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花より団子

握られた手を凝視する。

私より体温が少し高いのか、ほんのりと温かさが触れているところから広がっていく。


なにこれ?

なんで私の手、握ってるの?


いまいち状況が分からず固まっていると、田中の握っている手に力が入り、そのまま私を引き寄せた。


「ぷっ」

驚いて唖然としていると田中が噴き出した。

「言ってるそばから隙だらけだな、お前」

田中の言葉で我に返る。

「き、気をつける。・・・ありがと」

そう言ってぎこちなく田中から離れた。


びっくりした・・・一瞬、抱きしめられるのかと思った。

実際は、座っていた私を田中が引っ張って立たせただけだった。



「遅くなったし、送ってく」

驚いて断ろうとしたが、それを分かっていたのか私が言いだすより先に付け加えられた。

「痴漢にあったって分かったのに、そのまま帰せるかよ」

今までの田中の態度が嘘のように、優しくされ戸惑う。

だいたい、先輩の時もそうだが女の子扱いされることに慣れていない。

なんともこそばゆい思いをしながら、家まで送るという田中を何とか説得し、家の最寄りの駅で別れた。



何を考えているのか良く分からないが、黒沢先輩と先輩の友人の行動に振り回せれ、結果としては嫌いだった田中に優しく送られたことが何だか不思議だった。

黒沢先輩は、大きくて強面で、でもなんだかかわいくて。

でも、なにを考えているのかよく分からなくて・・・・。

もし・・・もし、先輩が田中の気持ちを知ったら、先輩はどうおもうのかな・・・。


そこまで考えていたところで、家の前についていた。

家に入り、自然とほっと息がもれる。


「おぅ、おそかったな。おかえり」

「ただいまー」


兄とそんなやり取りをしたころには、先輩の気持ちは先輩にしか分からないと、考えるのがばからしくなり意識は今夜の夕飯へとうつっていった。





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