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Material World Online  作者: カヨイキラ
1.Orwiel
4/39

Another World 4

 フェネオネ。それが、この村の名前だった。

 とてつもなく高い山に囲まれたこの村は、丘に立って見渡せば全体が見渡せる程度の広さしかないが、とても自然が豊かで過ごしやすそうな村だった。

 モネトと戦ってイーゼを助けた平原から三十分ほど歩いたところにあるフェネオネは入り口の前に少しばかりの森が広がっていて、平原からは見ても分からないようになっていた。イーゼの話では、盗賊団がここから少し離れたところに拠点を持っているから、バレないようにこうしてひっそりと生活をしているとのことだった。

 するすると流れる川の水は、ともすれば飛び込んでしまいたくなりそうなほどに透き通っていて、爽やかな空気を発していた。川沿いに生えている不思議な色合いの花々や見たこともないような木々が僕にとっては眩しい。

 村に戻ると、村人達はそれはもう大変な反応を示した。

 村に入るなり感嘆とも驚嘆とも取れない声が聞こえてきて、すぐに虎柄模様の威厳と野生的な印象を兼ね備えたいかにも村長っぽい格好の老人がやってきて、イーゼと少し会話を交わすと、老人の近くに待機していた色黒で屈強な男達が僕を囲った。

 そして、完全に腰が引けてしまっている僕に向かって言ったんだ。

 「ようこそ、フェネオネへ。歓迎します冒険者さん」

 恭しく頭を下げる男達に頭を下げ返す。

 そして老人が僕のほうに近寄ってきて、他の男達と同じように頭を下げた。

 「私は村長のドムです。

 イーゼを助けてくれたようですな。本当にご迷惑をおかけしました。感謝のしようもないほどです。

 なんでも、記憶を失くしてお困りのようで。礼と言ってはなんですが、よかったらしばらくこの村に滞在してはいかがでしょう」

 勿論その申し出を断る意味もなかったから、僕はそれを飲んだ。

 「はい! そうさせてもらえると、助かります」

 ドムは男達に何かを小さく伝えた。

 僕は原住民のような格好の黒々とした男に案内され、宿屋のような場所に連れて行ってもらった。

 村は原始時代の集落のような雰囲気だったが、とても落ち着く。日差しはきつくなく、ぽかぽかと暖かい。風がゆるやかに吹いているのも気持ちがいい。

 

 僕はそんな村の風景を用意された宿屋の部屋の窓から眺めていた。

 ふぅ、と一息ついたところで、ピコン、と電子音が聞こえた。

 目の前にメッセージウィンドウが現れた。

 

 <Quest Clear! GET Exp+200>

 『スタートクエスト1/5をクリアしました。

 頭の中で「ステータス」または「スキル」と唱えることでウィンドウを開くことができます。ステータスウィンドウでは所持している経験値を使ってキャラクターのレベルを上げることができ、スキルウィンドウでは所持している経験値を使って条件を満たしているスキルの取得、取得しているスキルのレベルアップを行うことができます』

 

 メッセージウィンドウの内容を二度読み、消す。

 頭の中で「ステータス」と唱えてみる。

 すると、ステータスと書かれたウィンドウが目の前に現れた。キャラクター作成の最後に表示されたステータスと、その下に『レベルアップ』『ゲーム終了』という二つのボタンがある。レベルアップのボタンは経験値が足りないのか、灰色になっていて押すことができない。

 Exp:350 それが今の僕の持っている経験値で、その隣に『合計Exp:1350』と書かれている。キャラクター作成時の経験値もこれに含まれているみたいだ。

 ステータスウィンドウを消し、次にスキルウィンドウを開いてみる。

 すぐにウィンドウが現れ、いくつものアイコンと文字が視界に飛び込んだ。

 ウィンドウは二つに分かれていて、左側が取得可能スキル、右側が取得済みスキルになっている。

 そしてそれぞれタブがあり、『汎用』『戦闘』『生産』『魔術』というタブが用意されていた。

 取得可能スキルのアイコンの横にはGETと書かれたボタンがあり、灰色だったり水色だったりまちまちだ。経験値が足りていて、取得できるものが水色なんだろう。

 一通りスキル欄を眺め、満足すると急に眠くなってきた。

 そういえば、もう結構な時間遊んでしまっている。

 夕食の時間だったらどうしよう。早く戻らないと。



 僕は急いでステータスウィンドウを開いて、ゲーム終了のボタンを押す。

 すると、世界の景色が僕に吸い込まれるようにして段々と消えていく。それを十秒ほど無感動に眺めていると、唐突に景色が明るくなり、僕の見慣れた自室の光景が飛び込んできた。

 「う……」 

 足に力を込め、立ち上がる。

 なんだか、凄い体験をしてしまった……。

 僕は興奮が冷めないまま、リビングへと向かった。

 自分の理想のRPGってどんなのだろう。

 そんな自問自答から始った想像を膨らませてパチパチと打ちはじめたのがこの「Material World Online」です。

 本編より正直なところ資料のが多くなってしまいましたが(汗


 初めましての方は初めまして。そうでない方は雰囲気の違う別作品ですみません。

 ビジネス系の授業で暇してる時に打ってるので更新速度は遅いと思いますが、よかったらたまに思い返して読んでくださると幸いです。

 それでは、次話でお会いしましょう。



・Skill information

 「マスタリ」スキルについて。

 MWOには、数多くのマスタリスキルが存在する。

 マスタリスキルを大きく分類すると、戦闘マスタリ、魔術マスタリ、生産マスタリの三つに分かれる。

 それぞれ特徴や扱いが異なるので、ここに注記するものとする。



・戦闘マスタリ

 武器を扱うためのマスタリである。

 MWOの武器には全て装備条件が設定されており、その条件の中に必ず該当する種別のマスタリレベルを要求される。

 例えばブロードソード、装備必須ソードマスタリLV2 のようにだ。

 装備条件を満たしていない武器を装備していても、ステータスへの修正を受けることはできない。


 

・魔術マスタリ

 魔術を習得するために必須となるマスタリ。シールドマスタリもこれに含まれる。

 該当する魔術マスタリのレベルまででしか魔術は習得することができない。

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