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ティッカーテープ  作者: Nuo
First chapter
3/6

episode 2

「あの、、っ、、すみません、、。」


私は恐る恐る聞いてみた。


ちゃんと聞こえたようで、彼女はちらりとこっちを見た。


ーーーーえっ、、ずっとこっちを見てくる。気まずい、、。


見た目、同じ年か年下であり、顔が驚くほど整っていた。


私はコミ障の中、必死に言葉を絞り出す。




「あのぉ、、い、いつもここにいるんですか、、?」


「・・・。」


「そろそろ暗くなってきたし、帰りませんか。」


「・・・。」


「ひとり、、?」


「・・・。」


「、、、。」




普通に地獄だ。


ーーーーどうすんだよこれ。


この場合、相手もコミュ障なのか、外人か、マジでやばい人かのいずれかだ。


だが、日が暮れて岩の上にいては危ないよな。




「一緒に帰りませんか、、?」


「・・・。」


「、、、。」




私は藁にもすがる思いで手招きした。


そしたらゆっくり岩から降りて、こちらへ歩いてきた。


身長が思ったより低く、腰上辺りまで海水に浸かっていた。


私は、海の中で転ぶと危ないと思い手を差し伸べた。


彼女も私の手を至極弱い力で握り返してきた。


砂浜に上がってから聞いてみた。


「あの、、どうやって帰るんですか、、?」


「・・・。」


「私バスなんです、、。てか、ここ徒歩かバスしかないですよね、。」


「・・・。」


「、、。もしかして地元民ですか、、?」


「・・・。」


「、、。バス乗りましょうか、、。」


「・・・。」


そんなことをひとりで話しながら帰り道を上がっていく。


最早独り言と言っても過言じゃない。


というか、濡れたままではバスに乗れないな。


まぁ、白なので濡れててもあまり目立たないか。


私は彼女に薄手の上着を着せて、バスを待った。


暫くお互い無言を貫いてバスがやってきた。


鳥のさえずり、遠くの波の音まで聞こえるほど辺りは静寂であった。


私は、話しかけてもどうせ答えて貰えないということを知っていた。だから、もう話しかけもしなかった。


だが、意外と無言の時間も気まずくなかった。


私にとって珍しい事だった。


1度どこかで逢った様な感覚だった。


田舎だからか、時刻表を見るとバスの間隔がもの凄く広い。が、結構ちょうどいい時間にやってきて良かった。


私が先に入り、彼女が後に続く。


スマホのSuicaをかざして入るが、入った後に私は気づいた。


彼女は何も持っていないのだ。


私は''Suicaをかざして整理券を取る''という意味不明な行動をして乗り込んだ。


1番後ろの席へ2人で座り、暫くして聞いてみた。


「お腹すいてますか、、?」


いつも通り返事は無い。


ここはお魚が新鮮で有名だ。私は数回行ったことのある、私的に美味しいと思うお店に連れて行ってあげようと思った。


勿論彼女の好みも、アレルギーも、宗教的なものも知らないのだが「日本人なら誰でも寿司は好きだろう」と言った変な仮説に則ってみた。








バスの中での会話はそれきりで、最寄り駅に着いた。2人分運賃がかかるのは中々なものだ。半分学生の私にとっては痛手だが、それ以上に難問を解いているような感じがして楽しかった。


まず課された問題は、彼女の口から音を聞く事だ。


どうにかして彼女と話さなければ意思疎通が出来ない。


その為に、私はご飯に連れていくことにしたのだ。

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