衝撃
私の友人は薄情者ばっかりだ。
明日になれば、食堂での黒沢先輩とのやり取りは学校中の噂になっているだろう。
黒沢先輩のことを考えだすと、なんだか冷静でいられなくなる。
オムライスを食べてしまったのが良い証拠だ。
この現状にどう対処していいのか分からない私は、食堂から帰るなり友人達を捕まえて相談した。
いや、この表現は正しくない。
相談しようとした・・・これが正解。
「黒沢先輩に関することなら、怖いから私パス」
「無害なのが確認取れたら話し聞かせて」
「相談は無理。でも遠くから見守ってる」
そうお断りをされた。
こんな時の友達じゃないのか!
そう叫びたい。
一度でいいから、おお!心の友よ!と言ってみたいものだ。
結局今後に向けて相談さえできず放課後を迎えた。
そもそも、先輩があんなことするから!
いきなり抱きしめたり・・・私のこと避けたり。
それから、みんなの前で「あーん」したりだ。
先輩の私に対する態度を考えると、普通ならもしかして先輩に好意を持たれてるのかと思ってしまうけど、なんていうか・・・あれは違うと思う。
好意は好意でも、異性に対するものじゃないように感じる。
とくに、オムライスをを食べた後からの先輩の視線はそんな感じじゃなかった。
そもそも、今まで同世代の異性とお近づきなったことがないので良く分からないが。
だからこそ、相談したかったのになぁ。
「はぁ・・・」
思わずため息もでる。
気がつけばクラスメートもほとんど帰ってしまっている。
私も帰ろうと教室を出たところで、呼びとめられた。
「おい、鈴木、顔かせ」
そこには不機嫌な田中がいた。
ここ最近、私呼び出しくらいすぎじゃない?
しかも、今回は本当にタコ殴りされそうな雰囲気だし。
嫌いなら、関わってこなけりゃいいのに・・・。
たどり着いたのは、人気のない渡り廊下。
「で、何の用?田中君」
ブラックリストのトップにいるためか、思わずかける言葉がきつくなってしまった。
それに対して、田中は眉間にしわをよせあからさまに不愉快だという表情をして見せた。
「おまえ、嘘つくなよ」
「うそ?」
何のこと?
「天がお前に告白してないなんて、嘘ついたじゃねーか!」
「・・・ひろし?」
怒っている理由が理解できると、その内容より田中が黒沢先輩のことを名前で呼んでいることに驚いた。
「俺はお前が天の彼女だなんて、認めないからな!」
むかっときましたよ、今のは。
つまり、なんだかよく分からないが、先輩と田中はどうやら親しいらしくて、その先輩と私なんかが付き合うのは納得できないと。
そもそも付き合ってませんが!
「私と先輩が付き合おうが、それは私と先輩の問題であって田中君には関係ないですよね?」
普段の私なら、まず誤解をといていただろう。
が、全否定されてまで誤解をとくほど私は優しくない。
そうおもうなら、そう思っていればいい。
私がそう考えながら、田中に放った質問は意外な言葉でかえされた。
「関係・・・関係はある。お、俺、その・・・好きなんだ」
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