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小話3(黒沢視点)

『・・・悲しかったんですよ』


とても小さかったが、確かに聞こえた鈴木の声。

一瞬聞き間違えかと思い、聞き返した。

なんでもないと言っていたが、俺には聞こえていた。


つまり俺に避けられて、悲しかったってことだよな?

泣くぐらい?


それって・・・


『・・・結構好かれていると思うわよ?・・・』


思わず頭を抱えてその場にしゃがみこむ。

今、誰にも自分の顔を見られたくなかった。

なにより、意味もなく喚きたくなったこの衝動を抑えるのに必死だ。


冷静になれ、冷静に!!


そう、別に鈴木にす、好きだと言われた訳じゃない!

母さんが言ったように、少なくとも嫌われてはいないってことが、分かったってだけだ。


それでも・・・、俺の目を見て鈴木は視線もそらさず話してくれる。

今まで、そんな女の子、俺の周りにはいなかった。


それに、俺は鈴木のことが、好きかもしれないわけで・・・。



廊下でしゃがみこみうーうー唸っている俺を、周りが怖がり遠巻きに見ていることにも気付かず、戸村に声をかけられるまで、俺はひとり悩んでいた。



昼休みになり、最初の逃げ出したい衝動を何とかおさえると、思っていたより鈴木といるのは悪くなかった。

何より、怖がるそぶりも見せずに、俺のそばに居るのがなんともうれしい。


約束通り、鈴木にスペシャルランチをおごり席に着くと、鈴木が俺の隣に座った。

予想外の鈴木の行動に、内心どぎまぎする。

それをごまかすように、鈴木にうまいか聞いてみると、今度は鈴木が俺にうまいか聞いてきた。

俺が応えると、鈴木は俺が食っているオムライスをまだ食べたことが無いと言った。

オムライスをスプーンですくったとき、母さんの言葉を思い出す。


『・・・(ひろし)が頼めば鈴木さん、案外してくれると思うんだけどなぁ?』



「・・・食べて、みるか?」


気がつけば、俺は鈴木にスプーンを差し出していた。



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