遺書と携帯電話
封筒の中には次のような手紙が入っていた。
私はこの館で5人の人々を殺害しました。しかし、私は決して血にうえた殺人者ではありません。これは、私にできる復讐です。
私には彼女がいました。最愛の恋人が。彼女は自殺しました。彼女は耐えられなかったのです。自分が犯罪者の妹であるという事実に。
確かに彼女の兄、井上一透さんは研究所の所長を殺した犯罪者です。しかし、なぜ彼は犯罪を犯してしまったのか。彼は研究所のデータを別の企業へ流していました。それが所長にばれた為に殺害したのです。
企業はデータを売ることで莫大な利益を得られる。そのために井上氏を利用したのです。そして、その企業は他ならぬ私が勤めている企業だったのです。私は知らぬ間に自分で自分の愛する人を追い込んでしまっていた。
私は死にます。この悪行を考え出した者たちと共に。
この件に関しては皆同罪です。私が誰かなど突き止めないでください。
最後に、死体の身元が分かりやすいように死体発見直後の様子をその死体の持ち物である携帯で写真を撮っておきました。無論私の写真は死体の振りですがね。
パソコンで作られた物だ。筆跡は分からない。
次に携帯電話の画面を見た。
1つ目の画面には西洋風の刀が頭に刺さった女性が1人写っていた。
2つ目の画面にはコーヒーカップを片手に、血を吐き倒れている女性と誰のものかは分からないが2人分の足が。
3つ目の画面には矢が刺さり倒れている男性とそれを見ている2人の人が。1人は先ほど血を吐き倒れていた女性、もうひとりはまだ見たことのない男性だ。彼らの背後には日本刀、刀を持った西洋の鎧が飾ってある。
4つ目には、倒れている男性。そばには折れた日本刀が落ち、床はその刀によって傷ついている。
5つ目には拳銃で撃たれ倒れている男性。その周りの床は4つ目と同様に傷ついており、倒れた男性を2人が見ている。1人は足だけしか写っていないが、もう1人は2つ目の写真で倒れていた女性だ。
最後の写真には首を吊っている男性。後ろには刀を持った西洋の鎧が飾ってある。
「なるほど。」
三木刑事は6つの死体を眺めた。
刀が刺さったもの、矢が刺さったもの、斬られた痕のあるもの、銃で撃たれたもの、目立った外傷のないもの、首に縄の痕があるもの。それらが一列に並んでいる。
「そうか…」
三木刑事はある死体の前に立ち、顔を見つめた。
「あなただったんですね。こんなことをしたのは。」
三木刑事は静かに手を合わせて一礼した。その死体を見つめながら…




