第14話 新妻薫は探偵?
オレと篠崎楓が、互いに好意を抱く恋人関係となり、数日が経ったある日。
最近、オレのクラスに転校してきた新妻薫が、今の家や学校生活に慣れ始めようとしていた事に、オレと篠崎楓はほっと一安心し、新妻薫と相変わらず友達関係にいる。
だが、そんな新妻薫から、とんでもない事を聞いてしまう。
「神谷くん、私もオカルト研究部に入りたいです」
入部希望だ。
通常なら、喜ぶべきなのだが、オレが所属するオカルト研究部は特殊なのだ。レイやドラゴンの存在を打ち明かすべきか、否か・・・いや、それよりも、入部の動機を聞く事にした。
「何故、オカルト研究部なんだ?それに、そんなに早く決めるべきじゃないだろ・・・」
「え?だ、ダメですか?」
新妻薫は、目に涙を少しだけ溜めていた・・・泣くなよ。
「ダメ、とは言わないが・・・そうだな、見学してから決めてくれ」
オレは仕方なく、見学のみを勧めた。
「は、はいっ。ありがとうございますっ!」
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時は流れ、放課後。
篠崎楓と新妻薫を連れて、オカルト研究部の部室へと向かい、部室に到着した篠崎楓と新妻薫に適当な場所に座れと命じ、オレは二人に茶を渡す。
「『な、直斗っ!あ、あの人ってこの前の!』」
レイは新妻薫の姿を見て驚いているが、オレは見て見ぬ振りをした。何故なら、まだレイやドラゴンの存在を打ち明かす予定が無いからだ。
「『が、ガキ。ど、どうするんだ?オイラ達を見えるようにするのか?』」
篠崎楓の学生鞄にぶら下がっているぬいぐるみ化したドラゴンは不安な表情を見せ、オレに語りかえるが、オレは軽くスルー。だが、どうするんだと何度も連呼するレイとドラゴン。仕方なく、返答する事にした。しかも、新妻薫に自然に話しかけるようにだ。
「いやぁ・・・まさか、あの時、助けた女の子が、転校生として現れて、しかも部活に入部したいと言ってくるとは・・・想像できねぇなぁ」
オレは首を左右に振って新妻薫に話しかけた・・・のは建前で、レイとドラゴンに語った。最初の『いや』という言葉とオレの首を左右に動かすという仕草を目にしたレイとドラゴンはコクリと頷く。うむ、完璧だ。
「クスッ。本当ですよ。私だって、全く想像出来ませんでした」
オレの行動に何も疑問を持たず、笑みを浮かべる新妻薫。ずっとこの調子ならば、霊感を与えずに済む事に、心の中で安堵する。もちろん、表情には出さない。
「ところで、このオカルト研究部は、一体何をしているんですか?教えてください」
今度はオレ達のオカルト研究部の活動を聞く新妻薫。オレが代表して、話を進める事にした。
「・・・この間まで、この世を騒がせたジャックフロストの事について調べているんだ」
「!!?」
オレの説明に驚愕の表情を浮かべる新妻薫。それもそうだろう、ジャックフロストが消えた説が世間では広まっていていたから、もうジャックフロストは居ないだろうとされていたからだ。
「・・・もう氷を撒き散らすヤツは居ないが、オレ達は絶対に居ると信じているんだ」
オレは真剣な眼差しで新妻薫に熱弁。しかし、そのジャックフロストはオレなんです、なんて言える筈も無いのだ。
「・・・なるほどです。神谷くんの・・・いえ、オカルト研究部の話は大変興味深いです」
新妻薫は驚きの表情から、だんだんと笑顔の表情へと変わっていった。
「決めました!私、やっぱり、この部に入りたいです!」
「「!!?」」
新妻薫の心中は分からないが、オレの話にどこかに魅力を感じたらしいが、非常にマズイ。このままだと、入部してしまい、いつしか霊感を与えてレイやドラゴンが見えるようになって、公に言いふらすかもしれない・・・
「だ、だが、今は何も分かっていないんだ」
だから、精一杯のフォローをする。しかし、新妻薫は目をランランと輝かせていた。
「大丈夫です!私、こう見えても探偵の端くれですから!」
「は?」「・・・へ?」
新妻薫の言葉に耳を疑うオレと篠崎楓。探偵?一体、どういう事なのだろうか?
オレや篠崎楓が困っている表情を見た新妻薫は、口元に手を添え、言ってしまったと後悔の表情を浮かべている。
「・・・え、えっと・・・わ、私の親が新米の探偵でして・・・私はその仕事をお手伝いしているんですよ」
探偵の仕事を手伝っているだと?だが、それだけでは、新妻薫に推理力があるとは思えないので、オレは安心したのだが・・・
「で、でもっ、一人で事件を解決した事があるんですよ!・・・たまに、ですけど・・・」
一人で事件を解決した事があるという事は、それなりに頭が良い・・とは限らない。どうせ、猫探しとかのペット探しが主だったのだろうとすぐに考えを思いついた。
「あっ!ちゃんとした事件ですよ!?ペット探しの依頼だけでは、ありませんよ!?」
しかし、その思いは崩れた。ペット探しの依頼を受けているという事実を肯定したのだが、その他の事件も解決しているというのだが・・・本当なのだろうか?
「じゃあ、推理力を試していいか?」
「もちろん!どんと来いです!」
オレは新妻薫を挑発し、その挑発を受ける新妻薫。オレは、学生鞄を漁り、ノートと筆記用具を取り出し
このような図を描いた。(※上の図をご覧ください)
「さて、問題だ・・・」
オレは新妻薫に笑みを向け、問題を出す。その問題とは・・・
図のa、b、cの3人の男が、図のように向こう向き(矢印方向)に並んでいる。
aはbとcの背中だけが見え、bはcの背中だけが見える。
cは誰の背中も見えない。
こんな状態の3人の背中に、別の人が赤か白かのリボンをつけた。
無論、当人には赤か白かは分からない。
最初あったリボンの数は赤2個、白3個と言うことだけが3人に知らされていた。
それぞれの背中につけられたリボンは最初あった赤2個、白3個のうち、どれかの筈である。
自分の背中についたリボンの色は分からないが、aにはbとcの背中のリボンの色が見え、bにはcの背中のリボンの色が見える。
さて、まずaに自分の背中についているリボンの色を尋ねると、aは「分からない」と答えた。
次に、bに自分の背中についているリボンの色を尋ねると、bも「分からない」と答えた。
ところが、このやり取りを聞いていたcは「分かった」と言って、ズハリと自分のリボンの色を言い当てたのである。
いったいcはどう考えて、自分のリボンの色を知ったのだろうか?
また、実際にcのリボンの色は何色だったのか?
という問題だ。
「や、ややこしいね・・・」
篠崎楓は図を見て、眉を歪ませていた。難解な問題なのだから、そうなって当然だ。
一方、レイやドラゴンはというと・・・
「『・・・』」
頭や耳から煙が出て、思考回路がショートしてしまっている。
「ええと、待ってくださいね、ちょっと考え中です」
このクイズの挑戦者である新妻は、アゴに手を添え、いかにも推理していますよアピールしていた。
「・・・」
「・・・」
「『・・・』」
「『・・・』」
「・・・」
無言。誰一人として、話さない。篠崎楓は早くもギブアップし、後は新妻薫に任せたのだが、その新妻薫の閃きは・・・まだやって来ない。
「・・・分かりました」
新妻薫は声を上げた。答えが分かったのかとオレ達は期待する眼差しで、新妻薫を見つめた。だが・・・
「・・・分からない事が分かりました!えっへん!」
胸を張って堂々と佇む新妻薫にズッコケるオレ達。
「・・・だ、だって、こんなの・・・グスン・・・トリックに使わないし、事件の役にも立たないし・・・グスン」
新妻薫は泣きじゃくりながら反論する。確かに、こんな難解な問題を使ったトリックを使うような犯人は絶対に現れないだろう。だからと言って、泣くのはどうだろう?オレが、泣かせてしまった気がして、悪い気分に駆られた。う~む、涙は女の武器とは、こういう事だったのか・・・偉い人の名言は、思わず共感してしまう・・・
「はぁ・・・泣くな。オレが、簡単に説明してやるからよ・・・泣き止め」
オレは部室の中にあったティッシュをあげて、それを貰った新妻薫は、すびばせんと言いつつ鼻をかんでいるが・・・新妻薫は、子供っぽい所があるんだなと確認する事が出来たのは内緒にしておこう。
ようやく新妻薫が落ち着いたのを見計らい、オレは問題の解答を説明する事にした。
「よく聞けよ?一度しか言わないからな」
「は、はいぃ・・・」
オレは、シャーペンを握り、難解な問題の解説を、行うのであったーーー。
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作者から
(※皆さんも一緒に考えてみませんか?)
図のa、b、cの3人の男が、図のように向こう向き(矢印方向)に並んでいる。
aはbとcの背中だけが見え、bはcの背中だけが見える。
cは誰の背中も見えない。
こんな状態の3人の背中に、別の人が赤か白かのリボンをつけた。
無論、当人には赤か白かは分からない。
最初あったリボンの数は赤2個、白3個と言うことだけが3人に知らされていた。
それぞれの背中につけられたリボンは最初あった赤2個、白3個のうち、どれかの筈である。
自分の背中についたリボンの色は分からないが、aにはbとcの背中のリボンの色が見え、bにはcの背中のリボンの色が見える。
さて、まずaに自分の背中についているリボンの色を尋ねると、aは「分からない」と答えた。
次に、bに自分の背中についているリボンの色を尋ねると、bも「分からない」と答えた。
ところが、このやり取りを聞いていたcは「分かった」と言って、ズハリと自分のリボンの色を言い当てたのである。
いったいcはどう考えて、自分のリボンの色を知ったのだろうか?
また、実際にcのリボンの色は何色だったのか?
という問題です。
ヒントは、あなた自身がcさんになって、考えてください。よく問題を読み、aさんとbさんが何故、自分の色が分からなかったんだろうと推理してみてください。そうすれば、おのずと答えが出ますよね?




