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それから私は学園生活において、めげずに意地悪をしていた。と言っても私の良心が意地悪ダメ。絶対。と訴えかけて来るので、ゲームのように上手くは行かなかった。
「あれは…」
どうしようかと悩みながら中庭を歩いていると、遠くの方からユリウス様とブレア様が歩いてくるのが見えた。
時期的に考えると次の王宮夜会から分岐ルートなので、分岐選択イベントだと推察される。ゲームではヒロインが攻略対象と校舎のお散歩をするのだが、ここで選んだ人にルートが確定される。
ユリウス様ルートでは、お散歩途中にリリアンヌと遭遇し、怒ったリリアンヌに突き飛ばされるのだ。そして、バランスを崩したヒロインを支えるために、ユリウス様が手を取るが、惜しくも2人とも噴水に落ちちゃうと言う展開だった。
あの時の水に濡れて髪をかきあげるスチル、かっこよかったなぁ。水も滴るいい男とはまさにこの事。
よし、私もぶつかって噴水ドボンさせたい!!イケメン二人の濡れ姿が見たい!!この一文だけ聞くと勘違いされそうなので言っておく。あくまでも、健全に、水に濡れたイケメンが見たいだけである。そう、健全な光景を。下心は少ししかない。
意を決して2人の前に出た。のはいいのだが、肝心な事を忘れていた。私、ユリウス様の婚約者じゃない!!
私という婚約者がいながら、こんな田舎姫の方がいいんですの!?
って言いながら突き飛ばせない!!!どうしようどうしようと目線を下にすると、足元で動く黒い影が目に入る。
「リリアンヌ嬢?」
「リリ?」
2人が突然現れた私を不思議に思い声をかけてくれたが、今はそんなことどうでもいい。あ、あ、足元に、バ、バ、バッタが!!!私は飛ぶ虫が大の苦手なのだ。
あの突然飛ぶ予測不可能な動き。気持ち悪い…
「ぃぃぃいやあぁぁぁぁあ!!!!」
この世の終わりとでもいいましょうか。私は声を張り上げ仰け反る。そして運悪くバランスを崩した。ヤバい!倒れちゃう!このままいけば噴水ドボンは私がしてしまう!!
そう思い目をぎゅっと閉じた時だった。
「リリ!!!」
名前を呼ばれるのと同時に大きな水の音。終わった…痛…くない?不思議に思い目を開けると、そこには私を庇うように抱き抱えて噴水の中に尻もちを着いて座り込むブレア様。
「大丈夫?怪我は無い?」
髪をかきあげながら私の顔を覗き込むイケメン。毛先から水が滴り落ちている。あ、水も滴るいい男…ありがとうございます。ご馳走様です。
そう思った瞬間、そこで意識が遠のいた。




