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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
関東旧車會

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20/28

「忍び」のココロちゃん

 4月の下旬の土曜日。

 もうすぐゴールデンウイークだ!

 昨日の夜は静岡までドライブし、冴姫とメッチャ美味い鰻を食べた。

 今朝、冴姫は用事があると言って朝食後に出掛けて行った。


 「昼までには戻っから!」

 「うん!」


 すっかり冴姫との生活に慣れ、互いに干渉を控えていることで上手くやっていると思う。

 基本は相手の部屋には入らないことと、冴姫の行動にいちいち説明を求めないこと(俺は聞かれたら正直に全部話すこと)。

 食事は一緒にし、その準備は俺、洗濯も俺(パンツ、幾らでも洗うぞー!)、掃除は冴姫だったが度々俺。

 まあ、別に大したことではない。

 料理は好きだったし、冴姫の嬉しそうな顔を見るのが大好きだった。

 冴姫はよく食べ(食べ過ぎかも)、喜んでくれる。

 俺もそれを見て嬉しい。

 まだ時間はあるが、昼食は何にしようかと楽しく考えていた。

 その時チャイムが鳴った。


 「あれ、誰だろう? 宅配の予定もないしなぁ」


 インターホンの画面を見ると、誰も映っていない。

 ああ、ドアのインターホンか。

 ちょっと前に冴姫にやられたなぁ。

 今度こそ管理人さんかご近所さんかと思い、ドアを開けた。


 「こらぁぁーーなの!」


 突然カワイイ声で怒鳴られた。

 驚いて見ると、10代半ばの若い女の子が立っている。

 身長は150センチも無い小柄な体型。

 髪は黒く、ショートでボーイッシュだ。

 でも顔は整っており、目が大きいのが印象的だった。

 荷物はなく、大きなジャンパーの上着だけ手に持っていた。

 自分も同じようなブカブカのジャンパーにデニム。


 「あのさー! 誰かも分かんないのにいきなりドア開けちゃダメなの!」

 「はい、すみません」


 なんで怒られてるんだろう?

 しかもずっと年下の女の子から。

 なんかデジャヴ……


 「早く中に入れて! 見つかっちゃうの!」

 「はい!」


 俺は女の子を玄関へ入れた。


 「だからあのね、知らない人を家に入れちゃダメなの!」

 「エェェェーー!」


 また怒られたが、確かにその通りだ。

 もちろんこの子が味方であることは確信しているのだが。

 俺は自分の直観には自信がある。

 冴姫の時には驚きすぎてダメだったが。


 「やっとお話しできたのー!」


 女の子が俺が出したスリッパを履きながら喜んでいた。


 「私はココロ、冴姫ちゃんから聞いてるでしょなの?」

 「ああ、ココロちゃん!」

 「チャン付けで呼ぶなしなの」

 「だって!」

 「まー、いいけどさなの」

 「ありがとー!」


 俺も会いたかったんだ。

 冴姫はココロちゃんが「忍者」だって言ってた。

 忍者ってなんだろう!

 でもそれよりも何よりも、ココロちゃんは物凄くカワイイ!

 俺はダイニングに通した。

 すぐに歓迎したい気持ちになっていた。


 「紅茶でいいかな?」

 「いらないの。知らない人が出したものを口に入れる習慣が無いの」


 ああ、忍者だからか?

 そのストイックさにちょっと感動した。


 「えぇ! 大丈夫だよ!」

 「悪人はみんなそう言うの」

 「うーん……]


 まあ、そうだろうけど。

 一応ココロちゃんの分もカップに注いで目の前に置いた。

 お茶菓子にこないだ冴姫が買って来たウイロウを切って出す。



 ゴクゴク……ムシャムシャ……



 アレ?


 「美味しいの!」

 「そ、そう」


 突っ込まないことにした。


 「ところで、ココロちゃんはどうして来たの?」

 「!」


 なんかヘンな顔をした。

 額に汗が流れる。

 目が明らかに泳いでいる。


 「あのね、仕切り直すの」

 「え、うん?」


 なんだ?

 ココロちゃんが立ち上がって玄関を出た。


 「こんにちはー!」

 「……」


 ドアを開けて靴を脱いでダイニングに入って来た。


 「宗ちゃん、たいへんたいへんなの!」

 「なんですか?」

 「宗ちゃん、襲われるの」

 「なんだとぉぉーーー!」


 なんなんだぁー!

 ココロちゃんが落ち着けと言った。

 ……


 「「関東旧車會」って奴らなの」

 「なんだ、それは?」


 聞いたことも無い。

 ココロちゃんの説明では元暴走族の連中が作った半グレ集団らしい。


 「でもね、相当ヤバい連中なの」

 「そうなんだ」

 「先週、冴姫ちゃんが「関東旧車會」の一人をぶっ殺したの」

 「!」


 覚えてる!

 湾岸道路で冴姫が拳銃を撃ったぁー!


 「後ろでぶつかってたけど、あれで死んじゃったのか!」

 「ううん、違うの。冴姫ちゃんがRX-8を運転してた奴の頭を吹っ飛ばしたの。だから即死なの」

 「!」


 俺は右の助手席にいたので、よく見えていなかった。

 そうだったのかよ……


 「「関東旧車會」は馬路って奴が危険なの」

 「バロ?」


 ココロちゃんが漢字を教えてくれ、馬路がいかに残忍で冷酷なのかを話してくれた。

 暴走族「ルートK」時代から人を殺していること。

 「関東旧車會」を立ち上げてからずっと君臨し、暴力団も退くほどのえげつないことを繰り返していること。

 暴力から窃盗、麻薬の卸と販売、闇バイトのコントロールまでありとあらゆる犯罪に手を染めている。

 暴力団は暴力団新法によって縛り上げられ弱体化しつつあるが、半グレ集団には適用されず、今は暴力団をも支配して犯罪を繰り返しているらしい。


 「「関東旧車會」はとにかく武装がヤバいの」

 「拳銃とか持ってるの?」

 「軍用のアサルトライフルからロケット弾、グレネード、携帯ミサイルまであるの」

 「はい?」


 武器のことを良く知らない俺のために、ココロちゃんが説明してくれる。


 「それじゃ軍隊と同じってこと!」

 「そうなの」

 「じゃあ、俺たちでも危ないのか!」

 

 ココロちゃんが笑った。


 「アハハハハハ! 冴姫ちゃんがいれば何の問題もないの。でも今、冴姫ちゃんお出掛けなの」

 「うん。あと1時間もすれば戻ると思うけど」

 「その時間が危ないの。だから私が来たの」

 「え、ココロちゃんが?」

 「ほんとはまだ宗ちゃんとは顔を合わせるつもりは無かったの。でもいいの、私も宗ちゃんと会いたかったし」

 「俺もだよ!」


 忍者だとは聞いたけど、どれほどの能力があるのかは知らない。

 冴姫が言うには、ずっと密かに俺を護衛してくれていたようだけど、姿を見たのも今が初めてだし、一体どうやって護衛しているのかも知らない。

 それに、何だか悪い気がするがココロちゃんは背も低く手足も細い痩せた女の子にしか見えない。

 メッチャ可愛いのだが。


 「えーと、ココロちゃんは「忍び」なんだよね?」

 「うん、そうなの」

 「強いの?」

 「まあねなの」

 「そ、そっか」


 まあ、冴姫も見た目は綺麗な女の子にしか見えない。

 きっとココロちゃんも何か特殊能力があるのだろう。

 えーと、全然何だか分からんが。

 でも今はとにかく信頼することにした。


 「早くここを出るの」

 「え?」

 「もうヤサは割れてるの」

 「やさ?」

 「おうちってことなの。安全な場所へ移動するの」

 「うん、分かった」

 「これ着るの」

 「うん」


 分厚いジャンパーのようなものを渡された。

 随分と重い。

 言われるままにそれを着て、俺たちは急いで家を出た。

 エレベーターに乗り、ココロちゃんはスマホで誰かと話していた。


 「うん、分かったの。宗ちゃん、危なかったの」

 「はい?」

 「連中、やっぱ向かって来てたの」

 「じゃあ、もっと早く出れば良かったね」


 さっきのんびり紅茶とウイロウ喰ってる余裕はなんだったんだ。

 ちょっとココロちゃんを不審気に見る。


 「黙るの!」

 「は、はい!」


 ココロちゃんが真っ赤になって膨れている。





 なんだかとってもカワイイ。

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