、でも・・・。より一層、酷くなった視線の方がキツイかな? いや、どっちもどっちだ)
げんなりとした気持ちを抱きつつ、上機嫌で私の肩を抱く柏木を見上げる。
「どうした、冬歌?」
「どうしたって・・・」
気づいてて言っているんだから、性質が悪い。
息をついて、こっそりと周囲を見た。
通い慣れた通学路は住宅街だから当然、人気がある。
小母さん達の視線はまだいい。微笑ましいそうな、生温かい目線はちょっとあれだけど、何とか我慢できる。けど、女子生徒の視線は無理。痛い。刺さる。抉られる。
鷲ヶ丘高校関係なく、女子の視線が私を今日も突き刺す。
(私を睨んでもどうしようもないって、気づいてよ。むしろ、時間関係なく、べったりされるこっちの身にもなって欲しいものだね)
もっとも、柏木に恋する彼女達にとって、私の状況は羨ましいモノなんだろうけど。
変われるモノなら、是非とも変わって欲しい。ええ、熨斗つけて変わってあげよう。何なら笑顔で祝福してもいい。・・・無理だってわかってるだけに、空しくなった。
諦観に息をつく。
「視線が痛いから、肩に回した手を放して」
「却下。てか、いい加減に慣れろよ。3日間、ずーとこうしてるのにまだ恥ずかしいのか? ああ、ただ照れてるだけか」
「嬉しそうな顔するな、馬鹿っ」
「冬歌が俺をちゃんと意識してるって思うと、嬉しくてな・・・」
「意識なんてしてない!」
「真っ赤になって、本当、可愛い」
「っ?!」
だから人前で、恋人でもない人間に、ほっぺちゅーするな!
慌てて柏木から放れようとするも、肩を抱く手がそれをさせてくれない。逆に、柏木の胸に飛び込んでしまった。
「な、何するの馬鹿!」
「ん? 唇の方がよかったか?」
「ちがっ」
柏木の親指が私の唇をなぞる。
それだけで、身体が震えた。顔が燃えるほどに熱くて、心臓が煩く鳴る。眼の前の柏木が穏やかに笑った。名残惜しげに唇から指を離し、肩を抱く手も放す。
解放されたことに安堵の息をついたのは、私ではなく周りの女子だった。
私はと言うと、さっきの出来事に半分ほど放心しています。
心臓に悪いから、止めて欲しい。切実に、本当、勘弁して。
両手で顔を覆い、今すぐこの場から消え去りたくなった。
(私を羞恥で殺す気かっ)
もうやだ、この幼馴染。
他人になるのは嫌だな、なんて思わずに強引にでも縁を切ってればよかった。ああでも、そうしたら柏木が強硬手段を使いそうで怖い。何をされるのか解らないから、余計に。
だけど怖がっていたら、縁を切れずに終わってしまう。それは駄目、絶対。
ああでも、脳内で誰かが「諦めろ」と言う。――無駄な努力だと、せせら笑っている。
解っていても、諦められないんだよ。心中で呟いて、息をついた。
「ほら、冬歌。学校に遅刻するぞ」
項垂れた私の右手を、柏木が掴む。
ああ、うん。恋人繋ぎですか。ですよねー。普通の繋ぎ方なんて、するはずないよね。あははは・・・周りの声が喧しい。
「おはようございます、柏木君。西城さん。とうとう付き合ったんですか? おめでとうございます」
「香坂先輩、おはようございます。残念ながら、まだ付き合ってませんよ」
「まだ、と言うことは付き合うのは確定事項ですか。流石は柏木君」
曲がり角から姿を現した香坂先輩は、微笑ましげに私と柏木を・・・いや、繋がれた手を見て何度も頷いている。
「嘘を言うな、嘘を」
「俺は冬歌と結婚するから、付き合うのは当然だろ?」
「しないから!」
何故、結婚の単語が出たのよ!
ああもう、周りがざわついてるじゃないか! どうしてくれる。これ、確実に面倒なことになる展開でしょうっ。
「成程、照れ隠しですか」
「ええ、可愛いでしょ?」
「違うよ!」
人の話を聞いて、お願いだからっ。
「告白する前は赤面することがなかったですよね。それを思うと、この反応は可愛くて仕方がないんでしょうね・・・。でも、やりすぎると拗ねられますよ?」
「可愛い冬歌が悪いんです。拗ねても冬歌は可愛いんで、俺的には問題ないです」
「そうですか。柏木君がそう言うなら、僕は何も言いませんよ。まぁ、惚れた女を泣かせる、なんて男として失格なことだけしないでくださいね?」
「しませんよ。泣かせるとしても、嬉し泣きをさせますから」
駄目だ、この二人の会話に入れない。
熱くなった眼頭を押さえて、途方にくれた。
どうしよう。これは確実に、周囲から「柏木の女」と言うレッテルが張られた気がする。違うのに、主に香坂先輩のせいでそうなっているような・・・。
ちらりと、周りを見た。
「あれ? 生徒会長の恋人って副会長じゃ・・・?」
「ああ、あれは副会長がついた嘘だって。何でも副会長、根掘り葉掘り恋愛面を聞かれて鬱陶しくなってつい、嘘をついたんだって」
「幼馴染同士で恋・・・か。柏木先輩もやりますね」
「しかも結婚の約束までしたんだろ? さっすが、柏木先輩。俺もあんな風に彼女に言えたらなー」
「俺、あの二人はとっくに付き合ってるんだと思ってたわ」
「俺も。柏木と付き合ってるから、西城に告白する勇者はいないし、惚れる猛者もいないんだよなー。柏木相手に勝てるとは思わなーし。何より、西城が関わると柏木が怖い」
「ああ、『俺のモノに手をだすな』って全面に押し出してるからな。アレを見て、柏木も人間なんだって俺、安心したわ」
うわ・・・。
男子生徒が信じちゃった。どーしよ。
声を大にして違うと叫んでも、何か「照れ隠し」とか「恥ずかしいんだなー」ってことで流されそうな予感。
と言うよりも、同級生よ。
柏木の素を見たことがあるのか? そして何故、安心した。その言葉の後に「ますます柏木を尊敬した」って、どう言うことさ。まったくもって理解できないんだけど。
「――どうなんですかね、西城さん?」
香坂先輩に声をかけられたが、すいません。
会話をまったく聞いてなかったので、「どうなんですかね」の意味が解りません。
「・・・え、っと?」
「ですから、佐伯さんは無事ですか? その・・・あー」
悠乃がどうかしたんだろうか? 首を傾げる私に、香坂先輩は言い辛そうに口ごもった。
気まずそうに視線が彼方を彷徨い、けっして私を見ない。いつもなら、人の眼を見て話す先輩にしてはとても珍しい行動だ。
それだけ、言い辛いことなんだろうか・・・?
(最近の悠乃、って言ったら)
顔色を青くし、何かを恐れるように周囲を警戒している。・・・何か、ではなく井上先輩を――なのだけれど。
もしかしなくても、香坂先輩が聞きたいのはコレだろうか?
「悠乃なら・・・『井上先輩から逃げるためにも、ステルス機能をゲットしてやる!』とか、訳の解らないことを言って隠密行動を始めましたけど?」
恋人繋ぎを解こうと試みたけど、無駄だった。
くそ、そんなに力加わってないはずなのに・・・っ。にやにやと楽しげな柏木が腹立たしい。睨みつけたけど、頭を撫でられた。
何かむかつくー!
「ああ、それは・・・井上さん相手には無駄なことですので、止めた方がいいっと伝えてくれますか?」
「別にいいですけど・・・・・・、柏木近い!」
「近くない、近くない」
「無駄に顔を近づけないでっ。ああもう、抱きしめるな!」
まったくもって、行動の意味が解らないんですけどもっ。
私の頭に擦り寄るように、頬を寄せた柏木は本当に嬉しそうに笑う。周りから「花が見える」の言葉通り、柏木の背後に花が舞っていた。・・・そう見えるほど、今の柏木は上機嫌だ。
何でかは、わからないけど。
空いた手で柏木の身体を押しながら、私は井上先輩と遭遇し、逃げ去った悠乃を思い出した。
結局、追いかけないで図書室に行ったけど・・・。悠乃はあの後、鞄を置いて自宅に逃げ帰ったらしいので、ある意味追わなくてよかった。ちなみに鞄は、比較的近所に住んでいる霧生が届けたらしい。
と言うより、メールで「届けろ!」と命令されたようだ。
・・・あの二人、付き合わないんだろうか?
「霧生君と佐伯さんは恋仲にはなりませんね、絶対に」
「え゛?」
「顔を触っても、何もありませんよ」
朗笑する香坂先輩に、思わず足を止めて唖然とした。え、顔に出てたんじゃないの?
「声に出してたこと、気づいてなかったんですか?」
「え?」
「昶と佐伯が付き合わないんだろうか? って、言っただろ」
「言った・・・けど。え、声に出してた?」
驚いて、柏木に抱きついてしまった。
何と言うことだ! 驚愕したからって、抱きつくなんて・・・っ。慌てて身体を放せば、名残惜しげに柏木が私を見ている。素知らぬ顔で視線を空へ向けた。
「それで、あの・・・二人が付き合わないって何で?」
「霧生君に彼女がいるので」
「へ?! 嘘っ!」
「本当。何だ、知らなかったのか?」
「知らないよ! うわ・・・霧生に彼女がいたんだ」
もしかして、知らなかったのって私だけ?
「いや、知ってるのは俺と依久、佐伯と先輩ぐらいだ。まぁ、何となく察した奴もいるだろうけど」
「また、口にしてた?」
「顔に書いてた」
・・・・・・そうですか。
止めていた足を動かして、学校へ向かう。
相変わらず視線は多いけど、女子の嫉妬の目線がなくなった分かなり楽だ。何気なく周囲を見た。女子生徒が暗雲を背負い、青ざめた顔で何かを呟いている。
正直言って、かなり不気味だ。
しかもそれが一人ではなく、大勢だから殊更に。
女子生徒を避けるように、クレーターが出来ている。訳を知らない人間すら、恐ろしいモノを見る眼で彼女たちを見ていた。そして距離をとっている。
「そう言えば、柏木君。転校生って今日、来るんでしたっけ?」
「ええ、そうです。名前は知りませんが、女子生徒らしいですよ」
「女子生徒ですか・・・。それはまた、柏木君に惚れる可能性が高い人間が来ましたね」
私を見て言わないでくれませんか、香坂先輩。
「生憎、俺は冬歌以外に惚れることはないし、冬歌以外に好かれても嬉しくないのでどうでもいいです」
「さらりと言いますね」
「事実なので」
平然とした顔で、何を言うんだこの男。
「でも嫉妬して欲しいから――適度に愛想は振りまくけど」
赤くなった顔を隠すように俯けば、耳元で柏木が囁いた。
告げられた内容の意味が一瞬、解らなかったけど・・・馬鹿か、こいつ。嫉妬? 私が? 柏木に? はっ――ありえない。
「・・・予想してたけど、その表情は可愛くない」
「そうですね、鼻で笑ってますし」
「もう少し動揺すると思ったのに・・・まだまだ、ってとこか」
「でも、諦めないんでしょう?」
「当たり前ですよ。これぐらいでへこたれるなら、当の昔にこの恋を諦めてますからね」
しょげた顔をしたと思えば、すぐに不敵に笑う。
あのまま心をへし折られてしまえばよかったのに。心の中で舌打ちをして、二人の会話を聞き流す。
ぼんやりと空を見上げた。
あ、鴉が飛んでる。何気なく眼で追いかけていたら、肩を叩かれた。振り返れば、珍しい格好をした暦がいる。
「おはよう、冬歌」
「・・・おはとう、暦。今日は珍しく、女子の制服なんだね」
男装をしていないなんて、明日は雨だろうか?
「ああ、母のうっかりで制服がゴマドレだらけになってな。それで仕方なく、予備で買った制服を着ているんだ」
「女子の制服が予備なんだ」
「母がうっかり間違えて、男子の制服を買ってしまったからな。その後、父が女子の制服を買ってくれたんだが、『男装の方が格好いいわ!』と言う母の言葉により、一年の時からあちらを着ていた。校長も似合っているからと承諾してくれたし。――知ってるだろう?」
男装の件は入学式に知り合って、聞いたから覚えている。が、校長は初耳だ。
しかし、相変わらず暦の母親はうっかりが多いんだな。ゆるふわ系でドジっ子な暦の母親を思い出し、苦笑した。
制服にかけてしまったゴマドレの量もおそらく、少しではなく中身全てだろう。
「ふむ。スカートなんて久しぶりに履いたから、違和感しかない。と言うよりも、足元がスースーして心もとないんだが・・・柏木会長、予備の制服はないのだろうか? 女子の服はやはり、私には似合わない」
「あー・・・まぁ、男装を見慣れてるから奇妙、と言えば妙だけど、別に似合わなくもないよ?」
そもそも麗人とは、容姿の美しい女性のことを意味しているんだし。
「ありがとう、冬歌。だが、私が落ち着かないのでやはり着替えたい」
「必至だね、暦」
「予備の制服がないなら、私は今日一日をジャージで過ごす」
「そこまでか」
女子の制服がそこまで嫌なのか。唖然と暦を見れば、柏木に詰め寄って予備の制服の有無を聞いている。
うーん・・・。珍しく女子の制服を着た暦は、文句なしの美少女だ。流石は麗人。柏木の隣にいても遜色ない。むしろお似合いだ。私とは月とすっぽんだなー。やっぱり、柏木の隣にいるのは暦みたいな美、がつく女性だよ。
間違っても、平凡な人間ではな・・・。
「・・・いひゃい」
「俺が隣にいて欲しいのは、誰でもない冬歌だけよ。間違っても、冬歌以外に傍にいて欲しいなんてことはないから。そこの所、冬歌はよぉぉぉぉぉぉぉぉく、解ってないみたいだな」
私の右頬をひっぱりながら柏木がにっこりと、凄みのある笑顔を向けた。
喉から引きつった声が出た。――気分は蛇に睨まれた蛙。
身体が竦み、逃げるように視線を逸らした。・・・さらにほっぺを引っ張られた。痛い。
「いっそ、身体に教え込んでやろうか?」
「しゅみましぇんへした!」
ちゃんとした言葉になっていないが、構うものか。身の危険を感じた今、そんなことは些細でしかない。
柏木が不満気に私を見て、息をついた。
「即答なのがむかつく」
あの・・・ほっぺから手、放してくれない? 地味に痛いんだよ。
「冬歌だからな。諦めろ、柏木会長。デレまでの道のりは遠そうだが」
「デレって・・・東雲から聞くと違和感しかないんだけど?」
「ああ、私も自分で言って微妙な気分を味わっている。やはり、悠乃じゃないとこの手の言葉は似合わないな」
しみじみと頷く暦は、さっきとは変わってのんびりとしている。
制服の件は決着がついたのだろうか? もっとも――上機嫌な暦を見れば、予備を貸してもらえることになったんであろうことは、容易に想像できるけど。
私は頬を掴む柏木の手を叩いた。
「次、変なことを考えたらお仕置きな」
「え・・・? あ、は・・・・・・・・・・・・え゛?」
変な単語が聞こえたんだけど、気のせいだよね・・・?
「俺のことを考えるのはいいけど、俺の気持ちを疑ってくれるなよ」
「え、あ、うん。それはともかくさっきの言葉!」
「ともかくって・・・。まぁ、いいや。言葉が何? どうかしたのか」
「あ、やっぱり冗談だよね。そうだよねー。よかった、よかった。まったくもう、驚いちゃったじゃない」
あーもう、変に身構えて損した。
安心したら、何だか肩から力が抜けて笑えてきた。心が寛容になった錯覚を抱いて、柏木の手を握って暦に話しかける。
「今日、転校生が来るらしいよ。知ってた?」
「いや、初耳だ。しかし・・・そうか、噂の転校生は今日、来るのか」
「噂?」
「職員室で偶々、転校生と遭遇した生徒曰く、人形のように美しい少女だったそうだ」
「へぇ、それはまた・・・。副会長とどっちが美人かな?」
「さて。下世話ならば、胸の大きさは副会長だと私は思うがな」
「容姿は転校生が上って?」
「人の醜悪に興味はないので、なんとも言えない」
西城と東雲が談笑する傍で、男二人もまた会話をしていた――。
香坂は柏木に近づき、微笑ましい視線を向けた。
「嬉しそうですね、柏木君。顔が緩んでますよ」
「だって冬歌が・・・自分から手、握ってくれた」
「照れてますね。珍しい」
ほのかに赤くなった頬を確認し、香坂は瞠目した。
気心知れた人間の前ですら、滅多に感情を見せない柏木が。猫を被って偽りを演じるあの柏木が。――――たかだが、手を握られたぐらいで照れている。
天変地異の前触れかと思うほどに、貴重な場面だった。・・・言いすぎだが。
「本当、西城さんにベタ惚れですね」
「惚れてなきゃ、『縁を切りたい』って言われた時に拒否ってませんよ。・・・今、それを言われたら確実に俺、冬歌を押し倒して既成事実を作りそうだ」
「駄目ですからね、それ。強姦罪になりますよ」
「やるなら婚姻届にサインさせてから、やりますから。あーでも、それまで我慢できるかな」
「無理強いは止めた方がいいですよ、本当に」
したら確実に、西城は逃げるだろう。
たとえ逃げた西城を手に入れても、得られるのは身体だけで心は無理だ。それを柏木も解っているからか、「冗談ですよ」と即座に告げたのだが。
それでも――心は渇望する。
一刻も早く、西城冬歌の全てを手に入れたいと。
それが煩すぎて、本能的に動いてしまいそうになる。理性で抑えるのも、骨が折れる程に想いは日増しに強くなっていく。
「・・・まぁ、頑張ってください。西城さんが無意識に隠した本音を引き出せるのは、柏木君だけでしょうし」
「何かいいましたか?」
「いいえ。ただ――――転校生が良い感じに嵐を起こしてくれそうだな、と」
ただの勘だが、そんな予感がして香坂は笑った。




