第12話 主人公の周りに常に何かフラグがある!
オレと篠崎楓が恋人関係になってしまい、学校でも噂されるようになったのだ。
その噂を耳にしたオレのクラスメイト・・・特に男子生徒がとても荒れているのだ。
「テメェ!神谷ぃぃぃ!」
「諦めるんじゃ、無かったのかぁぁぁ!」
「ねぇねぇ、キスしたの?ドゥフフフ」
血の涙を流しながら、オレにちょっかいを出してくる。まさか、こうなってしまうとは、オレも想像していなかったのだ。たかだか、幽霊の実験で、なんだかんだで恋人が出来るなんて誰が想像出来るものだろうか?想像出来る者がいれば、ソイツは神だ。
「うるせぇなぁ・・・」
オレはしつこい男子を適当に相手するのだが・・・
「やっぱ、お前の事、大っ嫌いだ!」
「リア充が!爆発しろ!」
「キスしてなかったら、ぼ、ボクがやってあげるけど?ドゥフフフっ、ドゥフフフっ」
男子には嫌われた。特に困る事は無いのだが、さっきから、オタクっぽいヤツの発言はムカつくな。
「自慢する事でもねぇだろ・・」
オレの言葉に怒りが頂点に達した男共は、目を充血させ、憎しみの感情を込めた視線を向ける。オレはそれを無視し、あるアドバイスを送る。
「お前達も彼女ぐらい、作ればいいじゃないか」
オレのアドバイスはごもっともである。ヤツらは、自分達が彼女が出来ないからといって、オレに八つ当たりするのだ。そんな事をしないように、彼女の一人や二人、作ればいいだけの話だ。
「くっ!覚えておけ!神谷!」
「きっと俺だって、彼女作れる!」
「ねぇねぇ、彼女になんて呼ばせているの?ダーリン?ドゥフフフ」
男共は捨て台詞を吐き、どこかへと逃げるのが最近の日常。毎日のように負けるのもワンパターンなのだったーー。
ーーーーーーーーーーーーーー
悪霊退治をして、氷が飛び散っても、ドラゴンが火を噴いて、氷を溶かして証拠隠滅していき、そのおかげなのか、ジャックフロストと名乗る人物も減っていき、世にジャックフロストは消えたとニュースやネットに流れ、人々を驚かせる日々を過ごしていた。
さて今回は、困っている幽霊が居ないらしく、本日の部活動は終了。オレはレイと共にオレの我が家へと向かっていった。
篠崎楓は家の用事があると、急いで帰っていたので、彼女は同伴出来なかった。というか、まだ彼女が出来たとは実感出来ていないがな・・・
「『直斗~ぉ』」
だが、彼女が出来ても、レイはオレに懐いていた。レイはオレの腕を抱きしめ、絶対に離すものかとガッチリ腕にしがみつく。それにより、寒気がするのだが、嬉しそうな顔をしているレイを見ると、どうしても離れろと言えない。
「『私、二番目に好かれてもいいよ。幽霊だから、二股しても、絶対に誰にもバレないよ?』」
レイの言う事はごもっともであるが、霊感がある篠崎楓にバレてしまうのではないか?というツッコミを胸の中に抑え、我が家へと帰る為に、商店街を歩くオレ。レイは幽霊なので、フワフワ浮いてオレに着いて来ている。
しばらく商店街を歩くと、前方に茶髪のチャラ男っぽい衣装の三人が誰かを囲んでいるのを発見。
「・・・ん?あれは・・・」
チャラ男の三人は、女の子を囲んでいた。オレは、恐喝か何かの事件に巻き込まれている女の子を見捨てる訳にもいかず、レイにある作戦を伝え、そのチャラ男の三人の出方を見る事にした。
「ねぇねぇー、お嬢さん一人~?」
「俺達と遊ばな~い?」
「ヒマなんだ~、俺ら」
チャラ男はどうやらナンパしているようだ。女の子はその男達を冷たい視線で見つめて、ため息を吐いた。
「・・いいえ、私はこれから忙しいのです。あなた達の相手する時間はありません」
ナンパされている女の子は強かった。キッパリと断る度胸があるなんて・・・う~む、女の子は、やはり強いなと再確認するオレ。
「え~?冷たいなー」
「そうだそうだー」
「無理やりにでも、遊ばせるよー?」
チャラ男の三人は力ずくで女の子をナンパしていた。そして、そのチャラ男の一人が女の子の手首を掴み、歩を歩んでいる。
「や、や、止めてくださいっ!だ、誰か!助けーーむぐっ!」
女の子は必死に叫んで街の人に助けを求めようとしたが、チャラ男達は女の子の口を抑えた。
オレは、とっさにそのチャラ男にめがけて突進した。
「おらぁ!」
オレは助走して、思いっきり蹴りを女の子を乱暴するチャラ男の尻に直撃させた。
「うわっ!」
チャラ男はズテンと地面に倒れ、何が起きたのか分からなかったのか、辺りをキョロキョロと見渡し、蹴ったのがオレだと確認したチャラ男は立ち上がった。
そして、チャラ男の三人は、オレを囲んだ。
「テメェ!」
「やっちまえ!」
「うおお!」
チャラ男の三人は、オレに殴りかかろうとした。オレは、レイを見て、アイコンタクトを送り、ある作戦を実行させる。
その作戦とは、チャラ男の三人に霊感を与え、レイの存在を見せる事。
「『う~ら~め~し~や~ぁ』」
そして、幽霊の台詞を言わせ、本格的に幽霊を見させたと錯覚させる。
「失せろ、クソ野郎共」
オレが何もしないでチャラ男達が逃げるのはおかしな話なので、殺意を込めた視線を送る振りをした。
「「「ギャァァァ!!!!」」」
三人は恐怖のあまり、大声を出し、どこかへと逃げ去ってしまった。
ナンパされた女の子には、こうなるだろう。ナンパされ、腕を掴まれ、怖い目にあったのをオレが発見して駆けつけてくれて、そのオレがただの睨みでチャラ男達を追い返したという信じられない事実。だが、実際にあったのだから、信じるしかないだろう。
「あ、あ、ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!」
女の子は何度も頭を下げ、オレに感謝していた。本当はレイのおかげなのだが、その事を言っても信じられないだろうから、言えなかったのだ。
「気にするなって。じゃ、オレはここで・・・」
オレは早くここから立ち去りたい気分だ。何故なら、女の子を助けている所を一部始終見た通行人がオレの事をジロジロ見ていたからだ。
オレは女の子に背を向けて、我が家の方向へと足を運ぼうとすると・・・
「ま、待ってください!お、お礼をさせてください!」
女の子はオレの腕を掴み、歩行を阻止する。
「い、いや、お礼を期待して助けた訳じゃないしな・・・」
どうしてもお礼がしたいと言う女の子に適当な返しをするが・・
「だ、ダメです!私の気持ちが収まらないんです!お願いです」
目をウルウルとさせて、オレの目を見つめてきた。何なんだ?一体・・・
「・・・はぁ、少しだけだぞ?」
オレはため息を吐きつつ、心が折れてしまう。何故、こんな事になるのだろうか?こんな所を篠崎楓に見られたらどうなるのだろう・・・話せばきっと分かる筈だと信じて、女の子の感謝を受けよう。
「は、はいっ!ありがとうございます!」
オレ達は近くにあった喫茶店へと向かったのであったーー。
ーーーーーーーーーーーーーーー
喫茶店。
前に篠崎楓と入った店である(※第3話参照)喫茶店にオレと女の子は入り、適当な場所に座り、互いにコーヒーを店員に頼み、コーヒーを飲みながら、雑談していた。
「本当にありがとうございました。あのままだと、どうなる事だろうかと不安で仕方ありませんでした」
女の子をよく見ると、美人だ。メルティショートと呼ばれる髪型でマッシュベースにした顔の周りが、小顔に導き、その顔は美形。スタイルは細いし、身長が低いからか、可愛さを猛烈に感じるだろう魅惑が出ている。
「いや、いいって。気にするなって」
オレは女の子に気を遣い、当然の事だと主張するかのように堂々としている。
「クスッ。あなたは優しいですね。そこが素晴らしい所だと思います」
「褒めてくれてありがとう・・・と言いたいところだが、照れるな」
「クスッ。言っているんじゃないですか。面白いですね、あなたは」
「・・・どうも」
どうやら女の子は、オレに対して心を開き、笑顔を浮かべていた。ずっとこのままだと、誰かに見られて篠崎楓に知られたらマズイので、オレはそろそろ帰ると女の子に伝えると・・・
「そうですか、すみません。お時間をとらせて・・・一応、お名前だけでも、聞かせてくれませんか?」
どうやらオレの名前に興味を持っているようだが、念の為に名乗らない事にする。この女の子が口を滑らせ、誰かの耳に入れば、おのずと篠崎楓に届くかもしれない。一方、レイは・・・さっきからずっと頬を膨らませていた。何なんだよ・・・一体。
閑話休題。
「・・・ある事情で言えないが、ただの通りすがりの高校一年生だよ」
「・・・そうですか、分かりました。私も名乗らない事にします。名乗ったら、あなたが気を使って、事情があるのに名乗る可能性もありますからね」
オレ達は、お互いに名乗らない事にして、コーヒー代の代金を支払う為、会計を済ませ、喫茶店を出た。
「・・・それでは」
「・・・ああ」
女の子はペコリと頭を下げ、どこかへと立ち去ったのであった。
「『むぅー!またデートしたーっ!私にもデートしてよーっ!』」
怒りの頂点に達したレイ。頬を膨らませ、激怒していたが・・・嫉妬か何かなのか、自分にもデートしろと頼むが、無理な話だ。霊感が無い人が、そんなオレ達の姿を見ても、オレがブツブツ何かを言ってその辺りをウロウロしているようにしか見えないのだ。そんな事では、オレが不審人物になってしまい、警察に連行される恐れがあるのだ。
「・・・はぁ、一緒に帰っているだろう。これも、デートじゃねぇか」
オレは精一杯のフォローをした。これ以上のフォローはあるのだろうか?しかし、どこかへ遊びに行くのがデートではないのか?と指摘されれば、手も足も出ない。さぁ、どう出る?レイよ。
「『そ、そうなんだっ。わ、私、知らない間に、ずっとデートしてたんだ!』」
純粋な子だ。いや、純粋な幽霊だと言っておこう。その純粋な幽霊は、オレの腕をしがみつくように抱きしめ、無邪気な笑顔を浮かべ、オレの腕に頬ずりしていた。
「・・・やれやれ」
オレは微笑みを浮かべ、我が家へ向かったのであったーーー。




