プロローグ オレに霊感がある!
はじめまして、かがみいんです。
稚拙な小説ですが、よろしくお願いします。
オレの名は神谷直斗。ただの普通の高校一年生の男子だ。
オレの成績はクラス一番いや、学年トップで、運動神経もよく、スポーツ部にスケットを頼まれる事もしばしばある。
しかし、そんなオレにはある秘密が隠されていた。その秘密とはーーー。
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ここはオレが通う、とある学校。四階立てのコンクリートで出来た校舎が二つあり、教室や授業で使う部屋が各教科ごとにある。そして、旧校舎というモノがその校舎の近くにある。
その旧校舎は三階立ての木造で、主に文化部の部室があり、各部屋にて文化部がなんだかんだ頑張るらしい。
かく言うオレも文化部であり、オカルト研究部という部活に所属しているのだが・・・
いざその部活を始めようと、その旧校舎の二階にある部室の扉を開き、オレ以外の人間がいない事に、ため息を吐いた。
オカルト研究部の部員はオレ以外いないので当たり前だが・・・
そんな一人だけのオカルト研究部の部室の中には、長い机が二つくっついていて、近くにはパイプイスがいくつもの置いていて、キッチンや冷蔵庫やエアコン等、日常生活を過ごすには必要なモノが揃っていた。
オレはヤカンに水を入れ、コンロに火を付けて、茶葉が入った筒を空け、急須に茶葉を入れて、しばらくするとヤカンはキューもしくはピューという音と共に湯気を出していたので、火を消す。
水がお湯へと変化したので、急須にお湯を入れ、オレ専用の湯飲みに淹れたての茶を啜りながら、ほっと一息つく。
なんて平和な時間だろう。和む。心が満たされる。オレはこの時間がとても好きだ。安らぎを感じ、ぼのぼのとした時間を楽しむ。
だが、そんな安らぎをぶち壊すように、この世のモノとは思えない恐ろしい存在が、オレの目の前に現れた。
「『あっ、直斗~ぉ!待ってたよ~ぉ!』」
のんびりとした口調で話すこの世のモノとは思えない恐ろしい存在がオレの肩に抱きついてきたのだ。
ソイツは、ツヤのある黒髪で顔半分を隠し、肩甲骨を覆う程、髪は長く、顔色は悪くて、ほぼ真っ白な顔だ。手や足の肌も真っ白で白装束を着ていた。
そう、まるで幽霊かのような存在だ・・・
オレは霊感が人の何倍もあり、幽霊と普通に話したり、触れたり出来たりもするが、にわかに信じがたい話だから友達に霊感があると話しても信じてもらえないのだ。
何故オレに霊感があるのか知らないが、オレの家族に霊感があると言うので、多分遺伝か何かで幽霊が見えるようになっているのだろう。
「ええい、肩がゾッとするじゃないか。離れろレイ」
「『むぅ~。直斗しか触れられないのに~!ケチ!』」
この幽霊は名前を忘れたと言ってどうしても名前を付けて欲しいと懇願したので、オレが代表して付けてあげたのだ。幽霊だから、レイという簡単な名付けだ。
ただ、このレイという彼女は、非常に美人だ。
クリクリとした目、すっとした鼻筋、チェリー色の薄くてプルプルとした唇、スラッとした身体。胸は大きいわ、腰は細いわ、お尻は大きいわでグラマーな女性だ。
この幽霊、このオカルト研究部の部員だったのだが、約十年くらい前に交通事故に遭い、死亡したらしい。だが、この世に未練があるのか未だに成仏していないのだ。
レイは成仏しようとするも、なかなか成仏できず、途方に暮れてオカルト研究部の部室にいるしかなかったらしい。
オカルト研究部の部室に居続けて、約十年もの時が流れ、オレが高校へ入学し、旧校舎から霊の気配がしたので、向かって扉を開いたら、レイと初対面したという訳なのだ。
レイは約十年間誰にも相手されず、誰からも発見されず、ずっとオカルト研究部の部室で寂しさのあまりに、泣いていたらしい。
ちなみに、その泣き声を聞いてしまった生徒が居て、学校の七不思議の一つとして語り継がれている事はレイは知らない。オレは知っているが。
「『呪ってやる~っ!むむむむ~っ!でぃやーっ!』」
レイは顔をプルプルと震わせ、両手をオレの方向へと向けるが、レイの呪いはオレに届かず、ぜえぜえと息を切らすレイ。呪う為にスタミナを多く必要とするらしい。って、死んでいるのに、疲れとか感じるのだろうか?
しかし、呪いをかけられない可哀想な幽霊なのだが、ある特殊な力があるのだ。
「『むぅ・・・あ、そうだ、また直斗に会いたい人がいるんだって。ちょっと、黄泉の世界の扉を開くから待ってて』」
レイは両手を大きく広げ、むむむと呟き、レイの目の前に暗黒に包まれた雲のようなモノが出現し、バチバチと黄色い稲妻が発生しつつ、おどろおどろしい存在が、暗黒の雲から現れたのだ。
だが、その雲は霊感ある者もしくは幽霊自身にしか見えず、霊感ない者には何の変化もないただの空間にしか見えないという訳だ。
実は、レイは、あの世の世界とこの世の世界の通路を繋げる能力がある。発動条件は、あの世の世界で困っている幽霊がいればいつでも発動出来るらしい。それにより、幽霊はこの世の世界に一時的に存在する事が出来るらしい。
おっと、それよりも、客人だ。さて、誰だろうか?
「『こんにちわ~。お久しぶりです、直斗くん。また依頼を頼まれてもよろしいでしょうか~?』」
美人が現れた。レイと同じように白装束を着て、肌が真っ白な超絶美人さんが登場した。
顔はキレイに整っており、ショートカットの髪型で可愛さを猛アピールしている幽霊。
「いいぞ」
「『はい、実は・・・』」
幽霊の頼みを聞き、オレはすぐに行動する。
いつもオレは、このオカルト研究部にて、幽霊が抱える悩みや相談、仕事の依頼を受けて、それを達成させるという活動を行っているのだ。
では、何故そんな事をするのか?それは単純。
面白そうだからだ。
ただこれだけの理由でオカルト研究部に入部して、幽霊の頼み事を聞き、解決。こんな面白い体験が出来るのだから、オカルト研究部にしか興味を持たなかったからだ。
それに・・・オレは困っているヤツは放っておけない性格だから、どうしょうも出来ないが、それでも、オレはこの活動を誇りに思っている。
「お前さんの、旧校舎付近の花壇に水を与えるという依頼は成功した。報酬はいらねぇから、気にするな」
「『ありがとうございます。ここのところ、水を貰えてないみたいで・・・では、さようなら』」
「いつでも来いよ。幽霊」
水やりの雑用でも楽しいと感じている。こんなに頼られているという気分も心地よい。
「なぁ、レイ。あの世とこの世の世界を繋げる事が出来るなら、その通路を渡って成仏出来るんじゃねぇか?」
「『試してみたけど、ムリだったよ。この世に未練がある幽霊はあの世に逝けないらしくて・・・』」
オレはレイのある依頼も受けたのだ。成仏させて欲しいと。だが、レイは数年も一人ぼっちで悲しい想いをしたせいからか、何の未練を残したのかが分からないらしい。どうにかして思い出させたいが、自分の名前も家族も思い出も何もかも忘れたらしいから困ったものだ。
しかし、ただ一つだけ、このオカルト研究部の部員であった事は忘れていなかったらしく、何らかのきっかけで記憶を取り戻すかもしれない。だが、未練を忘れる幽霊なんて、レイぐらいなものだな。
「なぁ、そういえば、何であの世で困っている人の・・・いや、幽霊の悩みがあるって、どうやって分かるんだ?」
「『えっ?え~と・・・なんか、こう、感じるから?』」
「・・・なるほど。理屈は分からんが、何故か分かると・・・」
「『でへへ~』」
レイは無邪気な笑顔を浮かべ、照れ隠しするように頭をポリポリと掻く。こいつ、本当に幽霊なのか?と聞きたくなる程、元気があるヤツだからな。
「『あっ!また仕事を依頼したいっていう幽霊さんがいるよ。黄泉の世界を開くよ~ぉ』」
またもオレに仕事の依頼を申し出る幽霊が来るというのだ。オレはヒマだし、この体験が面白くて充実感を感じるので断る理由なんて皆無なのだ。
レイはあの世とこの世の世界を繋げ、暗黒の雲から見た目十歳くらいの少年の幽霊が出てきた。幽霊だからなのか、肌は真っ白で目は死んでいる。まぁ、死人だからな。
「『あ、あのぉ、悪霊を退治して欲しいんだ・・・』」
生気のない声で依頼してくる少年の幽霊。
「ほう?ソイツはどこにいるんだ?」
「『近所の商店街の裏路地辺りにいる筈だから・・・』」
「ふむ、依頼を引き受けた。さて、行くぞレイ」
オレ自信には悪霊を倒す力は無いのだが、レイの能力とオレの霊感によってある奇跡が起こせるのだ。
これから面白い体験が出来る事に興奮気味なオレは学生鞄を持ち、その近所の商店街へと向かっていったのであった。
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近所の商店街。
依頼主である少年の幽霊とレイと共に、悪霊退治に向かう。
商店街なので、周りには人、人、人だらけ。霊感のないヤツには幽霊が見えないので、真っ白で目が死んでいて、白装束を着た二人が見えない事にほっとするオレ。こんな幽霊が皆にも見えたら大騒ぎになるだろう。
「む?気配がするな・・・」
幽霊の気配がした。そこへ目を向けると裏路地への入口で、誰も入らないような細くて暗い場所だ。
オレはそこへ向かい、広くて大きな駐車場がある。ただそれだけしかないので、人間はオレ一人だけだ。しかし、幽霊の気配が大きく感じるので、ここで間違いない。
「・・・やはりここにいるな。おい、出てこいよ、悪霊よ」
オレが問いかけると、地面からズズズ・・と見た目がゴブリンのような禍々しい姿形をしている悪霊が出てきた。全身、真っ黒で鼻が尖っていて、口には無数のキバ。真っ赤な目でオレを睨んでいた。
しかし、こいつ・・・小物だな。身長が約二十センチもないぞ?だが、小物でも悪霊は悪霊だ。
ちなみに、悪霊は決まってこのゴブリンのような姿しか居ないのだ。他の種類なんて見た事も無いが、今は目の前にいる悪霊を倒そうではないか。
「こいつか・・・レイ」
「『分かってる!憑依!』」
レイはオレの身体に憑依した。レイは人の精神に憑依して、その人物の行動を操る事が出来るのだ。しかし、オレには効かない。オレには霊感が人の何倍もあるからなのか、レイに憑依されても、行動を操られない。
ただ、ある能力が目覚めるのだ。レイが憑依したおかげでな・・・
「『キシャーっ!』」
悪霊がオレに大きく口を開いて飛びついてきた。
「『あ、危ないっ!お兄さん!』」
危険を感じて、依頼主の少年は大きな声をあげる。
オレは余裕の笑みを浮かべ、悪霊の顔面を片手で掴み、勢いよく硬い地面に叩きつける。幽霊が触れるから出来る芸当なのだ。そして・・・
「凍て尽くせ、絶対零度」
悪霊は氷付けになり、固まっていく。
レイがオレに憑依したおかげで冷気を自由自在に操れる事が出来るのだ。だから敵を凍り付かせる事も、天候を雪へと変化させる事も出来るのだ。
「そして、砕け散れ」
氷付けになった悪霊を力一杯ぶん殴り、パリンと悪霊と共に氷は砕け、悪霊は消え去った。
ただ、この冷気を操る能力は、氷そのものを作るので霊感がないやつにもで見えるのだ。こんな事が公にバレたら、大騒動だ。オレにとっては、めんどくさい事が起きそうなので、この事は最大級の秘密だ。
ようやく、悪霊の気配が消えて、近くにいた少年の幽霊に笑みを浮かべて、少年の元へ近づき、頭をポンと置き
「お前さんの、悪霊を退治して欲しいという依頼は達成した。報酬はいらねぇから、安心してあの世に帰ってくれ」
優しい声をかける。
「『ありがとう・・・ありがとう、お兄さん・・・』」
少年はそれだけを伝え、レイがあの世へ案内し、今日の活動はお終いとなったのだ。
「さて、帰るか・・・またな、レイ」
「『うん!また明日!』」
レイと別れ、オレは我が家へと歩いて帰宅したのであったーー。




