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第二章 ゲームの法則 第三十話 心の貸借対照表:性格・感情・欲の財務諸表

 人生ゲームを理解する者は、自分の性格・感情・欲の三界を“敵”ではなく“素材”として扱える。それらを  制御できる者は、 他者の言葉や社会の幻想に飲み込まれず、自分の人生の盤面を自分で設計できる。だが、制御できない者は、他者の言葉、社会の価値観、時代の流れに翻弄され、 自分の人生を他人に委ねてしまう。人生ゲーム技術とは、 自分の人生の支配権を取り戻すための“内界の武術”である。人間の評価は、時代とともに変わる。 旧人類の価値観では、権力・富・支配が評価軸だった。 しかし、新人類の社会では、 “性格・感情・欲・知能・行動”という内界の構造こそが、 人間の真価を決める基準となる。

 第三十話 心の貸借対照表:性格・感情・欲の財務諸表


 人間の行動は、性格・感情・欲の三界が生み出す“心の財務活動”である。その流れを可視化できれば、新人類の育成も、旧人類の欠点の補正も可能になる。義鷹はアキラに、新人類の評価制度の創造を依頼した。


 義鷹:「アキラ、新人類の育成問題を考えてくれ。例えば、新人類の育成に貢献した人の業績を称える人事評価制度の作り方をどうすればよいか?」彼は、ホモサピエンス種では、闘争問題を解決できる可能性が低いので“新人類の創造”の人事評価制度の話題に変えた。


 アキラ:「ノーベル賞を参考にするとよい。まず、世界各国の富裕層財産で財団を作る。

次に人道活動をする人々を“新人類”として世界貢献した“偉人”、“賢人”、“勇人”とする“バーチュアス賞制度”を作ると良いと思う」


 義鷹:「その序列と定義は、どうするの?」

 アキラ:「偉人、賢人、勇人の三者間の序列は、対等とする」彼は、次のように定義した。


・偉人は、富を築き、その富を寄付して未来都市の建設運営発展に貢献した人

・賢者は、各分野の職務で共存共栄社会の実現に多大な貢献した人

・勇人は、未来都市社会の治安と安全保障に貢献した人


 義鷹:「君は、誰にどのような財団を作らせたらよいと思うか?」

 アキラ:「龍郎や彼の仲間に生前中に各国の “人道支援財団”を作らせる。これを連合して、オウ国西部の経済特区に“世界人道支援財団”を作ったらよい。新人類の指導者を育成してするのがねらいだ」


 義鷹は、世界の経済特区に建設する未来都市は、商業や自治を基盤に発展した中世都市国家をイメージしていた。 “政治的に自立した自由都市”、“エネルギー、食糧、資源、自給自足できる偉人、賢人、勇人の三タイプの市民評価資格を持つ指導者の選挙制度で運営することを考えていた。


 このオウ国西部砂漠の貿易港を持つ未来都市は、非公式には、核大国の核兵器使用による戦争リスクに備えて、リスクに敏感な人々を受け入れて、北半球国との貿易拠点にする計画だった。彼は、市民から選ばれた偉人、賢人、勇人の指導者による“都市国家連邦統治制度”を考えていた。彼は、現在の外交上の一般的な序列の参考例を示した。


 アキラ:「ホモサピエンスは、内界の“性格感情欲”の知能行動に支配されるので、それを制御する統治制度が必要だ。単純な選挙制度では、共存共栄社会を維持できない」


 義鷹:「独裁者の“性格感情欲”の暴走知能行動の欠点を防ぐ、三位一体の人事統治制度が良いかも。アキラ、人事評価表を作ってくれる」

 

 彼は、有史以来の大国のエネルギーの方向は、文化や権力による世界統一だとした。ところが、現在の富める大国の政治は、競争文化が基本であり、人々が共存共栄文化を共有できない方向に進んでいるとした。彼は、人間が高度な知能を持つならば、そろそろ弱肉強食の本能行動から進化しないといけないとした。自分たちは、この手本を示す、未来都市の建設が必要だと述べた。

 

 義鷹:「弱肉強食タイプの旧人類の権力者は、自分の戦争侵略略奪の欲望を満たす。君は、この問題にどう対処するのだ」


 アキラ:「あぁ、その問題は、人事評価制度を導入できれば、変わるかもしれない。大概の問題は、誤解や錯覚から始まる。性格、感情、欲、知能、行動が評価できないからだ」


 義鷹:「君は、人間の人事評価法で組織が円滑に機能する方法を開発できるか」

 アキラ:「うん。できるよ。だけど、新人類を創造しない限り、体制は変わらないよ。旧人類は、たぶん、新人類に変われない」


 彼は、弱肉強食の旧人類社会下で新人類の生命と財産を守るには、新人類の指導者は、捕食者からの攻撃される材料を減らすことだとした。旧人類が、新人類の暴力行使の弱点を知らなければ、“旧人と新人の戦い”に対処できるようになるとした。


 義鷹:「自然人の社会組織界での欲求を満たす行動は、価値観により人間行動の“利益”、“損失”、“調和”の三つの力の流れを産む。君は、この欲求と葛藤の流れをどのようにして読んでいるの?」


 アキラ:「人間社会の欲求と葛藤を産む行動の複雑な流れは、統合すると、自分、他人、組織の三要素の組み合わせで九種になる。自然人の欲は、社会組織が絡むと、複雑な戦いを生み出す装置になる」

 

 義鷹:「あぁ、そうだ。旧人類の国家指導者たちは、軍事力、宗教力、文化力、経済力などの力を統治に活用してきた」


 彼らは、自分勝手な価値観を主張して、他国の権利を否定して自分の価値観に従属させる行動をしてきた。この自己主張行為が人間を敵味方に分かれさせる。価値観の戦いは、犠牲者を生み出す構造になるとした。例えば、国内の全ての宗教を一つに統合しても、宗教は、生きるという葛藤問題を解決できない。


 三界生成理論で、“キリスト教”、“イスラム教”、“仏教”などの宗教を世界統一基準のAI教育により、共存共栄を教義する統合運動をしたとしても、この問題は、強制力のない統一言語のエスペラント語のように普及しないとした。


 アキラ:「ヨシは、大頭領職に留まっている限り、葛藤を友として、共に生きないといけない。葛藤するのが人生だと思えばよい。君は、青年たちに、悩み方を教え、使命を持ち、果たす意味を考えさせると良い」


 義鷹:「あぁ、そうだな。物事を統合すると、争いは、少なく無くなる可能性があるが、同じ力から各派ができるので、次の問題が発生して、葛藤が無くならない。葛藤は、人間社会を治める権力構造の一部になっている」


 アキラ:「だから、この構造を変えないかぎり、争いが絶えないのだ」


 義鷹:「二十一世紀の誕生世代が指導者になろうと思ったら、君は、権力者の地位による葛藤問題を彼ら にどうアドバイスすればよいと思うのか?」


 アキラ:「僕は、葛藤は、内界・外界・境界の三界での情報の授受の過程で生成されていると考える。自分の内界を知り、敵でなく葛藤を友として、扱うことだ。事案の全責任を負う覚悟を持つことで、葛藤が小さくなる」


 義鷹:「国家指導者の内界には、賢者、勇者、凡人、愚者、卑怯者、裏切り者などが住んでいるとする。君は、彼らの心理タイプをどう分類しているの?」


 アキラ:「まず、外交が得意かどうかで、“外界型”か、“内界型”か。次に、情報分析の扱いで、五感派の“感覚型”か、閃き派の“直観型”か。さらに、情報の判断や決断の扱いで、客観性や公平性を重視する“思考型”か、価値観や人間関係を重視する“感情型”か。また、情報に対する行動の扱いで、“計画固執型”か、“計画柔軟変化型”か、をみる」


 アキラは、指導者は、課題や問題と向き合い、解決に取り組む者だとした。これらは、権力を用いて命令するだけは、事案が解決される訳でないので、指導者は、常に葛藤を持ち続ける状態になるとした。


 指導者は、他者との関係で平和な精神を安定的に維持するのには、自分の内界を制御する心理学の知恵や技術がないと困難だとした。彼は、指導者は、長期間政権を維持すると“権力病”を患うようになるとした。

 義鷹:「それが、葛藤の正体だ! 僕は、自己主張するだけでは、問題が解決できないことを大勢の人に知ってもらいたいのだ。三界生成理論を用いて、自分自身で自分の脳力評価をして、性格、感情、欲を知能で修正制御して行動できるようにしたいのだ。君は、これまでの“ヒトのあいだのミスマッチ”をこの三界生成理論で明らかにしてくれた。これ、世間に公開していいか?」


 彼は、本音を漏らした。


 アキラ:「あぁ、いいよ。ヒトの問題や課題を解決するために役立つのなら」

 義鷹:「ありがとう」すると、アキラが三界生成理論の詳細を義鷹に話し始めた。


 アキラ:「僕は、宇宙のインフレーションの勉強をしていたとき、森羅万象の中には、“内界”、“境界”、“外界”があり、各場には“プラス”、“ゼロ”、“マイナス”の三つの電荷のエネルギー粒子の熱量と質量と重力で形成される構造があることに気付いた」


 義鷹:「アキラ、お前は、この理論を使えば、人間は、様々な事物や現象を理解し、自分の問題や課題を解決するのに役立つと考えているのか?」


 アキラ:「あぁ、そうだ。自分で“人生計画”を立てて、生きることだ。計画しないと人間の行動は、目的や目標がなく大海でさまよう小舟状態になる」彼は、人生計画は、自分の内界の肉体と精神を知り、欲に関する心身の適応機制の訓練から始めると良いとした。


 アキラ:「まず、自分の“内界環境の改善”の視点で自他の“性格”、“感情”、“欲”の三つの関係を知能で知ることから始める」彼は、これは、物事に振り回され、悩みの多い人生を避けるためだとした。


 アキラ:「“内界環境の改善”とは、心身の健康を維持する基礎的な栄養学、運動学、医学、心理学、などの知識と行動技術を身に付けることだ。有意義な人生には、外界よりも内界の充実が重要だ。人生は、自分の内界環境を整えることで、外界や境界の力に過度に圧迫されることなく、依存することなく自活できるようになる」


 彼は、心身の具体的な健康は、食事の栄養知識、運動と睡眠の維持習慣、メンタルケアの行動技術などで他人との摩擦による葛藤発生を制御することで維持できるとした。


 アキラ:「肉体については、生理的、物理的、化学的な反応を制御する能力を身に付ける。精神については、人生計画の実現に必要な精神アイテムを自分で装備する。欲については、数々の欲求と欲望の正体を知り、不自由な“環境と欲との調和技術”を自分のものとする」


 義鷹:「君は、三界生成理論は、人々の差別意識を無くして、“包摂社会”を建設するのに役立つと思うか?」

アキラ:「あぁ、役立つ。三界生成理論は、自己制御技術だからだ」


 彼は、大見えを切った。現実社会には、差別意識が存在する。確かに、法律上は、人間を人種、宗教、性別、年齢などで差別する身分制度はないように見えるが、心理面では、明らか存在する。“包摂社会”は、全ての人々が尊重されて、歓迎され、平等な機会を享受する概念だ。これは、理想に近い。差別は、“無知”、“固定観念”、“偏見”の三界が関連して生まれるとした。


 アキラ:「人間社会では、人間の心理的要因、文化的要因、社会的要因の三つの意識要因も絡むほかに創造主の“対立する物作りの偏り”が問題となる」


 彼は、人間がこれらの意識の克服をするには、三界生成理論を使い、自分が、なぜ、差別意識を持つのか、知能で内界構造を考えてみると原因が分るとした。


 義鷹:「あぁ、自分の内界には、性格と感情と欲の三種の神が住んでいるとする。僕は、彼らを上手く手名付けないと、自他を傷つける知能行動をし、誤解や葛藤や闘争を生み出す厄介な神たちだと位置付けた」


 アキラ:「僕は、心理学と会計学を応用した“性格感情欲知能行動”の“貸借対照表”タイプと“損益計算書”タイプの人事評価表を作ってみた」


 彼は、自然人は、知能で計画的に“性格感情欲”の行動を制御できないと、彼らの無責任な

行動の被害を受けることになるとした。


 読者は、 “マズローの欲求五段階説”や“プリチックの感情の輪”など自分に当てはまる“性格”と“感情”と“欲”の細目について、十点満点で評価することを提案した。


 貸借対照表は、自分の基準で自由にプラスを思うものを資産とし、マイナスを負債として純資産を計算してみるとよいとした。損益計算書も同じだ。自分の基準でプラスと思うものを収益、マイナスと思うものを費用として、損益計算をする。

 

 義鷹:「ふーん。君は、心理学と会計学を統合したのか」

 アキラ:「あぁ、人事評価の汎用ソフトを作った。心理の貸借対照表と損益計算書を作る遊びを考えた。僕は、その人の性格、感情、欲、知能、行動の特性に着目して勘定化した。人事評価は、非管理職、管理職、経営者の職責三分類で行う」


 彼は、性格、感情、欲、知能、行動の各勘定を十点満点で自己採点する次のような人事評価表を作った。例えば、非管理職は、本人、管理職、人事担当者の三者が採点をする。管理職は、本人、経営者、人事担当者、経営者は、本人、最高経営責任者、人事部長で行う。


・資産勘定は、計画的、謙虚、勇敢、勤勉、柔軟、慈悲深いなどのプラスの資産勘定を用いる。

・負債勘定は、無計画、強欲、臆病、怠惰、短気、無責任などのマイナスの負債勘定を用いる。

・損益勘定は、収益を真剣さ、真心、積極的、主体性などのプラスの収益勘定を用いる。


 費用を手抜き、言い加減、無視、お人好し、反抗的などのマイナスの費用感情を用いる。


 アキラ:「各人が工夫して自分の心理の財務諸表を作る自己評価するとよい」

 義鷹:「感情は、どのように勘定分類したの?」


 アキラ:「僕は、感情については、 “プルチックの感情の輪”を参考に刺激に対する生理的、認知的、行動的な反応に着目した」


 彼は、プラス勘定は、喜ぶ感情、信頼、親密さ、喜び、娯楽、愛、力強さ、安心、感謝、幸福、尊敬、平安、集中、熱中、感動、感心、爽快感、驚き、期待、警戒などとした。マイナス勘定は、悩み、自己否定、敵意、孤立、もどかしさ、落ち込み、混乱、疲労、憎悪、不安、怒り、嫉妬、絶望、嫌悪、後悔、退屈、トラウマ、抑うつ、空虚、悲しみ後悔、悲嘆、悲痛など。損益プラス勘定は、収益を喜び、楽しさ、心地よさ、落ち着き、幸福感、満足感、安心、希望、誇りなどにした。損益マイナス感情には、困惑、不安、いら立ち、驚き、激怒、怒り、憎しみ、侮辱、嫉妬、妬み、優越感、軽蔑、恐れ、畏怖、罪悪感などだと説明した。


 人事評価の貸借対照表と損益計算書は、その界で求められる性格、感情、欲に合わせて勘定を選択して、作るとした。

 

 義鷹:「欲は、誰の説を利用したの?」


 アキラ:「僕は、 “マズローの欲求五段階説”の生活や生存に必要な生理、安全、社会的の欲求を“下層願望”とした。 “承認欲求”を “中層願望”。“自己実現欲求”を“上層願望”の欲望とした。下層、中層、上層の三界生成理論評価をすることを考えた。

 

 義鷹:「欲求と願望に分けた理由は?」

 アキラ:「一般人の“出世しない生き方”、“出世が幸福に繋がらない”、“自分らしい働き方”

など、物事の価値観や考え方が、変化してきたからだ」


 彼は、 “欲求五段階説”の各欲求は、実現の難易度が異なるからだとした。欲求は、誰でも持っている即時的に満たしたい具体的欲望にした。願望は、難易度の高い抽象的な希望にした、と説明した。


 義鷹:「高次元の欲の配点比重を考えて、階級社会の地位別の人生設計を考えて見たのか。 境界について、君は、どう、思う?」


 アキラ:「境界は、内界と外界が触れ合う“あいだ”の領域だ。情報の接点になる。会社員になると、自分の上司が、外界である会社の境界者になる。内界から外界へ自分の考えた情報をどう伝えるか。外界から内界への情報を侵略、融合、対立、反応するか、判断や決断が主体別に異なり摩擦が生まれる。ここが、最も多くの”問題“が発生する場所だ」


 義鷹:「外界:現実の世界の捉え方の重要な知識の概念は?」


 アキラは、外界は、個人に影響を与える全ての事象を含むとした。


 例えば、

・自然は、宇宙、地球、気象、大陸、島、海、山、川、森、草原、砂漠、農地、平原の概念。

・政治体制は、権威主義国、非権威主義国、監視社会、自由社会などの概念。

・教育科目の概念は、情報、歴史、政治、宗教、軍事、経済、社会、物理、化学、生物、心理、医学、住居、健康、栄養、食事、睡眠、排出、循環が必須。

・人に関係する概念は、家族、友人、恋人、妻、先生、同級生、同僚、上司、敵対者など。

・社会組織の概念は、政府、地方、会社、宗教、団体、学校、クラブなど。

・職務の概念は、政治家、経営者、公務員、会社員、自由業のポストなど。

・情報の概念は、ニュース報道、SNS、テレビ、新聞、週刊誌、雑誌など。


人間の内界は、資産にも負債にもなり得る。その勘定科目を自分で理解し、自分自身の“心の財務諸表”を作ることができる者だけが 新人類の指導者となる資格を持つ。三界生成理論は、そのための“心の会計ОS”となる。


(第三十一話 宣伝会議:三界生成理論の言語ОS化へ続く)



 性格は資産にも負債にもなる。感情は収益にも費用にもなる。欲は下層・中層・上層の三界に分かれ、人生の方向性を決める“心の重力場”となる。人事評価は、心の構造を理解する者だけが扱える技術だ。新人類の未来都市を築くには、人間の内界を数値化し、性格・感情・欲の三界を制御できる指導者が必要となる。第三十話は、そのための“評価の基準”を提示する章である。

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