幕開け
私がその館に着いたとき、既に他の5人は到着していた。これでも早く出てきたつもりだったのだが。もっとも、全ての準備は済んでいる。誰がどの順番で訪れようが関係はない。これから何が起きようとしているのか、おまえたちには想像もつくまい。ただの慰安旅行だと思って、楽しんでいる。おまえたちはまったく理解できていない。彼女がどれだけ苦しんだのかを。
私が訪れてからどれだけの時間が経ったのだろう。館の外で激しい音がしたのを聞き、皆慌てて外へ飛び出した。皆が乗ってきた車が炎上している。
そうだ、これでいい。償いのときの始まりだ。おまえたちも、私も…
酷く荒れた山道を1台のパトカーが走っていた。
「こんな何もない山奥によく人が集まったものだ。」
三木刑事は愚痴をこぼしながらも目的地へ向かった。
「これは酷い…」
館の前には黒こげの車が六台止まっていた。とりあえず車の中には誰もいないようだ。
館の中には腐敗臭が立ちこめていた。そして思わず目を逸らしたくなるほど、腐敗の進んだ死体が6つ並んでいる。
「なんでこんなことに?」
ふとテーブルの上に乗っているものに目がいった。そこには遺書と書かれた封筒と6つの携帯電話が置かれていた。