ギャップ
二日続けて、保健室に来るなんて初めてかもしれない。幸いなことに先生はいなかった。
先輩は背負っていた戸村君をベットにおろしている。その間に、保健室利用者の用紙を私がうめることにした。
今日、すでに利用したであろう生徒たちのクラスと、名前が記入してある用紙に視線を落とす。
名前の欄しか埋めれない。それも漢字があっているか分からない名字のみ。
ふっと用紙に影ができる。見上げると、先輩が背後に立っていた。
「ひっ」と声に出さなかった私、偉い。ほんと、無駄に大きい人だ。
「あの、これ後わかります?」
とりあえず、私から視線を外したい一心で用紙を先輩に差し出す。
「・・・戸村のこと何も知らないのにあんなことしたのか?」
まただ。あんなってどんなだ。
「先輩、あんなってどんなことですか?そもそも、私戸村君とは今日初めて会ったんですけど。」
知らなくて当たり前だ。
先輩の動きが止まった。
最初はひどく困惑した表情、徐々に真っ赤になって顔をそむけてしまった。
「悪い。勘違いしてたみたいだ。」
ぼそりとつぶやきが聞こえてきた。話が全く見えない。
「あの・・・よくわからないんで、詳しく教えてもらえます。」