プロローグ
とある一柱の神が地球をモデルにし、自らの思うままに創り上げた世界。それがアスである。
最初、彼の神はアスで生まれた生物の進化を静かに観察していただけだったが、人類の祖先が自ら火をおこし、道具を使用するようになると人類以外の生物の進化に手を加えるようになった。
これはアスで誕生した生物がこのまま進化し世代を重なれば、地球で起きた進化と全く同じ過程を通ることが判明したからである。
彼の神はモデルとして採用しただけで、別に地球と同じ世界を再現したかった訳ではない。故に彼の神は人類以外の生物の進化に手を加えた。
その結果として、進化に手を加えられた動植物は地球に存在するものよりも大型、もしくは小型になり、強靭な生命力を有し、毒を持つ以外にも炎や冷気、雷などの自然現象を操るものまで現れた。そのため人類は完全に捕食される側として絶滅の一歩手前まで追い詰められることになる。
人類種の滅亡寸前。ここに至って彼の神は人類に手を差し伸べる。
ただそれは、人類の進化に手を加えるというものではなく、個々人一人一人に特殊な能力を与えるというものであった。
人類に与えられた特殊な能力。それは個人によって能力を発動させるための規則が存在し、その規則を破ればなんらかの罰則を受けるようなものである。それも受ける罰則は場合によっては使用者の命を奪うという過酷なものだ。
何故、彼の神が絶滅一歩手前の人類を救うような特殊能力を与えたのか?何故、特殊能力を使用する際に規則と罰則を設けたのか?その理由は不明である。もしかしたら理由などはなく、全ては彼の神のたんなる気まぐれにすぎないのかもしれない。
けれど、それが神の気まぐれだったにせよ、特殊な能力という動植物に対抗するための手段を得た人類は少しづつ人口を増やし、知識を蓄え、街を、国を造り上げるまでに至った。
人類は住む街を厚く高い壁で囲い、知識を蓄えることで政治、農業、工業、漁業などを発展させ、水と反応して高熱を発生させる熱焼石を用いた蒸気機関の発明し、蒸気列車、蒸気自動車、蒸気船、飛空艇という移動手段を得た。そして、そんな人類に対抗するように動植物も進化成長をしてゆく。
文明を発展させる人類と、時の流れとともに進化成長する動植物。互いに生存競争をしていくのを見届けた彼の神は、やがて自らが創造した世界であるアスから去って行った。
その理由はやはり誰にも分からない。
アス、それは彼の神の手によって地球をモデルにして創り上げられた世界。
アス、そこには彼の神の手によって進化に手を加えられた動植物と、規則と罰則が設定された特殊な能力を与えられた人類の住まう世界。
アス、そこは神が去ってしまった世界。
神が消えても時は流れても、何事もなく世界は廻り、新たな物語は紡がれ続けてゆく・・・
メインは極理なのでこちらは亀進行になるかと思います。
読んでくださりありがとうございました。
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