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第17話 デートの予定を立てよう!

時は流れ、夏。猛暑である。

太陽は燦々と光を注ぎ、熱を与え、我々人類の額や身体に汗を出してくれるというありがた迷惑を受けつつ、オカルト研究部へと向かうオレ。

校舎は熱が籠もり、廊下や教室等がサウナ状態となっているし、涼む場なんて、文化部の部室しかないのだ。何故なら、エアコンがあるからなのだ・・・と胸を張りたいところなのだが、文化部の全ての部室にあるエアコンの調子が悪くて、業者に頼まないと直せないというのだ。故に、故障中なのだ。

しかし、衣替えのおかげで少しは大丈夫になったのだ。半袖の白いシャツにネクタイ、黒いズボンというごく普通の夏服を着用した為、暑さを防止しているのだが、やはり夏は暑い。

ちなみに、女子は男子とほとんど同じ服装で、ただ違うのはスカートを着用しているだけだ。

「おす、レイ」

そんなむさ苦しい部室に足を運ぶオレ。部活に入っているから、当たり前の行動なのだ。

「『直斗ぉ~っ!』」

レイはオレの到着に心待ちしていたのか、オレに真正面から抱きついてきたのだ。無論、寒気がするのだが、今は夏なのでちょうどいいのだ。

「あっ!また抱きついてる!ダメだよ!レイ!」

すでに到着していた篠崎楓は頬を膨らませてレイに説教。篠崎楓の学生鞄にぶら下がっているぬいぐるみは・・・グタっとしていた。

「『あづぃ・・・オイラ、熱いの苦手だ・・・』」

初耳だ。火を操るドラゴンなのに、熱さが苦手とは・・・う~む、面白い弱点なのではないのか?

「ああ、そうみたいだな。しかも、ぬいぐるみに入っているから、熱さは倍増だろうな」

「『・・・!そ、そっか!ぬいぐるみから出ればいいんだ!』」

アホだ。このドラゴン、アホだ。オレが指摘するまで、気づかなかったんだろうか?ぬいぐるみからドラゴンは出て、部室の中に居ては落ち着かないので、部室の外へ出てもらう事にしてもらった。

「『・・・変わらない・・・あづぃ』」

だが、ぬいぐるみから出ようが、熱さには耐えられないらしい。

オレは茶をいつも冷蔵庫に保存していたので、冷蔵庫から茶を取り出し、コップを二人分用意し茶を注ぎ、机の上に置く。

「ありがとう、神谷くん」

「気にするな、篠崎」

オレと篠崎楓はイスに座り、冷たい茶を飲むのだが・・・まだ互いに下の名前で呼び合っていない事に今更気づいてしまう。最近はドタバタの連続続きでそれどころでは無かったからだ。

「・・・」

「・・・」

オレ達は無言。恋人の関係なのに、こういう状況はありえないだろう。何を話すべきなのか、オレはよく分からない。変な事を口走ってしまう可能性があったので、無言になってしまったのだ。

き、気まずい。告白してフラレた訳でもないのに、気まずいという気持ちに駆られてしまう。早くこの気まずい空気を打開してくれ!

「こんにちわ・・うわっ、熱いですね・・・」

オレの願いは天に届き、新妻薫が登場。オレはすかさず茶を注ぎ、新妻薫に与える。よし、これで気まずい空気は打開したぞ。

「よし、活動を始める・・・レイ、あの世で困っている幽霊は居ないのか?」

「『ちょっと待ってて』」

オレは咄嗟に活動を始める事にして、気持ちを切り替える事にした。

「え?今から何をするんですか?神谷くん」

オレ達オカルト研究部の活動を知らない新妻薫は首を傾げて、質問をするのだが、そういえば言っていなかったと今更気づいて、簡単に説明してやった。

「・・・なるほどです。でも、困っている人を助けるなんて、素敵じゃありませんか。やっぱり優しいですね、神谷くん。クスッ」

新妻薫はオレに笑みを見せた。それを見た篠崎楓は頬を少し膨らませて、怒っていた。多分、自分の彼氏がとられるのではないかと思っていただろう。う~む、可愛いヤツめ。あとで頭ぐらい撫でてやろう。

「ところで、伝説の生き物とされるドラゴンが外にいるんですが・・・アレは何ですか?」

新妻薫は外にいるドラゴンを指差し、首を傾げ何者かと尋ねるのだが・・・ああ、そうか。まだドラゴンの姿を見ていなかったな。いつもはぬいぐるみの中にいるのだからな。

「ああ、アイツは篠崎のペットのアグニだ」

「ええーっ?!あの喋るぬいぐるみの正体がアレなんですかー?!」

盛大に驚く新妻薫。それもそうだろう、ぬいぐるみの中にいたモノが体長20メートルはくだらないデカさを誇る巨大なドラゴンだからなのだ。

「・・・どうやってアレをペットにしたんですか・・・」

「・・・オレにもよく分からんが、自らペットになりたいと言ってきたから、ペットにしたんだ」

「・・・頭が痛いです」

「・・・同感だ」

頭痛を訴える新妻薫に同調するオレ。いくら幽霊とはいえ、ドラゴンをペットにするという発想はないだろう。そんな事、誰が想像出来るのだろうか?想像できても、それを実際にやってのけるのは不可能だろう。

「・・・で、レイよ。見つかったか?」

しばらく時間が過ぎたので、レイの様子を確かめるオレ。すると・・

「『う~ん、と・・・あっ!いた!じゃあ、黄泉の世界を開くね』」

どうやら、依頼主が来るようだ。しばらく悪霊退治をしていないから、悪霊退治に期待するが、新妻薫にオレがジャックフロストだという事は伏せているので、雑用の依頼を期待するしかなかったのだ。

すると、その期待に応えるべく、あの世とこの世を繋ぐ通路が開き、一体の幽霊が現れた。

「『・・・依頼を頼みたいのですが・・・よろしいでしょうか~・・・』」

生気の無い声だ。無論、死人なので仕方ないが、ここまで生気がない幽霊は初めて見た。その幽霊の姿は二十代くらいで、かなり太っているメガネをかけた青年・・・見た目は一瞬でオタクだとしか思えない。何故なら、白装束の胸のプリントに魔法少女なんとかというアニメが載っていたからだ。

「あ、ああ。いいぞ」

少し心を乱してしまったが、依頼主の頼みならば可能な限り受けて立とうではないかと決意し、依頼主の依頼を聞く事にしたのだ。

「『・・・ボク、こう見えても、女子にモテなかったんですよね~・・・』」

見たまんまだな、とは口が裂けても言えない。

「『・・・だから、一回だけでもいいから、女子にモテたいんですよ・・・』」

「ほう?女子にモテて何をするんだ?」

「『・・・そして、一回だけでもいいから、女子と手を繋いでどこかへ遊びに行ったりしたいんですよ・・・場所はどこでもいい・・・女子とどこかへ遊びに行けるとしたならね・・・』」

モテない男は死んでも苦しみを味わっているな・・・う~む、だんだん可哀想に思えてきたぞ・・・

「それで?その先は?」

「『・・・出来る事なら、キス・・をしたいです』」

「「き、き、キス~?!!」」

篠崎楓と新妻薫は顔を真っ赤にして、驚いている。まだ思春期なのか知らないが、少しは落ち着いたらどうだ?

「・・・なるほど。お前の依頼は、女子とデートして、あわよくばキスをしたい・・・という事だな?」

「『・・・はい、そういう事になりますね~・・・』」

依頼主の依頼に白旗を上げるしかないオレ。彼女である篠崎楓とデートしたらいいのではないかと考えたのだが、オレと篠崎楓のみで活動したら新妻薫はどう思うのだろうか?と考えた。

自分だけ仲間外れで、依頼を受けさせてくれなかったら、傷ついてしまうだろう。女の子の心はデリケートなのだ。したがって、新妻薫も誘わなければならない。

「・・・という事で、デートの真似事をしなければならない。助けてやってくれ、篠崎、新妻」

オレは深々と頭を下げて、デートの誘いをする。しかも、二人にだ。更に面白い事に、その内の一人は、オレの彼女という面白設定があるのだ。なかなか見られない状況だろうな。

「依頼主の魂はオレの身体に憑依させて、楽しさを共有させる。だが、精神は操られないから、見た目も性格も全てオレのままだから、オレとデートという事になるが・・・いいか?」

「わ、分かったわ。み、神谷くんと、で、で、デートね」

「は、はいっ!私とも、で、で、で、デートですね!」

二人は顔を赤くしてから了承。夏だから暑くて赤くなるのは分かるのだが、脱水症状だけはなるんじゃないぞ。

「依頼主さん、二人の女子とデートになるが・・・それでいいか?」

「『は、はいっ!あ、ありがとうございます!』」

依頼主はこれまでない元気な声でハキハキと答えた。しかも、笑みさえも浮かんでいた・・・そうか、そんなにデートがしたかったのか・・・と少し感動を覚えてしまうオレなのであった。

「『むぅーっ!私もデートしたいの!』」

「『お、オイラだって、ご主人様とデート・・いや、散歩したいんだ!』」

依頼主の依頼内容を聞いていたレイとドラゴンは身を乗り出し、デート作戦に興味を持ち着いて来る気満々なのだが・・・依頼主の気持ちを確かめろよ・・・

「依頼主さん、おまけが付いてくるが、気にしないでやってくれ」

「『は、はいっ!女子の二人とデート出来るなら、それぐらい、いいですよ!』」

依頼主は心が広くて、あっさり承諾。という事で、オレは二人の女子と幽霊二体を相手してデートしなければならなくなったのだ。

「それでは、日程のセッティングだが・・・今週の土日のどちらかがいいんだが、どっちが空いているんだ?二人とも」

「「りょ、両方!!」」

篠崎楓と新妻薫はすぐに即答。ヒマなのか?二人とも・・・

「・・・了解。では、今週の土曜日の朝九時からで、集合場所は・・・」

オレはノートにデートの日程を書き、それを皆で確認して、頭に叩き込む。

「依頼主さんは、一旦あの世に帰ってくれないか?ずっとこの場にいられても困るからな」

「『は、はいっ!』」

「レイは、指定した日時になったら依頼主を呼んで、指定した場所に連れ出してくれ」

「『う、うんっ!分かったよ!直斗!』」

オレは次々と指令を出し、皆の協力を得て、今度の土曜日にデートする約束を確実に済ませ、本日の部活動は終了したのであったーー。


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