許し
たどり着いたのは、小さな公園。
「で、どういうことだ?全部、分かるように説明しろ。」
ベンチに座らされ、怒れる田中を目の前にして恐ろしさの余り、今まであったことを包み隠さず話した。
田中の気持ちを考えたら、先輩との間にあったことを言うのはまずい気がしたが、変にごまかして後でばれたときのことを考えると、とてもじゃないがそんな気は起らなかった。
全て話し終わっても、何も言わず目の前で仁王立ちされ戸惑う。
「た、田中君?」
「お前無防備すぎだ、馬鹿!!だいたい男と女でもともと力も全然違うのに、お前の場合さらに小さいってこともっと意識しろ!!自分のこと女だって分かってるのか?」
そこからは怒涛のお説教タイムが訪れた。
田中が言っていることはいちいちもっともで、何も言い返せない。
だんだんと私の頭も下がっていく。
早く、この嵐が去ってくれることを祈りながら、足元をうろうろしているアリを見ていた。
「おい!聞いているのか?お前の話してるんだぞ!」
「は、はいはい、聞いてます!」
「・・・」
ぅひ、目が据わってるよ、田中。
ビビりまくりの私を見て田中はため息をひとつ。
「・・・怒りすぎた、悪い。お前だけが悪いんじゃないって分かってはいるけど・・・。その、正直嫉妬した。」
昨日の田中の告白を思い出す。
「うん、まぁ、私も田中君の立場なら同じことしたと思うよ・・・」
田中は好きって気持ちがあるから、怒ったんだ・・・良い迷惑ではあるけど。
「それでも、あんなふうに怒るべきじゃなかった。」
気まずそうに再度謝られ、一度口を開きかけたが大丈夫だという意味をこめてあえて言葉を口にせず、首を振って笑って見せた。
すると私の気持ちが伝わったのか、田中はふっと表情をゆるめると私の手をそっと握り、はにかむようにほほ笑んだ。