第1話 オレにブラコンの妹がいる!
連続投稿です。
サブタイトルを、『オレの妹がこんなにブラコンな訳がない』としたかったのだが、やはり止めた。
それもそうだろう、タイトルが長くて訳が分からないし、早速別の作品っぽくなってるじゃんというツッコミが出てくるだろうと思い、今回のタイトルとしました。
長文、失礼しました。
幽霊の依頼を達成したオレは、帰宅し、我が家へと辿り着いた。
我が家は、二階建ての家で、一階のフロアにはリビングやキッチン等の日常を過ごすのに大切な部屋があり、オレは常にそこでゴロゴロしている。
二階のフロアには、オレの部屋がある。それと、オレには一人妹がいるので、その妹の部屋もあるのだ。
母親は専業主婦、父親は普通のサラリーマンで、普通の一般家庭として、楽しく暮らしているのだ。
ちなみに、父親と妹には霊感がある。幽霊とは話せないが、それを良かったと安堵しているのだ。何故だろう?普通に面白い体験じゃないか?拒む必要なんて無いのにな。
「フッ」
今日の仕事を思い出して、ニヤつくオレ。雑用の仕事も楽しかったが、悪霊退治の仕事はそれ以上に楽しいのだ。
ただ、命に関わるかもしれないが、他の人間にも危害があるし、放っておけないし、オレしか出来ないからな。
疲れなんか感じないが、身体を休める事にしたオレはリビングにあるソファーに座り、ずっとニヤついた顔で天井を見上げる。戦いの後はいつもこうなのだ。
「あ、お兄ちゃん、ただいま~。って、何だか楽しそうだね~」
おっと、我が妹のご帰宅だ。オレの妹の神谷唯だ。
唯は中学三年生で、成績は優秀、運動神経もバツグン。ツインテールの髪型で可愛さを猛アピールしている。それに、顔も整っているので、まさに容姿端麗という言葉が適切だろう。
低身長で、身長が140センチ前半くらいで、胸はまぁまぁある妹。
ただ、この妹、かなり変なのだ・・・
「抱っこして」
極度なブラコン、極度な甘えん坊なのだ。オレだけに対してだ。他の人物には目もくれず、いつもオレだけを愛しているという面白いヤツだ。
唯は両手を広げ、オレに近づいてきて、オレの真正面に立っている。
「・・・いつまでも甘えん坊はマズいだろ・・・いい加減、卒業しろ。彼氏でも作って、ソイツにでも頼めよ」
「え、えーっ!?イヤだっ!お兄ちゃんがいいのぉっ!ダメぇ?」
そして、極度なワガママなヤツ・・・はぁ、キャラが面白すぎてどう反応したらいいのか分からんぞ・・・
ただ、唯には苦手な事がある。それは・・・
「実はな?今日は、幽霊がな?」
「い、イヤーっ!聞きたくなーい!ふぇぇんっ!」
霊感があるのにも関わらず、幽霊が苦手なのだ。女の子だからなのか、やはり怖いものは怖いらしい。恐怖に負けた唯の目には涙が浮かんでいたのだ。
「お兄ちゃーん!怖いよー!もう話さないでー!」
唯は両耳を抑え、オレのもとへ駆け寄り、オレに寄り添う。いつものパターンなら自分の部屋に行って閉じこもるのだがな・・・
「はぁ・・・仕方ねぇな・・」
オレは唯の身体をぎゅっと抱きしめて、唯の頭を優しく撫でる。
「あぅぅ」
唯は猫なで声をあげて、頬に朱を浮かばせ、だらしない笑顔を浮かべ、幸せを感じている。本当に面白いな、こいつ。
「わ、私をイジメた罰として、毎日ずっと抱っこだよ?分かった?」
唯はウルウルとした目を使い、上目遣いでオレに懇願している。コノヤロウ、調子に乗っているな?
「・・・百歩譲って三十秒だけだ。それ以上は抱きつかん」
「むぅ~っ!」
唯はふくれっ面になり、抗議を申し立てている。このままだと抱きつきの時間の延長を申し立てる事も分かり切っている。さらに、風呂に一緒に入ろうと言いかねない。はぁ、仕方ないが、あの方法を使おう。すごく恥ずかしいが・・・
「唯」
「ふぇ?」
オレは唯を呼び、唯はオレの顔をじっと見つめる。オレは、唯のオデコに自分のオデコをくっつかせるように近づかせた。
「?!!!」
「お願いだから、な?」
目線を合わせてお願いするオレ。唯の顔が真っ赤になって、思考回路がショートしたのか頭から湯気が出ていた。古典的な表現だなお前・・・
「ぅ、ぅんっ」
「いい子だ、唯」
オレは満面の笑みを浮かべ、唯を見つめてしまう。オレもなんだかんだで唯の事を好きなのかもしれない。もちろん、家族としてだがな。
「・・・よし、三十秒だ。そろそろ離れろ唯」
「お、お兄ちゃんの頼みだからちょこっとの間だけ離れるだけからねっ!」
唯はまだ顔を真っ赤にしていて、オレから数メートル離れていく。
「ありがとよ、唯。そしてこのまま甘えん坊は卒業してくれると嬉しいな」
「や、ヤダっ!あ、また私をイジメたから、抱っこ~っ!!」
「意味わかんねぇよ」
我が家では、いつもこんな感じで妹と仲良くしているが、唯のブラコン・・・さてはて、いつ卒業してくれるのだろうか?もしかして、ずっとこのままだろうか?想像するだけで面白い・・いや、めんどくさいな。いくらオレでもそこは楽しめない・・・
抵抗してもどうせ勝手に抱っこされる状態になるので、無抵抗で唯を抱きしめてしまった。唯は満面の笑みを浮かべ、オレの膝の上に座り、オレの両腕を自分の身体の前にクロスさせ、オレの両手首を掴み、拘束する。
これが唯にとって一番幸福な事らしい。幸せを感じすぎて、自分の世界へトリップしている。その証拠にヨダレが垂れている。きたねぇ・・・が、面白すぎるのでそっとしておいた。
「ただいま~」
我が家の専業主婦である母親が帰宅した。
買い物袋を数個持っている母親は、まずはリビングへと向かい、オレと唯がいちゃついているのを横目でチラリと見た。
本来の家庭なら、何らかの反応を示す筈なのだが、我が家ではただの日常風景なので、母親は無視した。
しかし・・・ヒマだな。母親は忙しそうだし、父親は仕事で居ないし、何もする事がない・・・いや、あったとしても、オレの自由を奪っている唯を何とかしないといけない。
唯は・・・まだ自分の世界にトリップしていて、頬に朱を浮かばせ、だらしない笑みと共にヨダレがダラダラ垂らしていた。うわっ、腕にヨダレついた!きたねぇ!が、面白すぎる・・自分が不幸なのにこの状況を楽しんでいるのに驚いてしまう。
近くにティッシュがあったので、数枚取り、オレの腕についたヨダレを拭く。ついでに唯の口周りを拭いてやったのだが・・・顔が更にだらしなくなったぞ?元の顔の原型が維持していないぐらいのだらしなさ、そして拘束する力が少しだけ強くなったような気がした。
「フッ。面白いなぁ、唯」
唯が面白キャラなので、手の拘束をどうにか解き、頭を撫でた。なんだかんだで唯に甘いオレなのである。もしかしたら、オレのせいでブラコンになってしまったのだろうか?もし、そうだとしたら・・・笑うしかねぇ。
「ふにゃ~ぁ」
猫化になってしまう唯。だが、オレが甘やかしたせいからなのか、唯は身体を反転させ、正面から抱きつきやがったのだ。そして、両腕をオレの腰に回し、ガッチリと拘束。
唯はオレの胸板に頬ずりして、オレの両足を自分の両足で外側からガッチリと締め付けて、これからどうあろうとも離れない気満々だ。
「・・・なぁ、オレ、トイレ行きたいんだけど・・・」
トイレする気は無いが、とりあえず離れたい。ずっとこのままだと今日一日中抱きついてしまう恐れがあるからな。
「にゃう?」
唯はオレの言葉に耳を疑ったのか、オレの顔を見て、首を傾げる。って、完全に猫化してんじゃねぇか。面白すぎるだろ、お前。
「にゃう?じゃねぇよ。トイレだよ、このままだと、漏らすぞ?」
「ふにゅう?」
・・・こいつ、マジで言葉が通じてねぇ・・・真顔で首を傾げていて、何を言っているのかサッパリのようだ。
「直斗ー、唯ー、ご飯よぉ」
おっと、いつの間にか夕飯が出来たようだが・・・唯の抱きつきがジャマで、立ち上がる事もムリだ。はぁ・・・いつものパターンね。
オレは、完全猫化の唯を抱っこし、そのままの状態でキッチンへと向かった。こうなった唯には、たとえどんな抵抗をしても、絶対に離れないので、もう諦めるしかないのだ。
「「いただきます」」
「にゃうっ!」
オレと母親はちゃんといただきますを言ったのだが、唯は猫化が解けないので、猫語なのだ。それも・・・オレに抱っこされたままで食事しているし・・・母親は全く動じず、普通に飯食っているし・・・
「やっぱ食べづらい・・・」
左腕で唯の身体を支えている為、右手しか使えないオレ。唯は普通に両手を使い、飯を食っているのだが、猫化解けてね?と思いたくなる話なのだ。しかし・・・
「にゃ~?にゃうっ!にゃうっ!」
猫化は解けていない。唯は無邪気な笑みを浮かび、口を開けている。どうやら、食べさせて欲しいと頼んでいるのだが、そっとしておいた。
おかずを箸に差して、そのままオレの口へと運ぶのだが・・・
「にゃむ!」
唯が小さい口を開き食った。どう反応したらいいのだろう?でも、ただ一言言いたい。
「・・・面白っ」




